embassy seal U.S. Dept. of State
Japan Embassy flag graphic
U.S. Embassy - Japan


以下は、2003年3月4日付読売新聞朝刊(9面)に掲載されたベーカー大使の寄稿を、読売新聞社の許可を得て掲載したものです

世界は決意を示す時

利益得るのはイラク国民

ハワード・H・ベーカー駐日米国大使寄稿

 米国、日本、そして全世界が、差し迫った危機に直面している。イラクは12年にわたり、大量破壊兵器の廃棄という国際社会 に対する公約を破ってきた。パウエル国務長官と国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長が国連安保理で、また、私 の友人のゴマソール駐日英国大使が読売新聞紙上で、国連査察に対するイラクの執拗な妨害をつまびらかにしてきた。私は、イラ クと国際社会の今後の選択について述べたい。

 1989年のベルリンの壁の崩壊は、平和と繁栄の新時代をもたらすと思われた。不幸にも、自由を脅かす者がその夢を打ち砕き 、イラクなどの無法者国家がもたらす脅威は、冷戦時代に直面した危機よりも多くの点でより深刻である。

 フセイン大統領は破たん国家を率い、恐ろしい兵器を隣国に向け、それを使用する意志を示し、中東地域のみならず世界全体 の平和を脅かす存在となっている。イラクは国際協定や法を無視し、隣国の主権を侵害してきた。フセイン大統領は独裁と抑圧で 支配し、国民への責務を果たしていない。

 米国は、イラクの大量破壊兵器開発を阻止するため、国際社会と一体となって十分に多国主義的なアプローチを取ってきた。 国連安保理は過去12年間で、イラクの武装解除を求める国際社会の決意を示す17の決議を採択してきた。米国は昨年、安保理決議 1441の採択に向けて、友好国やその趣旨に賛同する国々と緊密に協力し、同決議は満場一致で採択された。

 これは新しい問題でも二国間の問題でもない。イラクには国連の要求に応える時間が12年もあった。日本政府は、イラクに対 する武装解除の呼びかけの最前線に立ってきた。われわれは皆、イラクの武装解除が共通の利益であると認識している。イラクは 隣国を侵略し、引き続き大量破壊兵器を開発している。大量破壊兵器を発見することは査察官の責任ではない。安保理決議1441を 守っているかどうかを査察官が検証できるようにするのは、イラクの責任である。

 米国は新決議を歓迎する。だが新決議案の前に、すでに17の決議があることを忘れてはならない。

 新決議によりイラクが妥協する徴候はまったくみられない。フセイン大統領は、12年にわたり17の安保理決議を無視してきた ように、強制されなければ従わないという選択をした。ブッシュ大統領はホワイトハウスの執務室で、イラクとの戦争は回避した い、と直接私に語った。米国が安保理決議1441を提案したのは戦争をするためではなく、平和を守るためだ。

 過去12年間で、外交の策はほぼ尽きた。世界は今、イラクが選択した対決の姿勢に立ち向かう決意を示すべきである。米国は 期限を設けてはいないが、確固たる原則を確立した。そこにはフセイン大統領に大量破壊兵器の保有とテロリストの保護を許す余 地はまったくない。

 日本や米国のように法を重んじる国家は、行動規範を設定し、国際社会の意思を無視する独裁者や圧政者の挑戦に立ち向かう 責任がある。

 忘れてならないのは、国際社会の決意と行動で利益を得るのはイラク国民だということである。

 イラクは国際社会に復帰するだけではなく、国民には圧政から逃れ祖国を再建するチャンスが与えられる。米国、日本をはじ めとする世界の国々は、その決意を示さなければならない。

 HOME |  U.S. CITIZEN SERVICES |  VISAS |  POLICY ISSUES |  STATE DEPARTMENT
CONTACT US |   PRIVACY |  WEBMASTER
Embassy of the United States