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*以下は、2003年5月1日付毎日新聞朝刊7面に掲載されたベーカー大使の寄稿を、毎日新聞社の許可を得て転載したものです。

イラクの人々に援助を

ベーカー駐日米国大使 寄稿

 4月9日、首都バグダッドでフセインの銅像が倒され、われわれが目の当たりにしたのは、20年を超す恐怖と絶望の日々は終わり、新たな自由とより良き生活への展望が開けたことを実感した市民が歓喜する姿であった。これから復興と和解という困難な作業が始まる。これが容易なものだとはだれも考えていない。旧ソ連諸国やインドネシア、そしてアフガニスタンの経験と同じように、独裁と失政から民主主義と国民を代表する政権への移行には時間がかかる。

 米国は、このプロセスを支援したい。われわれは、イラク国民が地方行政府を立ち上げ、治安を回復し、水道、電話、電気、食料の確保といった基本サービスの復旧に取り組むための支援をする。米国は、イラクの緊急支援と再建のため6億ドル以上を支出した。このうち、国連機関による食糧援助用4億3500万ドルを含め5億ドル近くは、国際援助機関に拠出された。

 最終的には、イラク国民の運命は彼ら自身が決める。ブッシュ大統領とブレア首相が4月8日に述べたように、連合軍は、イラク国民による政治制度の構築と国家再建を支援するために必要な限りイラクにとどまるが、それ以上駐留することはない。われわれは、イラク国民に特定の政府を押し付けることはしない。イラク国民が自らの政府を選ぶ。幸いにも、イラクは、潜在的に裕福な国であり、その国民は優秀である。イラク経済を破綻させたのは、サダム・フセイン政権の失政と腐敗である。フセイン政権は崩壊した。したがって、イラクがクウェートに侵攻した後に国連が科した制裁は解除されるべきである。

 国連安保理は90年8月、決議661を可決し、医薬品や食糧などの人道物資を除き、ほとんどの輸出入を制限する包括的な制裁をイラクに科した。湾岸戦争停戦後の91年4月に可決された決議687は、イラクが武装解除を履行したことが定期的な検証により判明するまで、完全な貿易禁止措置を引き続き有効とすることを宣言した。

 イラクは、恐怖と抑圧により支配していた独裁政権の行為のため罰せられるべきではない。むしろ、イラク国民は、地域的・国際的な市場と正常な貿易関係を再開し、国際社会に参加することにより恩恵を得られるようにすべきである。イラクは、世界有数の石油確認埋蔵量を持つ。石油はイラク国民に属し、イラク復興に役立つ直接的な収入源となる。われわれは、近い将来イラクの石油の富がイラク国民のニーズを満たすために使われることを期待する。一方、生産とマーケティングの責任を安定したイラク政府の手に委ねるという目標のため、連合国のイラクの石油分野における関与はできるだけ短期間になる。米国政府は、経済制裁の解除をいつ、どのように実施するかについて、連合国と協力している。われわれは、イラクの債務免除についても債権国と協議したい。

 イラクの人々は、あまりに長い間苦しんできた。われわれは、経済制裁を解除し、国際社会の平和的な構成員に与えられるすべての権利をイラクに回復させ、フセイン政権の痕跡を取り除くことで、手助けができる。

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