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*以下は、2003年5月4日付読売新聞朝刊6面に掲載されたベーカー大使の寄稿を、読売新聞社の許可を得て転載したものです。

米中朝3か国協議

「核」解決 冷静に辛抱強く

ハワード・H・ベーカー 駐日米大使

 先日北京で行われた米朝中3か国協議は、行われたこと自体驚くべきことであった。北朝鮮は、核開発計画を協議しないと、数か月来宣言していたが、協議に参加した。米朝2国間ではなく多国間協議であった。

 この会合は、予備的会合で交渉ではなかったが、進展とみなしうる。3か国とも自国の立場を表明する機会があった。雰囲気は実務的で、中国も終始討議に参加した。私は、この会合が核兵器のない朝鮮半島という目標への第一歩になるのではないかと期待する。

 ケリー国務次官補は、米国の目標は、北朝鮮の核計画の検証可能で不可逆的な形での廃棄という解決を外交的にもたらすこと、つまりプルトニウムと濃縮ウラン双方の計画の廃棄であると明確にした。我々は、北朝鮮が過去に履行を誓約したことを、今後実行すると約束しても、見返りは与えない。北朝鮮との2国間協議は行わない。約10年前の「米朝枠組み合意」は、彼らが約束を守れないことを実証した。

 さらに、北朝鮮の核計画については、米国のみならず国際社会も懸念する。中国、韓国、日本、そして国際原子力機関のすべてが、核兵器のない朝鮮半島という目標を共有することを明確にしてきた。米国は、日韓を加えた拡大多国間協議を目指していることを明らかにした。

 また、我々の協議に影響を及ぼす未解決問題の日本人拉致問題を、人権問題として取り上げた。もし北朝鮮が、核計画の検証可能で不可逆的な形の廃棄要件を満たすなら、経済協力や国交正常化など彼らが求める議題について、我々の関心事と一緒に話し合いを始めることができることも明確にした。

 米国は3か国協議の内容を日本と韓国に十分に説明し、日米韓は協議継続のため公式会合を行うことに同意した。

 米朝中協議の内容は意外ではなかったが、北朝鮮の説明の中には、慎重な検討や同盟国との協議を要するものもあった。北朝鮮は、寧辺の使用済み核燃料の再処理はほぼ完了し、核兵器を保有していると述べた。北朝鮮はまた、彼らが言うところの、核計画の終結と、ミサイル問題についての新提案を行った。その中で北朝鮮は、かなりの見返りを求めた。今後の交渉は、彼らのあいまいな声明や攻撃的な表現そして挑発で、難航すると思われる。

 我々は冷静で辛抱強く、同国の核開発の完全廃棄をもたらす外交的解決に集中しなければならない。我々と彼らの目的は明らかに異なっており、このプロセスは長びくと考えた方がいい。

 我々は、北朝鮮国民が、指導者の故に貧困にあえいだり、恐怖の下で生きなくてすみ、近隣諸国に脅威を与えない平和な国になることを求める。金正日政権の第一の目的は体制存続だが、体制への脅威は米国に起因するのではなく、北朝鮮自身の行動が招いたものだ。北朝鮮が我々の決意を認識し、自身の威嚇が近隣諸国のすべてにとって懸念となっていることを認めるかどうかは、いずれ明らかになるだろう。

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