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(下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英語です。)

電波有効利用政策研究会による「電波利用料制度の見直しについての基本的な考え方最終報告書( 案) 」 に対する米国政府のコメント

平成16年8 月24日

 米国政府は、7月22日に発表された電波有効利用政策研究会(以下「研究会」という)による「電波利用料 制度の見直しについての基本的な考え方最終報告書(案)」(以下「報告書」という)に対するコメント を総務省に提出させて頂きます。7月22日付けの報告書は提言の基礎と成りうる様々な論点を網羅していま す。その中でも特に次の2点について言及したく思います。(1)電波利用料と電波の有効利用の関係(2) 電波の管理や無線技術の研究開発プログラムに要する資金をどのように供給するか。

電波有効利用を促進するツールとしての電波利用料

免許を要する周波数帯の利用者

 米国政府は研究会の主要な結論である、国民共有の資源である周波数帯を占用あるいは優先的に使用すること で利益を享受する民間部門がこの公共資源を無駄に使用しないよう、電波の有効利用を促進する経済的インセンティブがなければならないとする意見に賛成です。このように優先的、占用的に使用する事業者に対してコストを課さなければ、最も経済的に電波が利用されるように革新を進めるためのインセンティブが不足 する可能性があります。また電波を「在庫」して競合他社の取得を防ぐインセンティブが増す可能性があり ます。固定通信セクター及び移動通信セクター(NTTグループ会社がそれぞれの加入者アクセス回線を98% 及び60%独占)が競争の激化によって共に利益を享受し得ることを考慮すれば、未使用周波数帯の使用あるいは 返却を奨励する事は、明らかに日本の利益となるでしょう。適切に策定された電波利用料の仕組み、あるいは その他のインセンティブ(1) がその実現につながると考えています。しかしながら、これまで実際に、電波の有効利用を更に促進する目的で電波利用料額が設定された例はありません。

 総務省が国会で示された基本方針(2) を実現し、改革と効率を更に促進するためには、電波利用料等のインセンティブに加え、周波数帯使用に関するより柔軟な政策について検討をすすめるべきだと考えます。これに該当する分野は次の2つです。第一に、日本では特定の帯域で利用できるサービスや技術を過度に規制する ケースが数多く見受けられます。例えば、ITUで承認された技術が既に市販されているものと比べて必ずし も優れているわけではないにも関らず、総務省関係筋は2010MHz帯のサービスはITU標準規格を使用したもの でなければならないと述べています。第二に、日本では免許人が付与された周波数帯を他の使用者に貸与、転貸あるいは交換できるよう促進する明確な政策やルールが見当たりません。免許人が(免許を保持するためにコストが発生しているにも関らず)周波数帯の返却に消極的であったとしても、貸与、転貸あるいは交換のルールがあれば、利用可能な周波数帯のより経済的な活用を促進する可能性があります。

免許を不要とする周波数帯の利用者

 上記コメントはいずれも特定用途のために取っておいた帯域を占有あるいは優先的に使用する者に適用される インセンティブです。このような特権を付与されていない免許不要局及びその使用者には適用されません。 免許不要局が使用する周波数帯は特定の使用者によって占有されていないため、理論的にこれを「在庫」す る事はできません。更にこの帯域は得てして利用度が過密しているため、元々電波を最大限有効に利用する 強いインセンティブが存在しているでしょう。有効利用を促進する経済的インセンティブは周波数帯が占有 あるいは優先的に使用されている場合は有意義ですが、そのような特権を享受しない免許不要局の使用者の場 合は逆に作用する可能性があります。免許不要機器の購入代金に実質上「課税」することで需要が減少し、電波利用の縮小及び有効利用の減少につながると考えます。免許不要局に関する規制が少ないこと(すなわち、 免許の処理、審査、記録が不要で、他の費用は基準認証手数料で回収可能。)から電波管理費用として手数 料を課す議論は説得力を欠くと考えます。よって、帯域を占有しないあるいは優先的に使用しない免許不要局 の電波利用料負担を主張する意見は明らかに国会決議の考え方に反するため、総務省はこれを棄却するべき と考えます。

 研究会はまた、周波数利用の第三のカテゴリーとして、帯域占用型でありながら免許が不要とされる機器(例 情報家電)について言及しています。帯域を占有する見返りとして電波利用料を課すという点でこれまでの 議論と一貫していますが、このように帯域を占有する事が適切であるのか、かえってより多くの機器や使用者に帯域を開放することで有効活用を促進できるのではないかと疑問に思っております。帯域を占有あるいは 優先的に使用する新しいカテゴリーを設けるのではなく、総務省はむしろ提案されている機器に対する社会的なニーズの高さや、より効率的で社会的に適正と考えられうる周波数使用者を排除せずに、家電メーカーが目標とされるクオリティの高いサービスを提供できる機器の開発が可能かどうかを検討する開かれた議論 の場を設ける必要があると考えられます。

電波利用料を研究開発と地方開発プロジェクトに充てる

 米国政府は電波利用料の問題と研究開発は別々に捉えるべきだと考えます。研究開発が電波の有効利用につながる可能性はありますが、そのような結果は理論の域を出ていないため、費用拡大の正当な理由付けとするべきではないと考えます。総務省が研究開発費を増やしたとしても、現在研究開発費に充てている金額が 不十分である、あるいは、最適な方法で運用されているにもかかわらず不足している証拠が何も提示されてい ないため、電波の有効利用を必ずしも促進するとは限りません。

 電波利用料の改正を検討する場合は、改正のメリットに着目するべきであり、正当化されていない支出を拡 大する手段として検討するべきではないと考えます。この観点から、総務省は現在管理する研究開発用資金 の再配分を検討すべきかもしれません。

 一般的に、米国政府は従来から、周波数の商用利用を管理し、免許を付与する立場にある総務省が、研究開発用の資金を提供することで、利益の衝突が発生する可能性を懸念して参りました。総務省の特定技術を助成 する役割や選択された技術を免許付与基準に含める慣習を考慮しますと、自らが支援した技術を採用する事 業者に対して他よりも有利に免許を付与し、競合する技術の損害につながる可能性があります。電波利用料の資金で研究開発に充てる割合が更に増えるならば、より公平に資金を管理できる機関を他に検討すること が妥当と考えます。

 電波利用料を地方での無線通信サービス展開のための助成金として充てる考えは、今以上に注目されるべき と考えます。現在NTTが提供する不十分なワイヤレスサービスに代わるあるいは補完し、全てのサプライヤ ーが平等に利用できる、革新的なワイヤレスサービスに資金を提供することは、この改革の目標として有意義 なものであると考えます。


1. 米国政府は、同じようなインセンティブを創造する方法としてオークションは適切ではないとする研究会の結論(第3章第 2節A)に反対します。オークションの仕組みが不適切な場合、芳しくない結果が生じる可能性がありますが、希少な資源を公平に割当てる手段として、また建設的な利用のためのインセンティブを促進する目的で、多くの国々がこの仕組みを上手に活用しています。総務省はこれまで、免許を要する周波数帯を競合者に客観的且つ公平に付与出来るこれまでの方法に取って代わる ものを開発していません。

2. 国会での電波法審議時の附帯決議(衆議院4月13日、参議院5月11日) 電波の逼迫状況を解消するため、電波の再配分のみでなく、未利用周波数帯の開拓等の技術開発を含め、電波の有効利用に引き 続き取り組むこと。(添付資料Reference 2)







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