embassy seal U.S. Dept. of State
Japan Embassy flag graphic
U.S. Embassy - Japan


ODA 日米協力でテロの温床根絶を

以下は、2003年1月7日付朝日新聞朝刊「私の視点」に掲載されたベーカー大使の寄稿を、朝日新聞社の許可を得て転載したものです

駐日米国大使 ハワード・H・ベーカー

 日本と米国は過去20年以上、援助供与国として世界1、2位の地位を占めてきた。相手国の自立を促すために援助するという理念を両国は共有する。他国の繁栄と機会の実現を支援することは、テロ打倒を支援することでもある。

 9月11日以後の米国にとって、国家安全保障は抽象的な概念ではない。世界貿易センターにいた人々に対してだけではなく、テロはわれわれ全員に対する脅威である。中央アジアの破綻(はたん)国家やパキスタンの辺地の学校の教育、地球の裏側の国の抑圧や貧困が、両国の安全保障に破滅的な影響をもたらしうる。テロは地球規模の現象であり、バリ島やフィリピンなどアジアやそれ以外の地域でも大きなつめ跡を残してきた。

 貧困がテロを引き起こすわけではない。しかし、持続する貧困と抑圧は、絶望をもたらす。国民の基本的ニーズを満たせない国が、テロの温床になる危険性がある。貧困を克服するには、健康で労働意欲と能力のある国民が必要である。

 政府の途上国援助(ODA)は9月11日以後の世界において、重要な外交手段である。効果的に利用されれば、貧しい国々の教育や健康管理のニーズを満たす支援ができる。しかし、必要な法的・経済的な改革を伴わなければ、無駄になる可能性もある。多くの途上国では、政治腐敗が深く根を下ろしている。市場は閉ざされ、金融・財政政策も維持できないのが現状だ。

 ブッシュ大統領は先頃、ミレニアム・チャレンジ・アカウント(MCA)を創設し、米国の開発援助を今後3年間で50%(50億ドル)増加する方針を示した。「自国民のための正しい選択」を、途上国の政府に促すのが目的だ。

 MCAは、腐敗を根絶し、人権を尊重し、法の支配に従う国、公衆衛生と教育の維持と強化によって国民に投資する国を援助する。市場を開放して持続可能な予算を維持する国、官僚主義と贈収賄に阻まれずに、国民が事業を起こすことができる国に適用される。

 正しい統治、国民への投資、経済的自由の促進という三つの基準を推進する国は、米国からより多くの援助を受ける。こうした国はやがて自立し、援助を必要としなくなるだろう。健全な法律と政策は、その国により多くの外国投資をひきつけ、より多くの貿易収入をもたらす。そして、これらの財源が、より多くの雇用創出に効果的かつ有効に投資されていくからだ。

 MCAは大幅な援助増額と政治的・法的・経済的改革を結び付ける、とブッシュ大統領は述べた。「われわれが改革を強く求めることが、被援助国の国民のためになる」という指摘だ。

 米国と日本は、戦略的かつ協力的に行動することで、ODAを含めて両国の資源を最大限に利用する方法を検討している。両国は、堅実な政策を掲げて改革を始めている国や利益を共有する国に対して戦略的な投資をしている。例えば、アフガニスタンやスリランカでは、日本はODAを健全に活用して、平和の構築と開発を進めてきた。

 ODAは、テロとの戦いと「良い政府」の促進において、かつてない重要な外交手段になっている。財政事情が厳しくなっても、日本が健全なODA計画を維持してゆくことを、われわれは期待している。援助を自国民の生活の向上に役立てることができる国に対して最大限の恩恵を確保することが、世界1、2位の援助供与国としての両国の国際的責任である。

 HOME |  U.S. CITIZEN SERVICES |  VISAS |  POLICY ISSUES |  STATE DEPARTMENT
CONTACT US |   PRIVACY |  WEBMASTER
Embassy of the United States