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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

ファクトシート:日米間の規制改革及び競争政策イニシアティブに関する日米両国首脳への第3回報告書

2004年6月8日

概要

 米国政府は、日本の長期的成長への復帰の必須条件である大胆な構造・規制改革に引き続き取り組むという小泉首相の公約を歓迎する。米国はまた、最近の日本経済の回復を歓迎する。この回復は、日本の経済改革政策が効果を上げ始めた兆しである。

 日米規制改革及び競争政策イニシアティブ(規制改革イニシアティブ)に関する日米両国首脳への第3回報告書には、これらの改革政策をさらに押し進めるために日本が取っている重要な措置が詳細に述べられている。これらの措置は、日本経済の長期的成長への復帰を後押しするのみならず、米国企業に対して日本市場を開放するものである。これらの措置は、電気通信、情報技術、エネルギー、医療機器・医薬品、金融サービス、競争政策、透明性、法制度改革、商法改正、そして流通などの重要な分野での改革に取り組むものである。

 報告書の中で67ページにわたり具体的に記されているこれらの措置は、円滑に機能する市場と効的な資源配分を促す規制環境創出に向けた日本の絶え間ない努力における顕著な進展を示すものである。これらの措置を実行に移すことにより、日本は、消費者の選択肢の拡大と価格の低下を促し、さらに革新的な製品・サービスの導入を促進することになる。これに加えて、規制改革イニシアティブは、規制上の障壁を削減し、政府慣行の簡素化を図ることにより、米国企業の日本市場へのアクセス拡大のための重要なメカニズムとしての役割を持つ。

 規制改革イニシアティブは、ブッシュ大統領と小泉首相により2001年6月にキャンプデービッドで、「成長のための日米経済パートナーシップ」の重要な要素として立ち上げられた。

電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性その他の政府慣行
構造改革特別区域(特区)
法制度とインフラ
商法
流通


電気通信

背景:DSL(デジタル加入者回線)やFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)などの先進電気通信技術の利用拡大に示されるように、この分野における規制改革を促進する日本政府の政策は、目に見える成果を挙げ始めている。より柔軟な規制制度の下で、日本は、新製品とサービスの導入が過剰な規制と市場支配的電気通信事業者による反競争的行為により妨げられることのない電気通信市場に向けて動き出している。米国は、接続料金の低減や固定通信・移動通信市場におけるその他の障害を取り除くための措置を精力的に講じることにより、この分野において進められている改革に向けた継続するコミットメントを日本政府が示すことを求める。さらに、米国は、透明性、適正手続き、そして規制の独立性、特に周波数関連の決定に関してさらなる改善を求めていく。

進展:米国は、電気通信分野において、成長を促進し、競争を促すために日本政府が講じてきた重要な措置を歓迎する。これには、以下の措置が挙げられる。

■固定電話から移動通信ネットワークへの接続に関する料金設定において消費者に選択肢を与えるメカニズムを創設した。これにより、競争が促進され、小売料金が55%安くなった。

■日本は接続料金の算定方式改定に向けて動いている(2005年実施予定)。これにより、料金が、他の競争市場の水準に近づいてくる。これには、現行方式である長期増分費用モデル(LRIC)からNTTが他競合事業者に課す固定費用を除外したり、その他の基本的な問題点への改善策の検討が含まれる。

■技術情報の事前開示のために競合事業者が負わされる負担を軽減し、またその大部分がモデムなどのインターネット装置である回線終端装置(NCTE)の設置に関する要件の簡素化に同意することにより、NTTに対するセーフガードを維持しながら、国際規格の利用を促進している。要件の改定は、2003年には約12億ドルと推定される日本のNCTE市場へのアクセスの継続確保に貢献する。

■電気通信事業法その他の関連規制に対する改正を通じて、競合事業者に対する料金・接続申請要件を排除することにより煩雑な手続きが軽減されている。

■インターネットアクセス(DSLおよびFTTH)を始めとする、特定市場に関する年次競争レビュープロセスを開始し、またこのレビューの透明性と民間部門からのインプットを確保している。

■無線ICタグ(eタグとしても知られるRFID)のUHF帯におけるテストを促進している。これは、地球規模の貨物追跡のための革新的な米国のテクノロジーの承認と国際間の相互接続性を得るための第1段階になる。


情報技術(IT)

背景:この分野において日本と協力する米国の基本目標は、日本の電子商取引とIT分野に潜在する巨大な成長力を引き出すことを支援することにある。これは、日本経済を強化し、米国企業に新たな商取引機会を創出するための鍵になる。米国は、電子商取引の障害になる法律その他の障壁を排除し、デジタル時代における知的財産の保護を強化し、公共部門・民間部門における電子商取引の利用を促進し、またIT調達の改革を進める日本の目標を賞賛し、支持する。日本がこれらの面で前進する中で、米国は、IT分野の成長をもたらすための必須要素になるIT政策の策定に際して民間部門が参加する機会を拡大していくことを日本に求める。

進展:米国は、IT分野における成長を促し、電子商取引の利用を促進するために日本政府が講じている重要な措置を歓迎する。これには、以下の措置が挙げられる。

■情報システムの調達に関する改革の政府全体の総合的な実施を確保し、かかる調達における透明性と公正さを改善し、米国と協力してこの改革プロセスへの民間部門の参加を強化している。

■2004年5月に米国を交えた官民の懇談会を開催した。この懇談会は、個人情報保護法の全面施行に向け貴重なインプットを行なう時宜を得た機会を米国と日本の産業界に提供した。

■IT政策が整合的に策定され、また省庁間で一環した形で着実に実施されることを確保するための措置を講じた。これには、2004年2月に関係省連絡会議を組織して、IT政策に関する官庁内のコミュニケーションの強化を促進したことが挙げられる。

■著作権法により保護される音楽作品その他すべての保護対象作品に対する著作権保護期間の延長を検討している。これは、映画の著作権保護期間を最近50年から70年に延長したことに基づくものである。

■侵害行為に対する効果的な抑止力になりうる法定損害賠償制度の設立を検討している。これにより、侵害により負わされた損害に対する妥当な補償が権利保有者に確保され、また損害と利益を証明するための費用のかかる困難な負担を排除することにより司法の効率が向上する。

■予定されている裁判外紛争処理法(ADR)法案にオンラインによる紛争処理の国際レベルでの利用を促進する措置を含むことの検討に同意した。これには、弁護士以外の者がADR手続きの中で中立者として参加することを認めるか否かの検討が含まれる。これは、電子商取引促進のための重要な措置である。

■地方政府と中央政府の機関が使用する情報システムの安全性と信頼性が向上している。これは、ネットワークセキュリティに関するガイドライン・基準の作成、またこのプロセスに民間部門のインプットを得ることの重要性を認めたことによるものである。

■IT政策の策定に重要な原則を取り入れた。これには、技術的中立性を促す方法による規制の改定・策定、また民間部門がこの分野における潜在的リーダーシップを最大に発揮できるような環境の創出が含まれる。


エネルギー

背景:日本は、大規模なエネルギー市場改革遂行のさなかにある。この改革は、電力小売市場の自由化部門を2005年までに26%から63%に、また天然ガス市場の自由化部門を2007年までに40%から50%に拡大するものである。2003年6月に日本の国会で可決された包括的な法案に基づくこれらの改革は、日本の経済成長の促進ならびに、日本の電力・ガス市場への米国企業によるエネルギー製品・サービスの生産・販売・取引の機会拡大に寄与するものである。このような変化は、米国の発電機器の輸出機会の拡大にも寄与するものである。さらに、日本政府は、法律に基づく改革を進めるための新・改定省令等に関するパブリックコメントの機会を設けることにより投資家の信頼を向上させる重要な措置を講じている。

進展:日本政府は、エネルギー分野の改革を目指す法律の施行に向けて、次のような第1段階の措置を講じてきた。

電力分野における信頼性と透明性の向上に向けた措置:

■送配電分野に関する公正かつ非差別的規則の創設を目的に中立機関(NSO) がオープンな方法で設立され、またNSOを積極的に監視し、不適当なことがあれば必要な修正措置を講じることがコミットされている。

■効果的な情報ファイアウォールの確保を促し、差別的託送を禁止することを目的として、適正な電力取引についての指針の改定に取り組んでいる。

■送配電事業の他の事業からの分離を効果的に実行するための省令等を作成している。

■料金設定の簡素化、送電網に関する公正な規則の規準の明確化と執行の確保、新規参入者を支援するために託送のバランシングルールの緩和を図っている。

■電力市場の効率および、改革された規制環境による競争の拡大を確保するためのさらなる措置の必要の有無に関して見直しを行なっている。

天然ガス分野における透明性と公正さの確保に向けた措置:

■託送供給(TPA)料金の設定と執行のための省令等を確立し、新たなパイプラインの建設と操業のための動機付けを行なっている。

■2004年6月にパイプラインの財務諸表における会計分離と発行のルールを規定する省令等を発行する。

■効果的な情報ファイアウォールの確保と託送供給利用者に対する差別的な扱いの禁止を進めるために、適正なガス取引についての指針の改定に取り組んでいる。

■液化天然ガス(LNG)基地の託送供給利用に関する交渉枠組みの確立に向けた指針を作成して、LNG施設への託送供給を促進している。


医療機器・医薬品

背景:日本は、医療機器・医薬品産業の国際競争力の改善に努める一方で、人口高齢化の課題に取り組んでいる。このために、日本政府は、医療機器・医薬品に関する規制・価格制度の大幅な変更を含む包括的な医療の改革に取り組んでいる。今年の日米両国政府間の議論は、これらの変更が、消費者の選択肢拡大とこの分野の競争拡大につながる形で、透明性のある方式で実施されることを確保することに集中した。革新的機器・医薬品の開発・販売の世界のリーダーとして米国企業は、約600億ドルにものぼる日本の医薬品市場のほぼ20%、また約200億ドルにものぼる日本の医療機器市場の約25%の市場占有率を確保している。

進展:これらの分野で日本が今まで講じてきた措置、または今後講じる措置には、以下のようなものが挙げられる。

■日本で新設された医薬品医療機器総合機構(総合機構)が、より迅速で透明性のある規制プロセスを提供することを確保する措置を講じている。これにより、製品のより迅速な市場への導入、消費者の選択肢の拡大、日本の医療市場への米国企業のアクセスの拡大を促進することになる。

■新たな医療機器・医薬品の審査の改善と承認の迅速化に専念する総合機構の職員その他の資源増加のための資金を確保するために、2004年4月1日に手数料体系をまとめた。

■製品承認迅速化の目標(例えば、2009年までに、新医療機器申請承認の90%、また新薬申請承認の80%を審査事務処理期間12ヶ月以内に完了するとしている)を設定し、年次成果報告書を発行することに同意している。

■価格設定制度の改革、および革新的医療機器・医薬品の価値をより適切に評価するための加算制度の改革を行なった。これには、以下のような措置が挙げられる。

 ■革新的医療機器に対する保険適用の頻度を高める。これは、革新的製品のメーカーに対する報酬になるとともに、最新技術による製品の日本への導入の迅速化につながる加算率の引き上げを意図する一歩になる。
 ■特別に効果のある医薬品に対する二つの重要な加算価格算定ルール(規格間調整と有用性加算 II)を導入している。

■医療機器・医薬品の規制・償還価格算定プロセスの透明性の向上を確保している。これには、以下のような例が挙げられる。

 ■有害事象への対処に参加する機会をメーカーに与える。
 ■価格設定問題に関する会合に診断機器・薬業界の代表を加える。

■「ビジョン」として知られる政策論文に述べられているアクションプランを前倒しして実施している。「ビジョン」には、医療機器・医薬品市場における革新を促進するための主要な改革の概略が述べられている。

■患者のケア、需要の減少、その他の血液製剤に関連する問題に関する会合を2004年末までに関係団体を招いて開催する。

■日本での販売を許可される食品添加物の数を増やすかどうかの是非を検討する。

金融サービス

背景:この1年の間、日本は、日本の金融サービス市場の開放と自由化に、さらなる成果を上げた。1995年の日米金融サービス合意により始まったこのプロセスは、日本の「ビッグバン」金融自由化イニシアティブの下で加速された。このイニシアティブは、日本の金融分野における抜本的な規制撤廃を約束するものである。これらの改革により、手数料が自由化され、金融サービス企業間の人為的な多くの壁が取り除かれ、新金融商品・サービスの導入が可能になり、新規金融サービス提供者に対して市場が開かれるようになった。

 これらの金融市場改革と、その後引き続き行なわれた改革が、日本企業に金融サービスを提供する企業による革新に対して新たな機会を与えてくれた。これらの改革はまた、透明性を向上させ、会計基準の強化と企業の財務報告における透明性の向上をもたらし、資産運用者その他の投資の選択における投資実績の評価の改善を可能にした。これらの変化は、やがて、日本の預金者や投資家に重大な恩恵をもたらし、また米国外では最大の10兆ドルを超える日本の個人貯蓄に対する利益の改善を可能にする。

 成長のための日米経済パートナーシップの金融対話に基づく日米金融サービス協議は、日本の金融市場の開放と、金融規制プロセスの透明性の改善において、この1年の間に上げられた成果に寄与している。

進展:日本政府がこの1年の間に講じてきた特筆すべき規制改革措置には、以下のようなものが挙げられる。

■確定拠出年金の拠出限度額を引き上げる決定をした。これは、日本の投資信託市場を拡大し、個人投資を促進し、また労働力の可動性を高める上で、大きな可能性を引き出す動きになる。

■日本の金融規制制度の透明性を向上させている。これは、ノーアクションレター制度の積極的な活用の促進と、金融サービス業界によるノーアクションレターの活用件数増加のために講じられる措置によるものである。

■世界的な最良の慣行(ベストプラクティス)に向けた動きが進められている。これは、投資信託協会が投資実績の開示に関する新たなガイドラインに準拠することによるものである。

■電子通知受取を選択する顧客に対する電子通知を貸金業者に認めるという提案について、引き続き慎重な検討を行なう。


競争政策

背景:競争の積極的な促進と保護は、新規参入と革新を促進し、効率の高い国際競争力を備えた企業を育てるような環境を創造することにより、日本経済に回復をもたらす。最も重要なことは、公正取引委員会(公取委)の執行能力と資源を強化し、独占禁止法(独禁法)の罰則を強化することによる、独禁法違反の排除と抑止である。また、活力再生計画に必要な公的資金を食いつぶし、経済の再編を阻害する談合システムを排除する努力を増大させることが、日本政府にとり必要なことである。最後に、規制改革措置の効果を最大にすることを確保するためには、日本の規制撤廃計画に市場ベースの競争原理を取り入れることである。これは、日本に利益をもたらすことになる。

進展:これらの問題に対処するために、日本が今まで講じてきた、あるいは今後講じていく措置には、以下のようなものが挙げられる。

■独禁法違反に対する抑止力の増強と公取委の執行能力強化を目的とした独禁法改正法案の次期国会への提出を予定している。この法案には、以下のような案が含まれている。

 ■違反行為を行なった事業者に対する課徴金算定率を2倍程度に引き上げる。累犯に対する課徴金算定率をさらに引き上げる。課徴金の算定期間の上限を3年間から4年間に延長する。また課徴金の適用対象行為の範囲を拡大する。

 ■価格操作や談合に参加したことを報告した1番目と2番目の事業者に対する措置減免制度を導入する。

 ■公取委に強制捜査の権限を与える。

 ■公取委命令に対する違反行為に対しての罰金の上限は100倍の約300万ドルに引き上げられる。

■談合による独禁法違反になった企業に対する地方自治体または中央政府プロジェクトからの指名停止期間の上限を9ヶ月から1年に延長する。また、企業の代表役員または一般役員が談合行為に関与している場合には、指名停止の範囲を日本全域に拡大する。

■国土交通省の建設工事および設計コンサルティング業務のすべての契約に、談合行為を行なった請負業者が政府に対して支払わなければならない予定損害額を請負代金額の10%とする条項を盛りこむことにする。

■公取委と規制改革・民間解放推進会議の間の緊密な協力を図るためのメカニズムを導入する。これには、以下のようなシステムが含まれる。

 ■公取委は、規制分野における競争促進に関係する関連府省に対する報告書と提言を規制改革・民間解放推進会議に提供する。

 ■規制改革・民間解放推進会議は、これらの提言の実施状況についてフォローアップを行なう。


透明性その他の政府慣行

背景:日本における日本郵政公社その他の公団・公社の民営化計画は、民間部門に多くの課題と機会を与えている。このプロセスが開放的で公正なものであることを確保するためには、関係当事者全員が政府の情報と政策決定プロセスに対して同等のアクセスを持てるように規制制度に対してさらなる透明性と説明責任を持たせることが、日本にとり大変重要になる。このために、米国は、より意味のある一般参加の機会を与えるような方法でパブリックコメント手続を改革している日本政府の努力を歓迎する。このことは素晴らしい前進ではあるものの、残されている課題もある。つまり、規制プロセスの透明性の向上、行政機関の説明責任の改善、省庁の自由裁量権限の抑制、そして権限の一般への移譲が課題として上げられる。外国企業が同一条件の下で競争し、国内の日本企業が従来から享受してきた特典を削減することにつながるような改革をさらに進める必要がある。

進展:日本の規制制度の透明性を改善するために日本政府が今までに講じてきた、また今後講じていく措置には、以下のものが挙げられる。

■日本郵政公社民営化プロセスに対して米国企業が意見を述べる新たな意味のある機会を与えることに同意する。

■日本郵政公社には、現在、新たな、または変更された簡保商品を導入する計画のないことが確認された。これは、まずは簡保と民間保険事業者との間に同一の競争条件が整備される必要があるとの強い懸念に応えたものである。

■閣議決定されたパブリックコメント手続の改善計画が2004年度に積極的に実行に移される。これにより、規制の作成・改定により意味のある民間部門の参加が可能になる。日本の規制改革推進・民間開放3か年計画には、多くの改革提言が含まれる。これには、以下の措置が挙げられる。

 ■パブリックコメントの募集期間には原則30日間を確保することとし、例外的にそれを下回る期間を設定する場合には、その理由を当該行政機関が公表する。

 ■各行政機関は、提出されたパブリックコメントを最終規制に採用しない場合において、その考え方を詳細に公表する。

 ■規制原案に、可能な限り規制影響分析を付してパブリックコメント手続の対象とする。

 ■各行政機関は、国民等からの提出意見・情報について各行政機関のホームページ上でその全文を公表する。

 ■コメントが十分考慮され、また適切な場合にはそれが最終規制に取り入れられているか、といった観点から、パブリックコメント手続の実施状況および適正な運用についての充実した調査を実施する。

 ■パブリックコメント手続を日本の行政手続法に盛り込んで、同手続を強化する。

■電子政府の総合窓口(www.e-gov.go.jp/)を充実させて、国民が規制原案に係るパブリックコメント招請案件を一層容易に一覧できるようにした。


構造改革特別区域(特区)

背景:2003年4月に小泉首相は、57の構造改革特別区域(特区)を認定することをもって、日本における構造・規制改革の速度を速めるための行動を開始した。このイニシアティブは、煩雑な規制に阻害されることなく事業を行なうことのできる区域を設けることにより、規制撤廃を主導する権能を地方自治体に与えてきている。小泉首相は、このイニシアティブを首相の規制改革アジェンダの主柱と位置づけて、現在までに324の特区を認定した。これには、米国企業が操業する特区が含まれる。エクスプレス航空貨物輸送業が、成田国際空港特区における通関手数料の大幅な低下という恩恵に浴している例がある。

 米国政府は、特区の拡大、そして地方における規制撤廃により成長を促進するという新たな革新的アプローチの成功の確保する上で、規制改革イニシアティブを通じて協力する機会を歓迎する。米国政府は、今秋に予定されている最初の全国規模の特区拡大に期待している。

進展:特区イニシアティブの実施に当たり、日本政府は、以下の措置を講じている。

■米国その他の外国企業に対して、構造改革特別区域推進本部への特区に関する発案の策定と提出および特区への積極的参加を呼びかけている。

■特区において成功した措置を今夏後半に全国規模で広げる予定である。これにより、全国各地に規制・構造改革の恩恵をさらに広げることが可能になる。

■特区イニシアティブを進めるにあたり、特区申請プロセスや特区実施手続の設定などにおいて、透明性の確保を続けていく。

■特区の提案提出、提案の承認、利害関係企業支援のための英文資料作成を含む特区における操業において、内外の企業に無差別に機会が与えられることを確保する。

■特区の成功と中止を判定する特区評価委員会の審議と決定に開放性と透明性を確保する。

■規制撤廃による恩恵の経済に対する広範囲におよぶ好ましい影響を最大にするために、特区イニシアティブに基づき一時中止する規制の数を増加させる。 


法制度とインフラ

背景:規制・構造改革を支え、国際的ビジネスニーズに応える日本の法環境の創出は、日本経済の回復と再編に欠くことのできない重要な要素である。日本の法制度は、国際的法律サービスの効率の良い提供を望む市場のニーズに応え、ますます緩和の進む規制環境において事業を執り行うための健全で効果的な基盤を提供する力を持つ必要がある。米国は、日本が外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(外弁法)の改正を最近可決したことを賞賛する。これにより、外国法事務弁護士(外弁)と日本の弁護士(弁護士)との間の提携の自由に関する制限が大幅に解除されることになる。日本における法律サービスの利用者が最近可決されたこれらの改正の恩恵を最大に享受することを確保するためには、さらなる自由化措置が今後も必要である。同様の観点で、米国は、司法制度改革の分野において日本が見せている進展の成果を賞賛する。さらに、米国は、特に行政機関が行う行政措置に対する司法審査の効果の向上に関連して、この分野における努力の継続を期待している。

進展:これらの問題に対処するために今まで日本が講じてきた、または今後講じていく新たな重要な措置には、以下が挙げられる。

■外弁と弁護士の提携の自由を大幅に認める外弁法の改正を可決した。この改正法が2005年に施行されると、外弁と弁護士の共同事業や外弁による弁護士の雇用が認められるようになる。

■日本弁護士連合会(日弁連)と協力して、日弁連が新たな改正外弁法の条文と精神に沿った会則・会規を制定し、公布をする作業を進めている。

■日本に複数の事務所を開設することのできる法人の設立を外弁に認めることの是非についての検討が行なわれている。これは、弁護士には既に認められていることである。

■自分に不利益をもたらす行政処分に異議を申し立てるために第三者が訴訟に参加する権利を大幅に拡大することになる法案を、2004年3月の国会に提出した。これにより、日本の行政機関に対する司法審査の改善がもたらされることになる。


商法

背景:積極的な企業の再編と企業経営の改善が、日本経済の活力再生と持続する成長の道への復帰を促進している。この再編を促進するためには、現代的合併手法を、日本においてさらに利用できるようにする必要がある。その第1歩として、日本は最近、改正産業活力再生特別措置法(産業再生法)の下に、三角合併と現金合併の利用を認める有用な措置を講じた。しかしながら、これらの手法の利用を阻む障害が残されている。例えば、産業再生法の条件外で合併を求める企業に対しては、これら手法の利用は許されていない。優れた企業統治メカニズムの導入はまた、生産性の向上と経済的に健全な経営意思決定を通じて株主の利益の最大化にまい進する経営者の努力を確保することにより、日本企業の業績を改善していく。優れた企業統治には、年金基金やミューチュアルファンドなどの大手法人株主を含む株主の積極的な参加が求められる。さらに、優れた企業統治は、株主や監督機関の経営者に対する適切な監督の遂行を可能にすることを確保するために、法律や規制に対する違反行為を報告する通報者を督励・保護することにより、促進される。最後に、裁判外の紛争解決手続(ADR)を促進する環境の創出は、日本の利益につながる。ADRは、企業が紛争を効果的で経済的な方法で解決することに役立つのである。

進展:これらの問題に対処するために今まで日本が講じてきた、または今後講じていく新たな重要な措置には、以下が挙げられる。

■現代的合併手法を日本の会社法に取り入れる法案を、2005年初頭の国会に提出する準備が進められている。この法案に盛り込まれる手法には、三角合併や現金合併およびショート・フォーム(スクイーズ・アウト)マージャーなどが含まれる。

■日本における企業再編と投資を促進する方法に関する検討が積極的に進められている。これには、現代的合併手法に関する税の取扱いが含まれる。

■基金の受益者の利益になる方向で企業統治と株主価値を向上するメカニズムとして、年金基金とミューチュアルファンドの管理者による議決権の代理行使を促進する。これには、以下の措置が挙げられる。

 ■年金資金運用基金の外部管理者に対して議決権の行使を義務付ける指針が出された。

 ■これら管理者に対する議決権行使の指針の公表について検討を行なう。

 ■厚生年金基金連合会、その他の政府関連年金基金、および投資信託協会(日本のミューチュアルファンド企業のほぼ全社が加入している協会)が詳細な議決権行使のガイドラインを発行している。

■公益通報者保護法案を2004年3月の国会に提出した。この法案は、日本の証券取引法に対する違反行為を通報した従業員を保護することにより効果的な企業統治の改善を促進することを目指したものである。

■日本においてADRメカニズムの強化と活力再生に向けた手段を積極的に検討している。その目的は、日本におけるADRサービスの発展を促進する柔軟性のあるオープンな法環境の創造である。


流通

背景:商品と情報の迅速な配送に対する国際的な需要が、急速に拡大している。エクスプレス航空貨物輸送業などの多くの活力ある比較的新しい産業は、今や国際貿易の重要な要素であり、国際物流の円滑な発展には不可欠である。効率性の高い国際貿易には、流通に対する規制その他の障害が最小限であり、通関手続が円滑であり、エクスプレス航空貨物輸送業による商品と情報の自由な交換を妨げるコストを最小限にすることが必要である。完全にシームレスな流通制度の創出にはいまだ課題が残されてはいるが、日本政府が、コスト削減などの多くの措置を講じたため、米国のエクスプレス航空貨物輸送業の能力は高まり、より効率的かつより早く商品と情報を配送できるようになり、ひいては日本経済の利益向上につながるであろう。

進展:この分野において今まで日本が講じてきた、または今後講じていく重要な措置には、以下が挙げられる。

■2004年の春に7つの主要国際港における通関手数料の一部がさらに50%引き下げられ(昨年の50%引き下げに加えて)、またこの50%手数料引下げを日本全国の他の港においても実施した。

■成田国際空港株式会社が、中期経営計画に経営状況を見極めた上で可能な限り早期に着陸料を引き下げることを目標に盛り込んだことを認識する。成田国際空港および関西国際空港の着陸料引き下げにより、旅客・貨物航空会社は毎年何百万ドルもの費用を節約できる。これが、日本における経営コストの削減をもたらし、消費者も国際および国内航空運賃の引き下げによる恩恵をこうむることになる。

■日本の空港における航空貨物の通関手続き手数料制度の改善に透明性をもって取り組んでいる。これには、以下のことが挙げられる。

 ■制度の見直しを行なう委員会には国内外の関係者の参加が認められた。同委員会の報告書は2004年6月または7月に発表される予定である。

 ■同報告書に基づく手数料制度改革提言に対してパブリックコメントが募集される。

■規制改革イニシアティブでは初めて米国政府との航空運賃価格設定問題に関する討議が行われた。これは具体的には、航空券の販売と、運賃に係わるダブルディスアプルーバルの問題である。

■クレジット・デビットカード取引を保護するために銀行のATMネットワークに十分な水準のセキュリティ基準を維持することの重要性が再確認された。クレジット・デビットカード犯罪に関連する取り締まりを強化する。また、日本の政府サービスの支払い手段としてのクレジット・デビットカード利用推進に関して米国政府と討議する。

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