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*以下は、2001年9月26日付朝日新聞朝刊に掲載されたベーカー大使の寄稿を、朝日新聞社の許可を得て転載したものです。

「テロと戦うために世界的な連合を」

駐日米国大使 ハーワード・H・ベーカー

 去る9月11日、ニューヨークとワシントンで、米国人を始めとする多くの人々に対し、いわれなき攻撃が行なわれた。このテロによって亡くなった米国人の数は、1日の犠牲者数としては約150年前の南北戦争時を上回り、米国史上最悪の記録を残すことになる。その日以降、米国は、国家を守りわれわれの価値観を守るという決意を新たにした。ブッシュ大統領が示したように、われわれはその決意を実行に移す。大統領は、「われわれに対し戦争が布告された」と述べたのだ。

 このテロ攻撃以後、もはやだれも、以前のように世界が安全な場所であるとは考えられなくなった。テロの脅威に国境はない。これまでに判明しただけでも、78にのぼる国々の人々がこのテロ事件で亡くなったり、けがをしたり、行方不明になったりしている。罪のない人々がテロリストによって命を奪われた。世界中で恐怖感が高まっており、公共の安全ばかりでなく、市民社会の基盤そのものが脅威にさらされている。

 決断の時は来た。今や、立ち上がり、行動する時である。

 われわれは今、人々の思考のあり方を変えてしまうような、かつてない事態に直面している。行動を起こすべきだとの新しいコンセンサス、そして、世界平和に対する脅威と長期にわたって戦うという、これまでにない強い意志が生まれている。悲しみに満ちたこの時にあっても、米国人の精神は、イスラム教徒も含めた世界中の一般市民から寄せられる励ましと、多くの政府や地域・国際機関から示された明確な支持の姿勢によって高揚している。

 パウエル国務長官が述べたように、テロ事件の発生からわずか2週間で、国連安全保障理事会、国連総会、主要先進国(G8)、イスラム諸国会議機構(OIC)、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)など数多くの組織が、米国に対する力強い支援を表明した。世界中の同盟国からも励ましや支援が寄せられた。197の国や地域からは哀悼のメッセージが、そして59の国から災害救助支援の申し出があった。また、多国間組織からも44の支持声明が発表された。われわれは、こうした動きが、テロリストの標的がだれであり、動機が何であれ、拠点がどこであれ、彼らと戦うという前例のない世界的な取り組みの始まりとなることを希望する。

 ブッシュ大統領は、日本政府が9月19日に明らかにした国際テロと戦うための対応措置策を心から歓迎している。小泉純一郎首相は、同時多発テロへの米国と国際社会の対応に関して7項目の「当面の措置」を発表した。その中には、自衛隊の協力、日本国内の米軍基地とその施設の警備強化、周辺国と避難民への人道支援、世界経済の安定化に向けた措置、そして出入国管理での国際的な情報交換の強化が含まれている。米国は、日本がこうした支援策を実施するに当たり、積極的に協力していく。

 米国はまた、日本政府が発表したテロ事件の犠牲者に対する1千万ドルの支援基金にも感謝している。こうした措置は、国際テロ根絶のための戦いに対する日本の決意表明であり、日本人を含めたテロの犠牲者に対する共感と同情を具体化したものである。

 米国政府は、今回の大量殺人テロ事件の容疑者や彼らをかくまう勢力だけでなく、世界中のだれもが犠牲になりうるテロ行為を今後も計画し実行しようとする者を裁くため、今後数週間にわたり積極的にそして慎重に、テロに対する国際的な連合を新たに構築していく。

 今後の道のりは険しく、また時間もかかることは間違いない。この戦争は、数週間や数カ月で終わるものではない。これは、数年間も続きうる、長く困難な戦いになる。われわれの目標は完全なる勝利である。これまで長い間、テロは国家を標的にしてきた。しかし、高度な通信網を駆使して大量破壊兵器を保有するテロリストの出現は、新たな深刻な脅威であり、その危険性を過小評価したり無視してはならない。

 テロと戦うに当たり、米国は、日本を含めた地球上の善意ある国々すべてに支援を求めていく。とりわけ、一般市民からの支援をお願いしたい。数千人もの罪のない人々の命が一瞬にして失われた。米国は、犠牲となった彼らのためにも、このような悲劇が世界中のいかなる場所においてもニ度と繰り返されることがないよう、日本がわれわれと共にテロに立ち向かうことを希望する。

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