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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

「9・11後の日米関係」に関するベーカー大使の発言

日米大使東京フォーラム
国際交流基金国際会議場

2002年10月23日

 旧友のビル(訳注:ニューヨークのジャパン・ソサエティ理事長で元駐インド大使のビル・クラーク氏)、そして長年にわたり大切な友人であるパネル参加者の皆さん、ありがとう。私は、本日ここに出席させていただいたことを非常に喜んでいる。また、このプログラムに参加する機会を与えられたことに感謝するとともに、こうして共に発言する機会を与えて下さった聴衆の皆様に感謝を表明する。

 私の、私たち米国側の、前任者の1人である故マイク・マンスフィールド大使は、日米関係は世界で最も重要な2国間関係であると、よく言っていた。それは、その当時も事実であったし、私の考えでは今でもその通りである。日米両国は、世界最大の経済大国であるだけでなく、最も親しい友好国でもある。また、同盟国であるだけでなく、世界経済および世界の平和と安全保障における協力国でもある。日本と米国の関係は、真に比類なきものである。

 今日、世界は多くの問題に直面している。本日、このパネルでは、特にそのうち3つの問題に重点を当てる。その3つとは、周知の通り、テロとの戦い、朝鮮半島の平和、および世界の経済的繁栄の速度と成功の問題である。それぞれについて、少しお話しさせていただきたい。

 テロリストたちがニューヨークの世界貿易センターを攻撃したとき、何を目的としていたのか私には分からないが、実際の結果が彼らの目指すところと異なっていたことはかなり確信できると思う。なぜなら、あの攻撃の後、世界中の自由な人々が団結し、テロ勢力に対抗して自由な勢力の同盟が結成されたからである。このテロに対抗する同盟と決意には、世界中のほぼすべての文明国家が参加した。他のどの国よりも迅速に、また効率的に、テロに反対する意見を表明し、テロとの戦いに参加したのが、日本である。ブッシュ大統領が何度も述べているが、私はここでもう1度繰り返す。われわれは、継続するテロとの戦いにおける日本の支援に感謝している。われわれは、日本の確約を理解し、それが日米関係の基本的な重要性を表していることを認識している。

 テロとの戦いは続いており、今後も長期にわたり継続することは間違いない。しかし、米国と日本、および他の国々が、テロとの戦いにおける勝利を追求する意志は、時を経ても弱まるものではない。われわれは、持てる資源、才能、知力を結集して、世界各地におけるテロの脅威を明らかにし、テロの脅威に備え、それを排除する。

 小泉首相はいち早く、世界中の、そして日本の自由な人々のテロとの戦いへの支持を表明した。ブッシュ大統領は、そうした支持に対する感謝、そして小泉首相と日本政府および日本国民の強さと勇気と決意に対する称賛を、繰り返し表明している。

 しかし、自由な人々が直面する難題はテロリズムだけではない。また、ここ東アジアおよび太平洋地域における難題がテロリズムに限定されないことは確かである。ごく最近、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、ウランを使用した核兵器の製造に適したウラン濃縮計画を進めていることを認めたことが明らかになった。これについては、長年にわたり疑惑が存在していた。各国政府の情報・諜報機関によって論評や推測がなされていた。しかし、ケリー国務次官補の訪朝で、北朝鮮が初めて、こうした能力を持つことを、恐らく好戦的な態度で、認めた。米朝枠組み合意の公正な解釈およびその他多くの合意に鑑みて、北朝鮮がウラン濃縮のパラレル・プロセスを通じて核兵器開発を行っていることは、国際規準および特定の合意に対する違反であり、特に、米朝枠組み合意と核拡散防止条約に対する違反であることは明らかである。

 北朝鮮が核兵器製造およびそのためのウラン濃縮を停止しなければならないというのが米国の見解であり、日本政府もこれを支持している。また、ほぼすべての国がこれを支持していると私は信じている。ブッシュ大統領が述べているように、こうした脅威は、目に見える信頼できる形で除去されなければならない。また、小泉首相が述べ、ブッシュ大統領が同意したように、北朝鮮との国交正常化交渉を前進させる前に、この障害を乗り越えなければならない。

 現在の、そして長年にわたる米国の基本的な姿勢は、米国はいつでも、どこでも、無条件で北朝鮮と交渉する、というものである。それは、われわれが、朝鮮半島の平和はこの地域の平和にとって極めて重要だと考えるからである。しかし今、この新たな情報を受けて、大統領は、正常化の条件として、ウラン濃縮による核兵器製造という北朝鮮の野望に対する取り組みが成功しなければならないと宣言した。

 北朝鮮における秘密の核兵器開発計画は、米国、日本、韓国、そして全世界にとって極めて深刻な問題である。米国民は、日本国民とともに、この深刻な問題に取り組むことを誇りとしている。

 私は、平和を愛する国家は、北朝鮮による核保有を望まないと考える。日本、韓国、中国など、朝鮮半島に近い国々ならば、なおさらである。平和を明確に約束しない指導者の手中にあっては、それは差し迫った脅威である。これは取り組まなければならない問題であり、ブッシュ大統領が述べたように、目に見える信頼できる形で処理されなければならない。

 そして最後に、経済について一言申し上げたい。先に私は、日本が世界第2位の経済大国であり、米国が最大の経済大国であると述べた。これは自国を誇るためではなく、日本と米国が全世界の経済の大きな部分を占めている事実を指摘するために述べたことである。同時に私は、ここ何年もの間に明らかになってきた基本的な真実をも指摘したい。それは、米国が繁栄すれば日本が繁栄し、日本が繁栄すれば米国が繁栄するという事実である。日本と米国は、経済的に絡み合っている。友好国、同盟国としても絡み合っている。しかし、継続的な問題となっているのは経済である。その理由は銀行やデフレその他の問題だけではなく、われわれがこの両国の相互関係を懸念しているからでもある。だからこそ、その懸念を表明し、日本がこうした経済問題の救済を試みるに当たって援助を申し出ることが重要なのである。

 世界の経済学者が、デフレ対策よりインフレ抑制策の経験・実績の方が豊富であると指摘しておくことは、恐らく言うまでもないことではあるが、重要なことでもある。現在の日本の問題は、本質的には主としてデフレの問題であるが、これは対処されなければならない問題である。そして、それは、健全な銀行制度、健全な経済政策、国際規準の一貫した適用、また貿易、投資などを通じて対処されなければならない問題である。日本と米国は、最大の貿易相手国同士であり、北米大陸以外では、日本が米国の最大の貿易相手国である。われわれの将来は、その通商関係を維持し、相互に利益のある関係とする能力にかかっている。したがって、日本が銀行問題、デフレ、その他の問題にどう取り組むかということについて、米国は明確、重要、かつ継続的な関心がある。

 ひとつ付け加えさせていただくならば、私の出身地のテネシー州は、カリフォルニア州を除けば全米で最も日本からの設備投資額の大きい州であることを常に誇りとしている。そして、テネシー州はそうした日本からの投資を広く歓迎している。皆さんはわが州の市民である。皆さんは、われわれの地域社会の一員として迎えられている。これは、国際協調だけでなく国際投資が両国の福利に貢献できることを示す一例であると私は信じている。

 われわれの前途には大きな課題があるが、米国にも日本にも、民主主義制度があり、自由の伝統があり、テロの脅威に対抗する意志と決意がある。また、どのようにして朝鮮半島の核などの新たな脅威に対応し、日米間の貿易と通商の恩恵を拡大し、今後もパートナーとして世界の前進を主導していくかを考える能力がある。

 私は、ここ日本で、米国を代表してお話しできることを誇りに思う。また、本日この壇上に立てることを誇りとしている。ありがとう。

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