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*以下は、2003年5月17日付朝日新聞朝刊15面「私の視点」に掲載されたベーカー大使の寄稿を、同新聞社の許可を得て転載したものです。

◆日米同盟 - 日本の繁栄 最大の関心事

ハワード・H・ベーカー駐日米国大使

 日米両国の首脳が23日、キャッチボールやテキサスステーキの会食などの打ち解けた雰囲気で、平和や繁栄という共通の目標を話し合う会談を開く。イラクや国際テロからの挑戦に直面しても、日米同盟関係は堅固だった。経済面でも、両国の努力は満足できるもので、大きな進展がみられた。力強い日本経済が米国の最優先事項であることを疑う余地はない。日本が繁栄すれば、米国も繁栄する。健全で活力のある日本は、世界の舞台でふさわしい地位を占めることができ、地域と世界全体の安全保障に不可欠である。

 日本がより力強く持続的な経済成長の道へと進む中で、成功もあれば失敗の可能性もあるだろう。最近日本は、不良債権と企業の経営不振問題に取り組み、経済の規制を緩和する上で重要な2つの施策を講じた。これは成功への素晴らしい機会であり、金融支援策の継続と相まって、デフレを終結させ、経済成長を促すことができる。

 第1は、企業再建を進める市場主導型の機関の設立だ。この産業再生機構(再生機構)は、過剰な債務に苦しむ企業向けの債権を銀行から買い取り、日本経済に重くのしかかる不良債権問題の解決に貢献するはずだ。同時に、企業の再建や再活性化を後押しするだろう。再生機構で働く民間の専門家は、再建した企業が最終的に市場で売却可能か否かという基準で、支援対象の企業を選ぶ。投資家は不良債権関連資産を効率的に再配分し、借り手側から不良債権問題の解決に資することになる。

 第2は、地方主導の改革を通じて経済を活性化し特定分野の事業活動を容易にする、60近い構造改革特別区域(特区)を認めたことだ。特区は、内外企業を誘致し雇用機会を拡大し、成長を促進するだろう。

 このような進展にもかかわらず、失敗の可能性はある。企業再建や構造改革の成功には、政府だけでなく日本国民の継続した支持が不可欠だ。もし特定の利害者が金融・規制改革の主導権を握ることになれば、市場は機能しなくなる。

 再生機構と重要な構造改革の成功には、既得権益と立ち向かう必要がある。小泉首相は「聖域なき改革」の推進を約束した。また、再生機構から政治的圧力を排除するとも宣言した。日本のパートナー、市場、日本国民は、これらの公約を注意深く見守り、首相の公約堅持を望んでいる。

 もちろん、企業再建の進展や特区創設は、日本がより高い経済成長を目指す最初の一歩にすぎない。成功への機会は他にもある。

 まず、金融制度の是正だ。銀行の体質を強化し銀行経営を改善するため、金融庁の金融再生プログラムを厳格に実施することは、小泉首相の掲げる改革を成功させる鍵となる。新規雇用の創出と経済の活性化には、電気通信料金引き下げ、航空市場自由化、エネルギー市場合理化などの、開かれた市場を約束する構造改革の実施が重要だ。市場に反する行動は、日本にとって失敗の可能性を高めることになる。私は、日本が市場に沿うことを選択し、銀行、デフレ、構造改革という主要な問題で進展を続けると確信している。

 世界の2大経済大国の首脳が、パートナーとして、また友人として再会し、経済成長を促すエンジンとして両国が担う国際的役割や責任を含め、平和と繁栄という共通の目標について語り合う。この会談は、両首脳がそうであるように、両国が良き友人、強い絆(きずな)で結ばれたパートナーであることを再認識させる。

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