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中国や朝鮮半島の安定 日米同盟の緊密さ貢献

[本稿は、2002年4月24日付け産経新聞朝刊に掲載されたベーカー駐日大使とのインタビュー記事を、産経新聞社の許可を得て転載]

  米国のハワード・ベーカー駐日大使(76)は23日、東京都港区の米国大使館で産経新聞のインタビューに応じ、米中枢同時テロを受けた日本の対テロ攻撃支援を例に挙げて日米同盟の良好さを指摘した。そのうえで、東アジアは朝鮮半島の南北関係や中国の台頭により今後の展開が不透明だとの見方を示し、「地域の安定は日米の緊密さにかかっている」と強調した。

 テロとの戦いの一環としてたびたび観測の出ている米国の対イラク攻撃の具体的な可能性には言及を避けたものの、そうした事態となった場合の、日本の協力については、「大量破壊兵器やテロの危険性を考えたうえで、日本が独自の判断で決めることだ」との見解を示した。大使はまた、北朝鮮による日本人拉致や不審船問題への理解を示し、拉致問題をめぐる交渉では、情報提供などで支援する方針を表明した。経済の好転に向けた日本政府の構造改革への取り組みに関しては、自身は「楽観的」とする一方、改革の履行は、「タイミングが肝心」として改革の遅れに懸念を示唆した。

   ◇  ◇

(ベーカー駐日大使との一問一答)

拉致問題 情報提供など支援の方針

ベーカー大使のインタビュー内容は次の通り。

― 昨年9月11日の米中枢同時テロ後の日米関係をどう評価するか

「同盟、友情関係はかつてないほど強い。両国関係は(日米安全保障条約締結後の)過去50年間、常に同盟関係は改善され続けた。日米同盟は太平洋の安全保障の重要な基礎となっている。また、テロによる危機感で関係は一層強まった。同時テロ以降、日米だけでなく対テロ戦が世界中の自由を愛する国をひとつにするようになっている。対テロ戦への協力で日本が迅速で有効な支援を行ってくれたことに米国は感謝している」

― ブッシュ大統領は、悪の枢軸としてイラン、イラク、北朝鮮を厳しく非難したが、大量破壊兵器の拡散阻止やテロ撲滅を目的としたイラクへの軍事行動があった場合、米国は日本にどのような行動を期待するか

 「悪の枢軸という言葉は大量破壊兵器を開発してきたことを非難するために大統領が使った。これらの国を孤立させるのではなく、態度を変えるならば話し合いにも応じようとしている。大統領もただちにイラクを攻撃するとは言っていない。現時点で日本に何を期待するかを述べるのは適当でないが、(アフガニスタンでの)テロとの戦いで日本が尽力したのは、同盟とか友情関係以上に日本が自国の利益にとって最も良いと判断した結果だったからだろう。イラク攻撃があったとしたら、日本は自国で判断し自国の意思決定を尊重し、テロや大量破壊兵器開発の危険性や利害関係を自ら考えて行動すべきだ」

― 北朝鮮による日本人拉致問題について、米国はどのように考えているか

 「米国はこの問題が日本にとって重要であることを理解している。北朝鮮も国際赤十字を通じた話し合いに応じており、このような対話継続が重要だ。米国も情報提供などで支援する方針で、大統領も朝鮮半島をめぐる問題は重要視している」 

― 北朝鮮の不審船問題をめぐって、米国政府や米軍が沈没した不審船引き揚げについて日本から協力要請を受けたことはあるのか 

 「協力要請は受けていない。日本が不審船問題を強く懸念しているのは理解しており、米国政府も日本の対応に強い関心を持っている」

― アジア、太平洋地域における日本、米国、中国の3国間の関係安定のために必要なことは

 「日本は世界第2位の経済力を持ち、中国の成長は驚くべきものだ。米国は太平洋の大国であり、これら3国の関係はこの地域(東アジア)において極めて重要だが、先行きが不透明なこの地域で、韓国と北朝鮮は安定を脅かすものともなりうる。中国が世界貿易機関(WTO)への加盟を果たしたが、中国に対しては日本、米国がWTOの規則に従うよう支援することが重要だ。地域の将来における軍事的、経済的均衡は、日米の同盟関係にかかっている。日米は地域の安定に大きく貢献しており、日米同盟の緊密さが中国や朝鮮半島にも安定をたらすことができるだろう」

― 小泉純一郎首相の構造改革に否定的な見方が出て、支持率も下がりつつあるが、小泉首相の改革をどう評価しているか。米国の期待に応えているか。

 「私は、日本の将来には楽観的だ。日本には問題を解決する能力がある。大統領は小泉首相が改革や経済再生を成し遂げることを確信している。私もそう思っている、時間がかかりすぎるとよくないのは歴史が示しているが、日本が適切にタイムリーに問題に対処していくと考えている。米国が日本に対して楽観的であることも重要だが、日本が自国に対して楽観的であることも必要だ」

(聞き手は編集局次長兼外信部長 名雪雅夫)

 

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