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アフガニスタン国民に対するタリバンの背信行為

国務省国際情報プログラム室・ワシントンファイル

2001年10月17日

 1996年にタリバン(イスラム原理主義武装勢力)が権力を握って以来、その悪政の主な犠牲になっているのは、アフガニスタンの国民である。タリバンの民兵は、アフガニスタン国内で戦っている他の勢力による人権侵害行為に対応して、1994年に結成された。タリバンは1996年までにカブールを攻略し、政治的権力だけでなく宗教的権力をも強めて、恐怖による統治を始めた。タリバンは、アフガニスタン国民に、自らの意志に反して外国の武装テロリストをかくまうことを強制した。このテロリストらは、アフガニスタン国民を利用し、危険にさらし、アフガニスタンを国際社会ののけ者にしてしまった。

 このファクトシートでは、タリバンがアフガニスタン国民に対して行った残虐行為と人権侵害行為の中から、記録されているものについて概説する。

大量虐殺

 タリバンは、ヤカオラン、マザリシャリフ、バーミヤン、ケゼラバード、その他の町で、女性や子どもを含む数百人ものアフガニスタン民間人を虐殺している。その犠牲者の多くは、民族あるいは宗教を理由に虐殺された。

 ヤカオランにおける虐殺(2001年1月): 2001年1月、タリバン軍は、ヤカオランで大量虐殺を行った。犠牲者は主としてハザラ族である。2001年1月8日に始まった虐殺は、4日間にわたって続いた。タリバンは、地元の人道主義団体のスタッフも含む民間人の成人男性約300人を拘留した。男性はいくつかの場所に集められ、衆人環視の中で銃殺刑に処された。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(国際的人権擁護団体)によると、170人の男性の殺害が確認されている。また、アムネスティ・インターナショナル(国際的人権擁護団体)によると、モスクに隠れていた数十名もの民間人が計画的に殺害されていたことが、複数の目撃者によって報告されている。女性、子ども、男性の高齢者ら73人が避難していたモスクに、タリバン兵がロケット弾を打ち込んだという。

 ロバタクパスにおける虐殺(2000年5月): 2000年5月、ロバタク・パス付近で大量虐殺が行われた。31人の遺体が1カ所で発見され、うち26人は民間人であることが確認された。犠牲者は、シーア派ハザラ族だった。

 バーミヤンにおける虐殺(1999年): 1999年にタリバンがバーミヤンを奪回した際に、バーミヤンに入ったタリバン軍が即時処刑を行ったとの報告があった。アムネスティ・インターナショナルによると、数百人もの男性、そして時には女性・子どもが、家族から引き離されて連行され、殺害された。ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、タリバンは民間人を処刑したうえに、家を焼き払い、抑留者に強制労働をさせた。

 ショマイリプレーンズにおける虐殺(1999年7月): ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告では、タリバンがショマイリプレーンズを攻撃した際に、即時処刑を行い、女性は、さらわれたり、行方不明になり、家が焼き払われ、財物が破壊され、果樹が切り倒された。1999年11月16日の国連事務総長報告は、「これらの行為を実行したとされるタリバン軍は、民間人を最初から敵のように扱い、戦闘員と非戦闘員の区別をしなかった」と述べている。

 マザリシャリフにおける虐殺(1998年8月): 1998年8月、タリバンはマザリシャリフを制圧した。マザリシャリフが占領された後、ハザラ族の民間人を中心とする2000人から5000人の男女・子どもがタリバンに虐殺されたとの報告があった。虐殺の際に、タリバン軍は、市内のハザラ族、タジク族、ウズベク族の集まる各地区で男子を組織的に探し出した。ヒューマン・ライツ・ウォッチの推定によると、数十人、あるいは数百人ものハザラ族の成人男子および少年が即時処刑された。また、タリバンによる占領の際に、女性および少女に対する婦女暴行と誘拐が行われたとの報告もあった。

 マザリシャリフにおける虐殺(1997年9月): マザリシャリフの制圧に失敗し、撤退するタリバン軍が、近郊のハザラ族の村民を即時処刑した。アムネスティ・インタ?ナショナルの報告によると、タリバンはマザリシャリフに近いケゼラバードで、子どもを含むハザラ族の民間人70人を虐殺した。また、1997年末にタリバン軍がファリヤブ州で約600人の民間人を殺害したとの報告もある。

 その他の虐殺: ヒューマン・ライツ・ウォッチよると、タリバンは少なくとも2度にわたって、仲裁に来たハザラ族の長老の代表団を殺害した。

女性と少女に対する人権侵害

 タリバンの支配により、アフガニスタンの女性や少女は、特に厳しい状況に置かれている。アフガニスタン国内のタリバン支配地域における、タリバンによる女性や少女に対する制約は広範にわたり、制度化され、体系的なものになっている。

  • 女子は公式に就学を禁じられている。
  • 女性は、ごく少数の例外を除いて、家庭外で働くことを禁じられ、男性の親族を伴わずに外出することを禁じられている。戦争未亡人になった数千人ものアフガニスタン女性はこうした制約によって破壊的な影響を受けており、彼女らは家族を養うために財産を売ったり、物乞いをしたりすることを余儀なくされているという。
  • タリバンは、女性を診療するのは女医でなければならないと定めることによって、女性の医療へのアクセスを大幅に制限した。
  • タリバンは、女性に対する脅しや打撃によって、強制的に服装規定に従わせている。

タリバンと人道的状況

 アフガニスタンにおける人道的状況は厳しい。20年に及ぶ内戦と4年にわたる大規模な干ばつが、こうした状況の一因になっているが、タリバンはアフガニスタン国民を政治目的達成のための人質にすることで、深刻な状況をさらに大きく悪化させている。

  • タリバンは、アフガニスタン国民に押し付けた苦難を共有せず、またそうした苦難を緩和する努力を何一つとしてしていない。
  • タリバンは、アフガニスタン国民に安全、食糧、住居を提供しようとしないだけでなく、アフガニスタン国民に危急存亡の食糧や医薬品を届けようとする国際救援機関の活動を妨害している。
  • タリバンは、救援機関の外国人およびアフガニスタン人スタッフを苦しめ続けている。
  • 10月16日、タリバンは、世界食糧計画がアフガニスタンに供給する小麦備蓄の半分以上を保管する国連倉庫2カ所を奪取した。国連安全保障理事会は10月16日、タリバンがアフガニスタン国民のための救援活動の妨害を停止することを要求した。

タリバンとイスラム教 タリバンは、イスラム教に対する独善的解釈をアフガニスタン国民に押し付けている。

  • タリバンによるイスラム教の解釈は、イスラム世界で広く共有されているものではない。
  • タリバンの言動は、イスラム教を誤って伝えるものである。
  • タリバンは、アフガニスタンで民族浄化を行う口実としてイスラム教を利用している。
  • サウジアラビアの作家トルキ・アル・ハマドは、自著「As-Sharq Al Awsat」の中で、「われわれの諸国をもう1つのアフガニスタンに変えること」に対する警告として、このように書いている。「<中略>[タリバンの支配下では]イスラム教は、グローバルな人間的・文明的な使命を持つ世界的な宗教から、ハトの飼育、長髪、たこ揚げ、音楽鑑賞を禁止するタリバン的なドグマに成り下がってしまう。<中略>その間に世界では、ゲノムが解読され、クローン実験が行われ、情報チップが発明され、宇宙探検が行われ、レーザー光線や赤外線放射の驚異が探究されている。われわれが、こんにちの世界に影響力を持つことを望むならば、その世界と交流することが唯一の道である」

アフガニスタン文化の破壊

 タリバンは、自らの偏狭な政治的利益のために、アフガニスタンの慣習、伝統、および宗教行為を堕落させてしまった。

  • タリバンと、その「客人」である外国人武装兵士らは、アフガニスタンの伝統文化の破壊を始めている。
  • あらゆる音楽、そしてたこ揚げ等の伝統的な娯楽さえも禁止している。
  • アフガニスタン人の歴史的・文化的遺産を略奪・破壊している。この地域で有数の優れた博物館だったカブール博物館は、ほぼ空になっている。何世紀も前に作られたバーミヤンの仏像は破壊され、がれきと化している。
  • タリバンは、アフガニスタンの人々の歴史と未来を奪った。

タリバンによる残虐行為の記録

 いくつかの非政府組織が、タリバンによる残虐行為の記録をウェブサイトに掲載している。

  • アフガニスタン女性革命協会のウェブサイト(www.rawa.fancymarketing.net)には、タリバンによる虐殺、むち打ち、処刑を記録した写真やビデオ・クリップが掲載されている。このドキュメンタリー写真およびビデオは、タリバンの残虐行為の証拠を提供するために、複数のアフガニスタン人女性がひそかに撮影したものである。このサイトのビデオ・クリップの1つは、7児の母であるアフガニスタン人女性の公開処刑を記録している。
  • いくつかの人権擁護団体が、アフガニスタン紛争におけるタリバンおよび他の勢力による人権侵害行為の記録をウェブサイトに掲載している。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(www.hrw.org)およびアムネスティ・インターナショナル(www.amnesty.org)は、このような人権侵害行為の記録を数多く提供している。
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