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(下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英語です。)

総務省の「行政立法手続等の論点」に対する米国政府のコメント

(仮訳)

2004年8月23日



 米国政府は総務省から平成16年7月23日に公表された「行政立法手続等の論点(案)」に関して意見を述べる機会が与えられたことに感謝致します。米国政府は、総務省がパブリック・コメント手続の改正を真摯に検討していることを称賛し、日本の行政立法手続上、重要な要素であるこの点を改善する方法を、行政手続法検討会が検討されていることを称賛します。

 米国政府は1999年より日本政府がパブリック・コメント手続を実施していることを歓迎してきました。しかし、パブリック・コメント手続実施の際、より透明で公正、且つ開かれた行政立法手続を目的とする、パブリック・コメント手続の価値ある趣旨に反するような問題が見受けられます。これらの問題に含まれるものとしては、不十分な募集期間や妥当と思われる意見が最終規則に十分反映されない等があります。

米国政府は行政手続等の論点(案)に関して以下の具体的な意見を提出致します。

論点1  制度創設の理念・目的について

 米国政府は、日本政府が2004年度中にパブリック・コメント手続の改善をとおして、規制の設定・改廃を決定する過程において、より透明でより公正なものを目指し計画を進めていることを支持します。官民の両方が行政立法手続の過程で意見を提出できるようにするということは、良い統治を推進することとなり、官僚的障壁を除去し経済的効率を高めることとなるでしょう。さらに、効果的なパブリック・コメント手続は、行政立法手続に参加する関係者の範囲を広げ、規制の変更に対する世論の支持を強化し正当化することでしょう。したがって、パブリック・コメント手続は意義ある形で一般市民の意見が取り入れられることを可能にするよう適用されることが必須であり、単に形式的に一般市民の意見が意義ある形で取り入れられたように見せるためだけのやり方でパブリック・コメント手続が利用されることがないよう措置を講じることが必要です。

論点2  適用範囲について

 適用範囲については、法律案、ガイドライン、指針を含むがそれに限定することなく、規範等を定めるあらゆる機関および手続を含んだ包括的な方法を米国は勧めます。具体的には論点2の(4)について、米国は、一貫して省庁により運用される手続となるよう、日本がパブリック・コメント手続を改正することを求めます。そうすることにより、規制環境の透明性と予見可能性の確保を助長することとなるでしょう。

論点3  意見提出手続について

米国政府は日本に対し、パブリック・コメント手続の改正に向けてここ数年、数多くの提言をしてきました。2003年10月24日の日米規制改革イニシアティブに基づく年次改革要望書の中で米国は、規制の設定・改廃の際、パブリック・コメント手続により、広範囲から意見と情報を収集するよう精力的に努力し、以下の措置を講ずるよう提言しました。

•緊急を要する案件以外は標準的な意見募集期間を60日間とし、最低30日間を義務付けること。

•草案に対して提出されたすべてのコメントを、適切な範囲内において最終的な規制案に取り入れることを義務付けること。

•パブリック・コメントの提出に枚数の制限や80字以内の要約等の過度に厳しい要件ならびに同手続きの趣旨に反するその他の要件を課すことを禁止すること。

•一般市民が(パブリック・コメント手続の適用対象の当否にかかわらず)審議会、研究会、勉強会およびその他の検討会によるものも含む意見募集を1カ所から容易に知ることができる中央システムを設置すること。

•政府設立機関や認可された自主規制機関によって提案された規制・規則等はすべてパブリック・コメントに付され、提出された意見が最終案に適切に反映されるよう真摯に検討することを義務づけること。

論点3(2)案の公表について

 米国政府は日本に対しできるだけ早い時期に規制草案を公表するよう求めます。早い段階から案を公表することによって全関係者が提案された規制をタイムリーな形で検討・分析する機会を持てることになります。早期に概要、草案および提案を公開することは、関係者が複雑な案件を分析し意義のあるパブリック・コメント提出の準備ができるよう充分な時間を与えることとなるでしょう。また、米国は、日本が政府のウェブサイトを利用して意見募集期間と結果を公表していることを称賛します。

論点3(3)意見等の提出期間について

 ここ数年、日本のパブリック・コメント募集期間の約半分は目安となっている30日間以下であり、これらの多くは、総務省が毎年行っている「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」の実施状況調査で明らかになっているように、目安よりもかなり短い期間で実施されています。このような短い期間では、度々非常に複雑な問題に対し、一般市民が内容のあるコメントを提出するのに十分な時間を与えていないことになります。よって、米国は日本に対し標準的な募集期間を60日間とするよう提言します。また、米国は、迅速な規則制定が必要とされる緊急な状況もあり得ることを認識しているものの、規制の変更を検討する際、十分な意見募集期間を計画に取り入れることが強いられるような手続が設定されることが必須と考えます。したがって、米国は、緊急な事態で意見募集期間が短くなる場合、その理由を省庁が公表するべきだという提言を支持します。

論点3(5)意見等を提出できる者の範囲について

 米国は日本が、外国の官民を含む全関係者から意見を募ることにより、見解や気がかりな点を述べる機会を関係者に与える固い意思があることを示すよう求めます。

論点3(7)意見等の取り扱い及び (8)結果の公表について

 米国は日本に対し、提出されたパブリック・コメントを真摯に検討し、適切な場合それらの意見が最終案に反映されるよう求めます。提出された意見および政府の公式回答、ならびにどのようにして意見が反映されたか、またされなかった場合その理由を公開するべきです。一般市民が提出された回答全文を見ることができるようにすることが特に大切です。例えば提出されたパブリック・コメントのすべてをインターネット上で公開することなどは比較的容易なことで、透明性を推進するものです。

論点3(9)その他について

 パブリック・コメント手続を適用した後、大幅な修正が必要とされる場合は、修正案を公表して再度追加のパブリック・コメント募集を実施することを米国は提言します。

 また、すべてのパブリック・コメントを適切且つ充分に考慮するため、意見募集期間の締め切りと規則の最終決定までの間に適切な時間を設けるよう義務づけるべきです。

 最近、不十分なパブリック・コメント手続の残念な例として、2004年6月15日に厚生労働省が「雇用管理に関する個人情報の適正な取り扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」に係る意見募集を公表した件がありました。意見募集期間が2週間という短い期間であったというだけでなく、厚生労働省は募集期間の締め切りから24時間以内に、内容の変更は何もないまま指針を公表しました。このような誤用はパブリック・コメント手続の趣旨に反し、省庁側が一般市民の意見に対応する意思がないかのようにとらえられます。

論点4. 理由の提示について

 米国は特定の省庁(例えば総務省の総合通信基盤局、経済産業省、内閣府)が受理した意見に対し回答する良き努力をしていることを認識しています。これは行政立法手続の理解を一般に広めることにつながります。省庁が回答する際、その対象となる意見を提出した個人名または団体名を公表するよう、米国は提言します。これは背景上大切なことです。例えば、電気通信分野においては、支配的事業者であるNTT からの意見は競合事業者からの意見とは違うとらえ方がされるでしょう。同様に、政策問題に対し、固定通信事業者と移動体通信事業者とでは異なった取り組み方をするでしょう。

論点8. 送達手続・その他について

 手交、書面、郵便、ファクス、電子(メール又はインターネット)を含むすべての送達手段が認められるべきです。



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