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*以下は、2003年4月25日付産経新聞朝刊6面に掲載されたベーカー大使の寄稿を、産経新聞社の許可を得て転載したものです。

日本のイラク支援、素晴らしい

駐日米大使 ハワード・ベーカー

 3月19日(米東部時間)、(米英など)同盟国は暴虐な独裁者を武装解除し、国民を解放し、世界を重大な危険から守るため、イラクに対する軍事行動を開始した。作戦が始まったのはわずか1カ月前だったが、サダム・フセイン(大統領)は何十年も前から自国民に対し戦争と恐怖の統治を行っていた。そして今や、バグダッドから伝えられる喜びに満ちたイラク人の姿が明確に示すように、自国民から憎悪されていた政権は権力から退けられた。

 今日、イラク国民は信仰の実践や街頭での抗議を含めた意見表明を行うとともに、イラクが国際社会の平和的な一員と再びなれるよう、祖国の再建プロセスを始めることが可能になっている。

 われわれは(戦争で)罪のない市民や戦闘員が死傷したことを悲しみ、家族に弔意を表明する。また、死傷者が最低限にとどまり、イラクの経済基盤が受けた損害が限定的だったことに、安堵(あんど)している。われわれは今や、この豊かな国が持つ可能性が完全に実現されるよう、平和が回復され人々の生活が平常に戻るのを支援することに関心を向けている。

 回復へのプロセスは、歴史的な都市ナシリヤで4月15日に開かれた会議で始まった。記憶に残る限りでは初めて、すべての宗教、宗派を代表するイラク人が男女を問わず集まり、イラクの将来や、自国の統治確立への方法を話し合った。このプロセスに時間はかかるが、イラクの将来を決めるのはイラク人であることを間違えてはならない。今後設立される政権は同盟国ではなく、イラク人同士の話し合いによって決定されるのだ。

 ブッシュ大統領が言ったように、われわれはイラクに特定の政府を押しつけはしない。われわれはイラク人のイラク人によるイラク人のための政府樹立を手助けする。

 同盟国軍は赤十字社やイラク国民と協力し、電気、水道、電話といった基本サービスの復旧に努めている。店舗やレストランも営業を再開しつつある。何百人もの負傷者が、米英の軍施設で治療を受けており、欧州や中東諸国も野戦病院をイラクで開設しつつある。

 今後の課題が容易なものだとはだれも考えていない。必要とされているものは多く、米国や50以上に上る同盟国は支援の意志を表明している。その素晴らしい例が、イラクの大量破壊兵器を廃絶するための同盟国の行動への支持を最も早期かつ直接的に表明した国の1つ、日本政府の対応だ。日本は国連の呼びかけにこたえて1億ドル相当の人道支援実施を決定した計画の一環として、世界食糧計画(WFP)を通じ14億円の食糧支援を行うことも表明した。

 米政府でも、国際開発庁(USAID)が国際機関や非政府組織(NGO)と緊密に協力、イラク人の生命を救い窮状を緩和するため大量の人道支援物資を提供している。われわれはすでに2億ドル以上を赤十字社や赤新月社、国連機関などに供与した。医薬品、毛布、水タンクなどを含む緊急物資も提供した。3億ドル以上の食糧を支援し2億6千万ドルを国連の食糧計画に供与することも決まっている。USAIDによるイラク支援は合計5億ドル以上に達し、さらに増額される見通しだ。

 イラクにとっては戦争による被害よりも、20年間にわたった経済失政後に国家を再建する方が深刻な課題だ。だが、国民はサダムの下にいた方が幸せだったとか、イラクのより良い未来が想像できないといえる人間はだれもいないはずだ。米国や日本では当たり前とされている平和で豊かな暮らしを送るチャンスを得るため、イラク国民はわれわれの支援と励ましを受ける資格がある。   

(寄稿)

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