embassy seal U.S. Dept. of State
Japan Embassy flag graphic
U.S. Policy Documents


米国気候行動報告書は経済保護を優先する

(研究によると、人間の活動は地球温暖化に関連がある)
2002年 米国気候行動報告書

報告書の全文(英語)は次のURLでご覧ください。http://www.epa.gov/globalwarming/publications/car/) 

 「地球の健康を維持することは、…米国にとり重要な課題であり、…そして、世界のあらゆる国、そしてあらゆる地域にとり重要な課題になる。私の政権が、気候変動問題に関して指導的役割を担うことを確約する。われわれは、われわれの責任を認識しており、わが国、西半球、そして世界におけるわが国の責任を果たしていく」

2001年6月、ジョージ・W・ブッシュ

 第1章 序論および概要
 国家の事情 - 米国の状況
 温室効果ガス目録
 政策と措置
 温室効果ガス排出予測
 影響と適応
 財源と技術移転
 調査研究と組織的観測
 教育、訓練、広報活動

第1章 序論および概要

 この誓約と共に、ブッシュ大統領は、気候変動の重大性を繰り返して述べ、そして米国気候変動政策の閣僚レベルによる見直しを命じた。ブッシュ大統領は、作業グループに対して、(1)大気中の温室効果ガス濃度を安定させるという目標に沿った、(2)新たな発見に十分に柔軟に対応できる、(3)経済成長および繁栄の持続を支え、(4)市場ベースの奨励策を提供し、(5)技術的進歩を導入し、(6)地球規模の参加を促進するような、革新的アプローチの策定を要請した。

 気候変動政策をさらに掘り下げて検討するという大統領の決定は、これまでの国際的対話が、気候変動に対する地球規模の対応に必要な参加の広がりに欠けている、という認識に基づくものである。1992年のリオデジャネイロにおける地球サミットで、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)が採択された。この条約の究極の目的は、未来の世代の生活の質を向上させることにある。

 締約国は、「大気中の温室効果ガス濃度を、気候に対して危険な人為発生的影響を与えない水準に安定させることを…達成する。この水準は、生態系が気候変動に自然に適応でき、食糧生産が決して脅かされることなく、そして持続可能な経済発展を続けることができるような時間的枠内で達成されるべきである」と誓約した。

 リオにおいて、気候変動に対処するための野心的な計画が始動した。しかしながら、気候変動の影響に適応し、その影響を和らげるための方策策定への参加は、ブッシュ大統領が最近述べたように、世界のあらゆる地域に影響する可能性があるこの問題に立ち向かうほどの広がりには至らなかった。地球規模の問題には、真に地球規模の参加による対応が必要であると同時に、予測される排出量の伸びを、費用効果の高い方法で削減し、気候変動の影響に対処するわれわれの能力を高めるような短期的な行動をとることも求められる。

 閣僚による検討と提言に基づき、ブッシュ大統領は最近、米国における温室効果ガスインテンシティー(温室効果ガス排出量/GDP)を、自主的措置、奨励に基づく措置、そして既存の強制措置の組み合わせを通し、今後10年の間に18%削減することを約束した。これは、2012年に予測される排出量を4.5%削減することを意味し、これは、気候変動の正確な規模・時期・地域的パターンに関して不確実要素が残っているにもかかわらず、この地球規模の問題に対する、真剣で、賢明、かつ科学に基づいた解答である。大統領のコミットメントには、この真剣な努力には、パートナーが必要なことも強調されている。すべての国々が積極的に協力して、温室効果ガス濃度を、気候システムへの危険な影響を防ぐ水準に安定させるという長期的目標を達成しなければならない。

 米国は、枠組み条約の締約国として建設的かつ積極的活動を続ける意向である。われわれは、枠組み条約で求められている、気候変動に対する科学的理解を深めるための地球規模の調査研究活動で先頭に立っている。われわれは、気候科学への投資では世界をリードしており、ここ数年は、連邦政府の調査研究活動に年間17億ドルを支出してきた。1990年以降、米国は、気候システムの調査研究に180億ドルを超える資金を投じてきた。つまり、他のどの国より資源を投入してきたのである。2001年6月に、ブッシュ大統領は、新たな気候変動調査研究イニシアティブを発表した。このイニシアティブは、人間活動に起因する気候変動と、その潜在的影響に関して、われわれの理解がいまだに欠落している部分に焦点を当てるものである。

 枠組み条約に従い、われわれは、気候変動に対処するための技術の開発を支援している。大統領は、国家気候変動技術イニシアティブの調査研究予算の優先順位を見直し、先進エネルギーおよび炭素固定化技術開発に資金が利用できるようにすることを約束した。これらのエネルギー政策は効率を向上させ、よりクリーンな燃料への転換を進める一方、炭素固定化技術が、温室効果ガスを捕捉および貯留するための経済的で環境上健全な方式を推進する。

 われわれは、気候観測システムに対する2国間支援を拡大し、開発途上国における先進エネルギー技術のデモ・プロジェクトに対する資金提供をさらに増加しようと計画している。アメリカ大陸やその他の地域における開発途上国との気候変動に関する協力を強化するために創設されたブッシュ大統領の西半球イニシアティブもまた、われわれの枠組み条約のコミットメントの実行を強化することになる。これらのコミットメントに従って、われわれは過去5年の間に、開発途上国に対する気候変動関連支援のために10億ドルを超える資金を供与してきた。これらのすべては、始まりにすぎない。われわれは、可能であれば、いつでも、どこでも世界のあらゆる地域で気候科学と先進技術に関する協力を強化する意向である。

 われわれは、引き続き、エネルギー効率を向上させることにより、米国の温室効果ガス排出制限を進めていく。過去10年間、米国経済はすばらしい成長を遂げた。しかも、経済生産の単位当りの排出レベルは、大幅に減少した。大統領は、米国が、このような改善を継続し、強化された自主的措置により、予測水準を超えて温室インテンシティーを下げることを約束した。米国は、マラリア、飢餓、栄養失調、異常気象による資産喪失、生息地の消滅を始めとする生物多様性に対する脅威など、気候変動によって悪化する可能性のある国内外の多様な科学的問題に対応し、適応することにおいて世界のリーダーである。

 気候変動は、長年かかって起こる、一夜にして解決することが不可能な長期的問題である。真の解決策は、永続的で、科学に基づいた、経済的に持続可能なものでなければならない。特に、われわれが求めているものは、世界の繁栄にとって極めて重要なエンジンであり続けている米国経済を阻害することのない、環境上健全なアプローチである。われわれは、経済の発展が地球の環境保護の鍵になると信じている。現実には、地球規模の共有物を守るために自分の家族の必要を満たすことをしない人はいない。環境保護は、継続的発展とさらなる繁栄の機会なしには、達成も、持続もできない。われわれの目標は、環境上効果的で、経済効率が良く、持続可能で、そして当面の緊急課題と取り組むと同時に将来の課題に対処する上でのわれわれの能力を高めてくれるという点でも適切な、長期的解決策を確保することである。地球環境保護は、何にも増して重要な責任である。 

 この米国気候行動報告書は、枠組み条約の第4条と12条に記されているところの、枠組み条約に基づき提出する米国の第3回目の公式報告書である。われわれは、米国の状況を説明し、現在および今後の政策と措置を明らかにし、温室効果ガス排出の将来の動向を示し、予測される影響と適応措置の概略を述べ、そして財源、技術移転、調査研究と組織的観測に関する情報を盛り込んだ。

 この章ではこの先、米国の行動の背景となる気候システム科学の概要、そしてこの報告書の中心である米国の計画の概要を述べる。

国家の事情 ― 米国の状況

 米国の気候変動の展望は、米国の経済繁栄、極めて多様な気候条件と天然資源、そして2億8000万人を超える国民の人口統計の動向によって特徴づけらる。米国の気候帯が多様であるため、気候変動の影響は一様ではない。この多様性はまた、将来の気候変動に対する米国経済の弾力性を高めることにもなる。

 人為的温室効果ガス排出の増加は、健全な経済成長の結果である。従来から、収入の向上は、エネルギー消費の増大を招いてきた。1990年代には、技術への投資によってエネルギー効率が向上し、高度経済成長に通常伴う温室効果ガス排出の増大が、ある程度相殺された。さらに、米国の経済成長の大部分が、エネルギーのインテンシティーが比較的低い部門(例えば、コンピューター技術関係)で達成された。従って、1990年代における経済成長と温室効果ガス排出の間の直接的および相対的相関関係が変化した。

 米国は、世界最大のエネルギー消費国であると同時に、石炭、天然ガス、原油の膨大な埋蔵量を持つ世界最大のエネルギー生産国でもある。にもかかわらず、わが国の生産単位当りのエネルギー消費(つまり、わが国経済のエネルギー集約度)は、他の国々に比較して良好である。大統領の新たな国家エネルギー政策(NEP)には、既存および開発段階の技術の利用拡大により温室効果ガス排出量を削減する提言(NEPD Group 2001)が含まれている。NEPの提言には、原子力発電の拡大、車両・ビル・家電・産業用エネルギー効率の改善、水素燃料と再生技術の開発、国有地へのアクセスの拡大と認可手続の迅速化、石炭・天然ガスイニシアティブを含む、よりクリーンな燃料の利用拡大が盛り込まれている。NEPで提言されている税制上の優遇策および大統領の2003年度予算により、再生可能エネルギーと熱・電気併給システムの利用が促進され、技術の開発が奨励される。

 気候変動に対する米国の対応、すなわち米国の弱点と適応能力は、米国国民の関心はもちろん、米国の政府、経済、社会構造の影響も受ける。米国における環境保護、天然資源の開発と保護に関わる政治制度および社会制度は、資源それ自体と同様に多様である。

 ブッシュ大統領は昨年、科学技術により、長期的には大幅かつ費用効果の高い排出削減が大いに期待される、と述べた。わが国の状況、すなわちわが国の繁栄と多様性が、わが国の気候変動への対応を決めていくことになるだろう。しかし、革新的技術と調査研究へ投資するというわが国のコミットメントが、わが国の対応の成功を間違いないものにしてくれるだろう。

温室効果ガス目録

 この報告書には、1990年から1999年までの米国の人為的温室効果ガス排出量の推移が記されている。これは、UNFCCCに2001年の年次目録報告書を提出するという米国の約束を履行するものである。米国の排出目録と他のUNFCCC締約国の排出目録との比較ができるように、推定排出量は、国別温室効果ガス目録IPCCガイドライン1996年改訂版(IPCC/UNEP/OECD/IEA 1997)の提言に沿った方式を用いて算定した。

 自然発生する温室効果ガス、つまり、熱を閉じ込めるガスには、水蒸気、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、そしてオゾン(O3)がある。フッ素、塩素、または臭素を含む数種のハロゲン化物の中にも、温室効果ガスがある。しかし、大部分は、産業活動の産物である。フロンガス(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、およびブロモフルオロカーボン(ハロン)は、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」に定められた成層圏オゾン層破壊物質であるため、国家温室効果ガス目録には含まれていない。他のハロゲン化物の中には、つまりハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペルフルオロカーボン(PFC)、および六フッ化硫黄(SF6)は、成層圏オゾン層を破壊はしないが、強力な温室効果ガスであるため、国家温室効果ガス目録に含まれている。

 CO2やCH4そしてN2Oは、大気中で自然発生するものの、その大気中の濃度は、人間の活動により影響を受けてきた。産業革命以前(1750年頃)から、このような温室効果ガス濃度は、それぞれ31%、151%、そして17%と増加してきた(IPCC 2001d)。この増加が、地球の大気の化学構造を変化させ、地球の気候システムに影響を与えてきたようだ。

 1999年における米国の温室効果ガス総排出量は、1990年の排出量を約12%上回っていた。経済成長が強力だったこの時期に、年間の排出量の上昇率が平均(1.2%)をやや下回った(0.9%)のは、主として、夏季と冬季の気温が平年より高かったこと、原子力発電による電力供給の増加、炭鉱のCH4排出量の減少、HCFC-22の化学製品生産の副産物HFC-23排出量の減少によるものであった。

 米国の温室効果ガス排出の最大の原因であるCO2は、1999年の米国における温室効果ガス総排出量の82%にあたる。化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素が、最大の要因であった。このような部類からの排出量は、1990年から1999年の間に13%増加した。

 メタンは、1999年における米国の温室効果ガス総排出量の9%であった。ごみ処理地、畜産事業、および天然ガスシステムが、CH4総排出量の75%を占めている。亜酸化窒素は、1999年における米国の温室効果ガス総排出量の6%にあたり、また農業用土壌管理によるものが、N2O総排出量の69%にあたる。米国においてN2Oを産み出す主たる人類の活動は、農業用土壌管理、自動車燃料の燃焼、そしてアジピン酸・ニトロ酸生産プロセスである。HFC,PFCおよびSF6は、1999年における米国の温室効果ガス総排出量の2%にあたり、HFC・PFC・SF6総排出量の42%から構成されるオゾン層破壊物質に変わる。

 不完全燃焼により生じる黒色炭素エアロゾル(煤煙)が、重大な人為的要因の可能性があるという証拠もまた出てきている。米国の温室効果ガス目録には、これらの粒子は含まれていないが、今後、米国の研究が、この点に関して、より集中することを予想している。

政策と措置

 米国の気候変動計画により、温室効果ガス排出量の伸びが2000年の1年でCO2にして推定で2.4億トン減少した。この減少は、GDP単位当りの温室効果ガス排出量の大幅な低下(1990年以後17%)を促し、従って、気候変動への対処における一歩前進と見なすことができる。

 しかし、ブッシュ大統領が気候変動科学・技術の進展を目的とする新たな主要イニシアティブを発表した2001年6月に、米国の努力に、さらに強い拍車がかかる可能性が出てきた。これらのイニシアティブは、政府が産業界の指導者や科学界および環境保護団体と協議した結果、科学的な不確実要素に対処し、技術革新を促進するために、より多くの努力が払われるべきだとの指摘があったことから生まれたものである。

 2002年2月に、大統領は、地球の気候変動問題に対する米国の新たなアプローチを発表した。このアプローチには、温室効果ガス排出削減のために市場と科学技術の力を利用する政策が盛り込まれている。このアプローチは、技術の進歩を可能にする経済成長を支える政策を通して、米国経済と世界経済の双方の温室効果ガスインテンシティー削減のための開発途上諸国との新たなパートナーシップをつくり出すものでもある。

 米国は、米国経済の温室効果ガスインテンシティーを10年で18%削減する計画である。この削減は、提言されている政策や措置の追加がない場合に、14%と予測されている温室効果ガス濃度削減を上回るものである。新たな措置に含まれるのは、排出削減登録簿(レジストリー)の拡大、排出削減のための移転可能なクレジットの創設、低排出エネルギー機器への投資に対する税制上の優遇措置、エネルギー効率と炭素固定技術研究への支援、特に輸送機関の排出削減に重点を置いた特定産業部門との排出削減協定、世界的な気候調査研究促進のための資金提供とともに国際的対応の拡大、農地と森林での炭素固定化、そして最も重要なことは、米国の国家温室効果ガスインテンシティーのさらなる削減を達成するための追加措置が必要かどうかを、科学的に判断し、決定するために2012年に行う進展状況の見直しである。

 上記の方策は、京都議定書に盛り込まれている平均排出量削減と同等の削減を達成することが期待されるが、厳格な国家排出制限がもたらすであろう経済成長への脅威はない。米国産業界の排出削減への自主的参加の登録組織には、新たな国の内外のアプローチや慣行と合致することを求めており、早期の登録者が将来の気候関連措置で罰則を受けることがないような規定を設けていく。さらに、大統領のアプローチは、経済成長を犠牲にすることなく温室効果ガス排出の削減目標を定める上で、開発途上国にとっての手本となる。

温室効果ガス排出予測

 2005年、2010年、2015年、2020年の温室効果ガス排出レベルの算出には、予測される経済成長・エネルギー価格・各種プログラム用資金・規制の変遷が考慮されている。炭素固定が勘案された場合には、米国の温室効果ガス総排出量は、2000年から2020年の間に43%増加することが予測される。この排出絶対量の増加には、GDPの単位当り排出量の低下が伴う。これらの予測には、2002年2月に大統領が発表した気候変動イニシアティブの効果が考慮されていないことに注意してほしい。

 最善を尽くしたとはいえ、温室効果ガス排出レベルの予測に関連する不確実要素には、主として、予測方式、気象上の変動、経済成長と技術発展の度合いが関連している。さらに、これらの予測に用いられたモデルには、温室効果ガス排出に対処する現在および将来の政策・措置のすべてが完全に組み込まれていないため、まだ施行されていない立法上あるいは規制上の方策も含めて、これらの措置は、このような予測に関する不確実性を増している。

影響と適応

 われわれの知識中で最も弱い部分のひとつが、気候変動に関する地球規模の予測と地域的な予測の間の関係である。気候変動政策の見直しを要請した大統領に対する米国研究審議会の回答には、地域と狭い地区の予測の具体的な事項に関して、基本的な科学的疑問が残されていることが特に指摘されている(NRC 2001a)。気候変動による潜在的影響を予測することは、多くの環境システムと資源の気候変動に対する感度(管理・非管理の双方の場合において)に関する理解が欠けていることから、さらに困難なものになっている。

 第6章では、主として、「米国に対する気候変動の影響 ― 気候の多様化と変動の影響の可能性(NAST 2000) 」(Climate Change Impacts on the United States: The Potential Consequences of Climate Variability and Change)に基づいて、潜在的な悪影響・好影響と、可能な対応オプションの概要を述べている。このアセスメントは、過去の記録、モデルによるシミュレーション、そして感度分析を用いて、気候変動に対するわが国の潜在的弱点を探り、われわれの知識のずれに焦点を当てている。

 米国は、わが国と世界の他の国々、特に開発途上国が、気候変動に対する弱点を軽減し、気候変動に適応することを支援する多くの活動に取り組んでいる。これらの活動は、概して、当面の緊急課題であり、また気候変動により悪化する可能性のある公衆衛生や環境問題に対処するものである。例を挙げると、マラリアの流行をくいとめ、農業と林業の生産性を上げ、異常気象による損害を減らし、そしてこれらの発生時期や場所の予測方法を改善することである。これらの活動は、短期的な利益を社会にもたらすのみならず、長期的にも気候変動にわれわれが適応していく能力を高めるものである。

 21世紀には、気候変動に関連する難問が増す可能性が高い。環境の変化が起こることは間違いないが、わが国の経済は、気候変動に対して巧みに適応する手段を提供し続けるべきである。

財源と技術移転

 気候変動に効果的に対処するために、先進国と開発途上国は、協力して環境問題に立ち向かわなければならない。米国は、開発途上国および過渡期経済諸国がこれらの課題に対処するにあたって、健全な経済を促進し、天然資源を保護するような方法で、支援することを約束する。この約束には、開発途上国に多くの資源を提供してきた政府から民間部門にわたる多くの関係者がかかわってきた。UNFCCCガイドラインが認めているとおり、この支援は、ハードとソフトの両方のあるいはどちらかの技術移転という形をとることもある。

 排出を制御する機器やエネルギー効率向上のための機器などの、ハード技術移転を目的とするプロジェクトは、排出削減に特に効果的と思われる。さらに、技術的専門知識の共有による能力強化や機関強化などの、ソフト技術移転を目的とするプロジェクトは、気候変動による影響に対する弱点を少なくするための支援になりうる。しかし、ハードにしろソフトにしろ、技術移転計画は、協調して取り組み、当該国の開発目標と確立された法的枠組みに合致する場合に、最も効果的である。そのために、米国は、受益国と協力して、提供する資源とその国のニーズが確実に一致するように努めていく。

調査研究と組織的観測

 米国は、気候その他の地球環境変化に関する調査研究において世界をリードしており、世界の気候変動調査研究費のおよそ半分を負担している。われわれは、気候変動に関するわれわれの知識の不明確な部分を少なくすることを目指す計画が精力的に進められていくことを確保するために、研究に資金提供を続ける。これらの調査研究計画は、気候変動の理解を深めるために役立つだろう。

 気候変動に対処することを目的とした大統領の新たな主要イニシアティブには、豊富なインプットが与えられており、気候モデル作成、観測、調査研究活動に大幅な改善をもたらすことを意図するものである。新たなイニシアティブには、政府や民間部門および地域社会が、根強く残る不確実要素を考慮に入れながら、気候変動に関して、十分な情報に基づく決定を行う際の支援をするという長期的ビジョンが含まれる。

教育、訓練、広報活動

 米国は、気候変動に対する国民の理解と意識の向上を目的とした幅広い活動に着手し、また支援している。これには、政府機関が主催する教育イニシアティブから独立研究機関や学術団体との協力に至る活動が含まれる。非政府組織、産業界、およびメディアもまた、気候変動に関する国民の意識と関心の向上に積極的な役割を演じている。

 これらのすべての活動、すなわち教育、訓練、国民意識向上の活動の目標は、国民に十分な情報を与えることである。米国は、枠組み条約の長期目標を達成する際に持続可能で効果的なコスト効果の高い方法で、気候変動に対処するための政策オプションの結果を厳しく評価するために必要な情報へのアクセスを国民に与えることを約束する。

 HOME |  U.S. CITIZEN SERVICES |  VISAS |  POLICY ISSUES |  STATE DEPARTMENT
CONTACT US |   PRIVACY |  WEBMASTER
Embassy of the United States