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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

駐沖縄第3海兵遠征軍当局者による米軍ヘリコプター(CH53)の墜落事故に関する背景説明

在日米国大使館

2004年8月27日

 おはようございます。2週間前の今日、8月13日の金曜日に、海兵隊所属のCH53D型ヘリコプター1機が海兵隊普天間航空基地への緊急着陸を試みる際、宜野湾市内に墜落する事故が発生しました。今回の事故に深く遺憾の意を表するとともに、沖縄県民の皆様に不安を抱かせたことに遺憾の意を表したいと思います。この事故で沖縄県民の中に怪我をした方がなかったことは不幸中の幸いでした。事故発生当初より、海兵隊は、航空機の飛行上の安全を非常に深刻にとらえていること、事故原因の完全かつ徹底的な究明を行うこと、そして今後もこうした事故の再発防止にあらゆる適切な措置を講じる方針であることなどを表明してまいりました。現在もこの使命を果たす立場に何ら変わりはありません。

 本日、私がこの場におりますのは、今回の不幸にして起きたCH53D型ヘリコプター墜落事故をめぐる出来事や措置について、事実関係を明らかにするためです。事故発生後に海兵隊が取った措置の概要を説明するとともに、今回の事故の原因は当該事故機に固有のものであったことが調査の結果判明したことを報告いたします。

背景説明の要点

 8月13日(金)、午後2時17分頃、海兵隊普天間航空基地の航空管制塔が帰還途中のCH53D型ヘリコプター「シースタリオン」(第265海兵隊ヘリコプター飛行隊所属)より緊急救難連絡を受信した。

 この連絡を受け、直ちに海兵救難消防隊及び沖縄県消防当局に通報した。

 同日午後2時18分頃、当該事故機CH53Dは沖縄国際大学の敷地内に緊急着陸した。その際、当該事故機CH53Dは墜落現場に隣接する大学の建物に接触した。

 同日午後2時19分頃、別の軍用機より航空管制塔に、普天間基地外で航空機が墜落炎上するところを目撃したとの報告があった。

 CH53Dヘリコプターの落下を目撃した普天間基地の海兵隊員数名が、基地の2箇所のフェンスを乗り越えて墜落現場に駆けつけ、墜落事故機が爆発炎上する前に3名の搭乗員を残骸の中から引きずり出した。我々は、これらの勇敢な海兵隊員らの行動が事故機の搭乗員の命を救ったと思う。現場に駆けつけた海兵隊員らは負傷している搭乗員に応急手当を施した。

 普天間基地から墜落事故現場に到着した他の海兵隊員らが接触した建物に入り、中にいた者を誘導し、避難活動を行った。これは、建物にいた学生や教職員の安全のために取られた措置である。日本の消防・救急車及び海兵隊の救難消防隊車輌も現場に到着し、危険を最小限に抑えて人命を守るため協力した。その後間もなく基地警務隊所属の海兵隊員及び沖縄県警の警察官も事故現場に到着し、協力して見物人を離れた場所へ誘導した。幸い、事故による民間人の負傷者はなかった。

 日米両国の救急車が負傷した搭乗員らを米海軍沖縄病院に搬送した。搬送後直ちに、沖縄県警と海兵隊は協力して、一般市民が墜落現場に残る可燃物の被害にあうことのないよう、周辺一帯の安全確保に努めた。事故現場周辺の外側では車の通行を迂回するなどの規制措置が取られ、また事故現場近辺では歩行者が気づかずに事故現場に入りこんで危険にさらされることのないよう立ち入り禁止区域が設けられた。

 事故発生から6日間、事故機の残骸・破片の撤去及び徹底的な現場検証が済むまでの間、日米間の長期協定により、沖縄県警と海兵隊は協力して事故現場一帯の安全確保に努めた。宜野湾署及び沖縄県警が一般市民の安全のために果たした重要な役割はいくら強調しても強調し過ぎるということはない。事故発生の当日の沖縄県警による機動隊の現場への配置は事態の沈静化に役立った。事故現場周辺以外でも安全確保の必要性が認められたため、沖縄県警は直ちに人員の配置を行い、米軍・市警察と力を合わせて、沖縄県民が負傷する危険を未然に防いだ。

 同日午後3時には、海兵隊当局は正式に外務省や防衛施設庁・那覇防衛施設局及び沖縄県へ事故を通報した。

 沖縄4軍調整官のロバート・R・ブラックマン中将はすべてのヘリコプターの普天間基地への帰投を命じた。同日午後4時頃、最後の一機が帰投すると、同調整官は、ヘリコプター全機の安全点検が済むまでの間、ヘリ運行の全面停止措置を取った。

 同日午後6時30分頃、ブラックマン中将は国会議員の嘉数防衛政務官と会見した。席上、同中将は今回の不幸な事故に遺憾の意を表し、事故による一般市民の負傷者が出なかったことは不幸中の幸いであるとのべた。

 同日午後7時20分、ブラックマン中将は海兵隊バトラー基地内の1号棟で記者会見を開き、今回の不幸な事故、および沖縄県民、とりわけ宜野湾市民に不安を抱かせたこと対して遺憾の意を表明した。さらに、同中将は事故発生後、沖縄県警・地元消防と海兵隊が連携して対処したことに感謝の念を表した。

 同日午後9時、ブラックマン中将は牧野沖縄県副知事と会い、今回の不幸な事故に改めて遺憾の意を表明し、日本の警察・消防当局の迅速な対応に感謝の念を述べた。

 翌8月14日、ブラックマン中将は国会議員の荒井外務政務官(注:原文は「防衛政務官」)を訪ね、今回の不幸な事故及び、地元住民に不安を抱かせたことに遺憾の意を表した。

 第1海兵航空団は今回のCH53Dヘリ墜落事故の徹底的な原因究明に着手した。海兵隊捜査当局は直ちに米海軍安全センターと同航空システム司令部に対し、CH53Dヘリ墜落事故の原因究明のための技術的支援を要請した。さらに、同航空団は全部隊に対し、ヘリコプター全機の安全性の点検及び安全に係わる運行手続きの全面的見直しのため、全機の一時使用停止を指示した。

 同日中に沖縄県警は海兵隊基地担当法務当局と会合を持った。その際、沖縄県警より事故原因究明のための現場立ち入りの要請があった。これを受け、海兵隊当局は沖縄県警に対し、日米地位協定に基づく日米両国政府間の長期取り決めに従い、海兵隊が引き続き事故現場の責任者であることを通知した。8月17日、海兵隊より沖縄県当局に対し、器物破損状況の記録・検証のみを目的とした事故現場並びに周辺への立ち入りを書面で申し出た。

 同8月17日、徹底かつ完全な安全点検の実施を受け、普天間基地におけるヘリコプター全機種(CH53Dを除く)の飛行一時停止措置が解除された。

 同日、安全調査官による事故現場の初動捜査後、事故現場の検証作業を進めるため、防衛施設庁・那覇防衛施設局及び沖縄国際大学の協力を得て、事故機の残骸・破片の撤去作業が開始された。

 事故機の残骸・破片撤去作業は8月19日で終了した。これを受け、沖縄県当局が独自に事故現場の器物破損状況の検証を行った。沖縄県当局からの要請を受け、一般歩行者が知らずに事故現場に入り込むのを防ぐため、事故現場の土壌回復、原状回復がなされるまで、事故現場をフェンスで囲む措置を取った。

 海兵隊は引き続き、日本政府及び沖縄県当局と協力し、事故現場の復旧作業と私有財産破損の損害賠償を行う。那覇防衛施設局は8月17日にすでに、私有財産破損の賠償金額の見積もりのため、地元一般市民への連絡協議を開始していた。

 ヘリコプター全機種を対象にした徹底かつ完全な安全整備点検の実施を受け、同8月19日、普天間基地におけるヘリコプター全機(CH53Dを除く)の必要最小限の運行を再開した。

 同8月20日、基本段階における事故原因調査の結果、事故の原因は当該事故機CH53Dに固有のものであることが判明した。当該事故機の尾翼内部の小さな固定装置が欠落し、そのために尾部回転翼が制御不能となったのである。

 事故原因の判明を受け、CH53D全機を対象に徹底かつ完全な整備安全点検を行い、その結果、同機種の飛行に問題のないことが確認された。

 同8月20日、宜野湾署より海兵隊基地担当法務当局に対し、事故原因調査の結果について照会があった。

 同8月22日、地球規模のテロとの戦いの作戦行動支援のため、CH53Dヘリコプター「デルタ」6機が米艦「エセックス」の艦上配備の第31海兵遠征隊と合流した。

 翌8月23日、海兵隊基地担当法務当局は、日本側の合同委員会調査の要請に米側が適切な手続きを踏まえて対応する方針であること、また日本側の要請が在日米海兵隊及び在日米軍から最大限の支援を受けて速やかに実行されることを保証する旨の通知を宜野湾署に行った。

 翌8月24日、米国政府は日本の会社が、日本の土壌汚染対策法に基づき、事故現場の土壌回復のための環境調査を行う資金を提供した。

 同日、海兵隊基地(G5)と基地担当法務官室付きの海兵隊員及び基本労務契約を結んだ基地従業員らが、那覇防衛施設局職員とともに事故により器物破損の被害を受けた宜野湾市の地元住民への謝罪訪問を開始した。

 翌8月25日も地元住民への謝罪訪問が続けられた。現在、地元住民への謝罪訪問はまだ数軒残しており、防衛施設局による当該地元住民との調整待ちとなっている。

 翌8月26日、海兵隊と防衛施設局、沖縄県、沖縄国際大学の各関係者の出席のもと、事故現場の環境への影響や土壌回復に関する環境調査会議が開かれた。

 以上が背景説明の要点ですが、ここで最後にもう一点だけ付け加えておきたいと思います。海兵隊のCH53Dヘリコプターが普天間基地へ配備されたのは今年の早い段階でしたが、これは第31海兵遠征隊の作戦行動計画の立案と展開の両面における任務遂行に必要不可欠な支援活動を行うためでした。8月22日に6機のCH53Dヘリコプターが運行を再開しましたが、これは米国防長官から地球規模のテロとの戦いを支援するための即時展開命令を受けていた第31海兵遠征隊に合流するためでした。

 これら6機のCH53Dヘリコプターの飛行再開の決定は決して性急になされたわけではありません。これら6機のCH53Dヘリコプターは、司令官が8月13日の事故の原因は当該事故機に固有なものであると判断し、またこの6機のCH53Dヘリコプターそれぞれが完全かつ徹底した安全整備点検を経た上で、米艦「エセックス」へ直接飛行したのです。

 今回の配備は現在も進行中であり、地球規模のテロとの戦いや日米両国の共通の敵との戦いのために、この艦船は作戦行動中です。8月22日以降、CH53Dヘリコプターは飛行していませんが、これは、作戦任務の遂行に不可欠なCH53Dヘリコプターの飛行運用の必要性がなかったためで、海兵隊では現在もなお、CH53Dヘリコプターを対象にした手続き上の使用一時停止措置を継続中です。こうした経過措置が終了した段階での慎重策としては、これらのCH53Dヘリコプターを日本本土の各基地へ戻すことが考えられます。

 結論として、今一度申し上げたいのは、日米安保体制を支援する在日米軍の任務・使命に変わりはないということです。日本を守ることが我々在日米軍の第一の任務であり、また在日米軍では安全性を非常に深刻にとらえています。安全こそが我々の仕事の中で最も重要なのであり、航空機の安全運行は沖縄県民と日本国民にとって重要であると同様に、我々米国軍人にとっても重要なのです。我々は今後も今回の事故の完全かつ徹底した原因究明を継続していく方針です。また、今後も引き続き、こうした不幸な事故の再発防止のために万全の策を取っていく方針です。我々は、今回の事故と沖縄県民の皆様に抱かせてしまった不安に、心から申し訳なく思います。

質疑応答

 今日は皆様の質問により良い応対をするため、二人の航空専門家が当局者としてこの場に同席しております。私の左側におりますのは飛行経験が豊富なCH53D型ヘリコプターの操縦士で、右側には同じく経験豊富な航空機安全問題の専門家です。それでは、これからいくつか質問を受け付けたいと思います。


質問:質問は3点について。先ず、米軍側は地元住民の怒りをどう受け止めているのか。これが第1点目。2番目は、今回の事故が、現在進行中の米軍再編に、とりわけ在沖縄米軍に及ぼす影響について。そして、3番目の質問は---

司会者:最初にお断りした通り、今の質問は今回の背景説明とは関係のない内容のものだと申し上げたい。

質問:では、国務長官(注:原文のまま)から「即時展開命令」の発令があったのはいつのことか。8月22日か。

当局者1:事故機(CH53D)が米艦「エセックス」へ向けて飛び立ったのは8月22日のことで、これは展開命令に従ってのことだった。

質問:国防長官が今回の展開命令を実際に出したのはいつのことなのか。いつ命令を受けたのか。

当局者1:その件に関する情報は非公開となっている。だが、展開命令は出ていた。

質問:それは事故発生以前の話なのか、あるいは事故発生後のことなのか。

当局者1:その質問に関する情報公開の可否については、回答を留保し、あとで回答したい。

質問:今の説明によれば、CH53D型ヘリコプターが墜落したのは同機が普天間基地への帰還途中のことだったとのことだが、そもそもこのヘリコプターはいったいどこから飛行してきたのか。また、同機からの救難信号を同機が墜落する前に受信したとのことだが、救難信号を受信してから実際の墜落までどのくらいの時間が経過したのか。この間、地元の警察・消防に危険を知らせたのか。質問がもう1点。墜落事故の発生後、私も事故現場で長時間取材にあたっていた一人だ。宜野湾署や地元の関係当局など、日本側が(事故原因の)調査の進捗状況を米軍側に問い合わせたが、返答らしい返答はあまりなく、その翌週になって米軍側が回答の拒否を通知してきた。これは何故か。

当局者1:質問は3点。最初の質問は、「このヘリコプターはどこから飛行してきたのか」というものだが、当該事故機のCH53D型ヘリコプターは海兵隊普天間航空基地から離陸している。その後、普天間基地へ帰投する際に事故が発生した。次の質問は(事故発生時までの)時系列、(米軍側の日本側に対する)通報に関する質問と思うが、この質問は事故機が急難状態に陥ったのを(米軍)当局が知ったのはいつのことなのか、という意味だと捉えて回答したい。このことは会見の冒頭で触れているが、改めて簡単に説明すると、普天間基地の航空管制塔が帰投中の当該事故機のCH53D型「デルタ」ヘリコプターから緊急災難連絡を受信したのは8月13日、金曜日、午後2時17分。同日午後2時18分頃、同CH53D型ヘリが緊急着陸。同午後2時19分頃、別の(飛行任務中の)軍用機(の搭乗員)が同基地の航空管制塔に、「航空機が1機不時着して炎上するのを目撃した」と報告してきた。普天間基地の海兵隊は直ちにすべての緊急事態対応関係機関への連絡を開始した。最後の質問は事故と事故発生後の経過についての質問だが、現時点で言えるのは、今はまだ徹底的かつ完全な検証作業を行っている最中だということだ。

質問:最後の質問は調査の継続について聞いたのではない。日本の警察と消防は独自の現場検証を行おうとしたが、米軍はそうした日本側の要請を拒否している。その理由は何か、という意味だ。2番目の質問は墜落現場に関することだ。ヘリからの救難信号を受信した1分後に同機は墜落している。しかし、目撃情報によれば、同機が墜落してから5分以内に海兵隊員らが墜落現場入りしており、回収作業を始めている。何故そんなに急いだのか。つまり、事故当日のヘリの飛行目的は何だったのかという疑問がある。

当局者1:先ほど理解されなかった質問に私の方から回答する。質問はいくつかあったが、私の回答はこの質問にだけに限らせて頂く。日本側が独自の現場検証を行うために墜落事故現場への立ち入りを要請したが拒否されたのは何故か、という意味の質問だと理解している。これは、日米地位協定に基づく日米政府間の長期協定に関する先程の説明の中でも触れている。同長期協定では、米側に事故処理の第一義的責任がある。

質問:残りの二つの質問についてはどうなのか。

司会者:今のいくつかの質問うち、少なくとも4点については既に回答済みだ。他に質問は。

質問:米軍側は、「今回の事故(の原因)は事故機に固有のものだった」と強調している。これはヘリの整備不良が事故の原因だということか。その場合、ヘリの機体整備にあたった者を、個人であれグループであれ、処罰する考えはあるのか。

当局者1:詳細については現在調査中ということだ。(ヘリ尾翼内部の)部品が何故なくなったのかは分からない。抜け止めピンの材質に問題があったか、あるいはその取り付けが不十分だったのか、現時点ではまだ分かっていない。このため、現在、徹底的かつ完全な調査を行っている。

質問:事故現場の「可燃物」とは何を指すのか、もう少し詳しく説明して欲しい。この「可燃物」とは劣化ウランを含むものなのか。日本の一部報道では、事故機が劣化ウランを積んでいた可能性が指摘されている。

当局者1:今の質問にはいくつかの質問点がある。米国は昨日、記者会見を開いた。その際、会見に臨んだ(在日米軍司令官の)ワスコー中将が劣化ウランのことについて触れており、「事故機が劣化ウラン弾を搭載していた事実はない」と否定している。また、同中将は(墜落現場の)土壌汚染の問題についても言及している。同中将が昨日述べたことと変わりはない。しかし、質問の中で出た第2点目の「可燃物」については、当方の事故調査専門家の意見を参考にしてもらいたい。

当局者2:航空機事故には、それ特有の数多くの危険性がある。ご指摘の「可燃物」には、燃料や石油、あるいは油圧オイルといったものが入る。これらの物質はそれ自体が可燃物であるばかりか、危険物でもある。訓練を受けた者が事故現場の土壌の洗浄と回復にあたる必要がある。

質問:私の質問は、調査が現在もまだ進行中だということにもかかわらず、事故(原因)が事故機に固有のものだったと結論付けたその根拠は何かということだ。

当局者1:初期段階の事故調査の結果、そうした結論に至った。つまり、事故調査団は今回の事故の一連の出来事と思われるなかで、ヘリの墜落原因と、その原因が事故機に固有のものであることを見極めた。

質問:事故機と同型のCH53D型ヘリは日本に何機あるのか。また、その配備先はどの基地なのか。

当局者1:CH53「デルタ」(CH53D)ヘリは1個飛行隊が日本に配備されている。その配備先は普天間基地だ。

質問:質問項目が3点。最初の質問は(ヘリの)部品に関する先程の質問と重複する。つまり、部品の取り付け方が間違っていて、このことが実際の事故につながった可能性がある。しかし、当該事故機にこの部品がきちんと取り付けられていたか、誤って取り付けられていたかどうかは分からない。この点が不明なままである以上、今回の事故原因が事故機に固有のものだったと結論付けることは出来ないのではないか。また、事故機は本当に劣化ウラン弾を積んではいなかったのか。3番目の質問は、事故機と同型のヘリが既に運行を再開している事実についてだ。ヘリの運行再開に際して、日本政府がこの時点での飛行再開をしないよう米側に申し入れている。にもかかわらず、米軍は日本側の要請を拒否している。このことについてはどう考えるのか。

当局者1:3番目の質問をもう一度お願いしたい。

質問:今回、米軍がCH53D型ヘリの運行を再開するにあたり、日本政府が同型機の飛行再開の中止を要請している。日本政府の要請が拒否された理由は何か。

当局者1:最初の質問については、調査の結果、欠落した部品に何が発生したのかは特定できるはずだと申し上げておく。調査が完了するまでは何が起きたのかを推測するのは時期尚早だと考える。劣化ウランに関する質問だが、その質問については既に回答済みだ。ワスコー中将が昨日、記者クラブで答えている。最後の質問はヘリの運行再開に関してだが、これについても会見の冒頭で既に申し上げている。

質問:前回の記者会見では、調査期間は「30日間前後」だとの説明だった。この説明通りだとするなら、検証作業の開始から30日ということか。また、この検証作業が開始されたのはいつか。

当局者2:調査が完了するまでおよそ30日間かかる。この「30日間」とは事故調査団が調査に着手してから要する通常の日数のことだ。

質問:事故調査団が実際に調査を開始する正確な日はいつなのか。

当局者2:事故調査団が選定されたのは8月14日のことだ。はっきりさせておきたいのは「30日間」という日数のことであり、「およそ30日間」だということを強調しておきたい。ここで言う調査の過程は非常に複雑なものだ。ここにいる者は誰もが皆、今回の事故の原因を知りたいと思っている。また、沖縄県民も皆そう思っている。調査は正確でなければならないし、また正確に行われるだろう。先程も触れたが、今はまだ完全かつ徹底した調査を行っている最中だ。通常は(事故原因の解明に)30日間を要するが、これは「およそ」と言う意味での「30日間」ということだ。繰り返すが、調査過程は非常に複雑で細部にわたる。調査の終了予定日がいつなのかという質問に答えられるかどうか聞かれれば、答えは「ノー」だ。何月何日に調査が終わるのかという質問は返答不可能だ。「およそ30日間」ということだ。調査が細部にわたればわたる程、調査期間もそれだけ長くなる。

質問:(事故当日のヘリの)飛行目的は何だったのか。これについて今はまだ情報公開が出来ないとの立場であっても、その目的が事故原因に関連するものならば、調査の最終報告書に盛り込まれるのか。

当局者1:「飛行目的は何か」という質問だが、任務の遂行に必要不可欠な訓練飛行を行うためだ。

質問:手短な質問が一つ。先程、8月22日の運行再開についての言及があったが、CH53D型ヘリ「シースタリオン」の実際の行動・任務及びその責任の内容をきちんとご説明願いたい。それともう1点。8月22日に出されたという「即時展開命令」は他の航空機でも遂行可能な任務だったのか。この任務を遂行するのはCH53D型ヘリでなければならなかったのか。

当局者1:今の質問の中で指摘されていることが二つある。最初の質問項目の「CH53Dヘリの飛行任務」についてはCH53Dへりの専門家に委ねたい。

当局者3:第31海兵遠征隊及び海兵隊所属の大型ヘリ飛行隊の全部隊のために、CH53D型ヘリは海兵隊の用に供するための重量物の輸送を行う。輸送の対象は貨物や兵員だ。時には対外物資も含まれる。

質問:積荷に兵器が含まれることはあるのか。

当局者3:そうしたこともあり得る。海兵隊の戦闘要員や人道的支援を行う海兵隊員を輸送することもあり、その他いろいろある。

当局者1:質問中、2番目の項目は第31海兵遠征隊への作戦命令に関する、こうした作戦任務の遂行にCH53D型ヘリが必要だったのかどうかという質問であり、「他の航空機がその任務を代行できなかったのか」という趣旨の質問だったと思う。第31海兵遠征隊に関して言えば、答えは「ノー」だ。同遠征隊所属のヘリ飛行隊の持つ大重量輸送能力はCH53ヘリ「デルタ」(CH53D)によるものだ。

質問:つい最近になって低空飛行訓練の回数が増加しているように観察されるが。これは事実か。「イラク作戦」(注:発言のまま)に向けて必要な訓練との説明があったが、CH53D型ヘリを使ったこの訓練もそうだったのか。

当局者1:今の質問は、今日我々が何故この場にいるのかということとは関係がないので、回答を留保する。

質問:事故当時、事故機が運んでいた物は何か。

当局者1:当該事故機に積荷はなかった。事故機の搭乗員は操縦士、副操縦士、及び機体整備責任者の3名。

質問:CH53D型ヘリは普天間周辺で毎日どのような訓練を行っているのか。通常、ヘリ飛行隊の整備態勢は何人程度の規模なのか。その機体整備点検作業の頻度と人数はどの位なのか。ヘリ自体のイラク派遣に加えて、ヘリの機体整備要員もイラクやその周辺へ派遣されることはあるのか。そうだとすれば、普天間駐留海兵隊の機体整備・修理要員の一部がCH53D型ヘリの整備点検作業のためにイラクへ派遣されていることにより、普天間の(機体整備点検)要員の態勢が不十分になってしまっているという可能性がある。

司会者:今の質問はこの場で取り上げるべきことの範囲外だ。この場ではなく、別の場で解決すべき性格のものだ。

当局者1:同感だ。今の質問の殆どはこの場で取り上げる性質のものではない。この場はそうした問題を取り上げる目的のものではないからだ。今のいくつかの質問の中で、CH53D型ヘリの毎回の飛行ごとに行う機体整備・安全点検の状況に関する質問があった。この質問に関しては、CH53Dヘリの専門家にもう一度答えてもらう。

当局者3:海兵隊では、CH53D型ヘリ1機につき、1時間の飛行のために、つまり各CH53D型ヘリが1時間飛行するごとに、15時間から20時間の機体整備と安全点検を必ず行っている。海兵隊では安全のために多くの時間を費やしている。これは海兵隊員と機体に接する整備要員など、すべての者にとって安全が最も大事なためだ。

質問:今回の墜落事故の調査はどのように行われているのか。日本側、米側両当局の現場検証はどうなっているのか。沖縄は日米地位協定の改定を望んでいるが、米側が提案したより良い方策は地位協定の運用面における改善だけだ。最善の方法があるとするなら、それは何か。日米特別行動委員会(SACO)や日米合同委員会はこうした問題に取り組む場とはならないのか。

司会者:今の質問は今日この場で取り上げるべき性格のものではない。この場は今回の墜落事故とその事故原因の調査に関する事実関係を説明するためのものだ。

質問:日本側当局が事故現場の検証のための立ち入りを認められたのは事故の発生から丸4日間が経ってからだったとの話があった。日本側が米軍当局に手を貸すためではなく、日本側が事故現場の記録、あるは米側の許可するその他何であれ独自に行うための立ち入りだ。そこで思い出されるのは、間違っていたら訂正して頂きたいが、日本の新聞、あるいは東京発行の英字紙で見た写真で、そこには黄色い服に身を包んだ何人かの者が写っており、その服は非常に色鮮やかで、生体物質や核物質の知識を有する一部の者にとっては非常に恐ろしいことを指し示している。写真に写っていた服装は何を現場でしていたのかご説明願いたい。

当局者1:事故調査団が事故現場で身にまとっていた安全服については、もう一人の専門家に話を聞くことにする。

当局者2:事故調査団は現場に到着後、標準措置に従って調査を実施した。これらの調査処置は特定の部隊に限ったものではなく、世界中の米海軍と米海兵隊全体で採用されている共通のものだ。先ず、まず最初の措置は負傷者全員の応急手当てだ。2番目は事故現場の安全確保と現場保全。3番目に機体の残骸・破片の保存・確保。真っ先に取る措置が負傷者の応急手当にあることは自明の理だ。2番目と3番目の措置には理由がいくつかある。これは事故現場にいる者及び周辺一帯の地元住民の安全のためであり、また事故がどのようにして何故起こったのかを突き止めるための重要な手がかりとなる現場を保存・確保するためだ。新聞の写真で見たと言う現場作業員らは高度の訓練を受けた航空機部品回収の専門家だ。航空機全般、特に軍用機の事故の危険性は先程説明されたが、繰り返すと、燃料、石油、油圧オイル、あるいは複合材があげられる。そのため、現場処理にあたる者が(機体などの)回収と現場の調査を行う際に自分の身の安全を守る必要がある。これらの現場作業班は常に同じ方法でこうした作業を行う。これは安全のためだ。従って、写真で見たと言うものは、現場の保全にあたる際にそうした危険から自己防御をしている高度の訓練を受けた作業班だ。

質問:問題のなくなったと言う部品について少し伺いたい。問題の部品が実際にいつなくなったか結論が出ているのか。飛行中に起こったことなのか。

当局者1:現在、調査解明中だと申し上げておく。原因を特定する必要があり、そうするつもりだと自信を持って申し上げる。

質問:一般論として伺いたい。同型機のヘリがこの重要な部品なしで離陸し、なおかつ一定時間の飛行をすることは可能なのか。

当局者2:今はまだそうしたことに答えるのは時期尚早だ。部品が何故なくなったのか、その理由や原因及びその時系列などについては事故調査団の報告を待ちたい。

質問:普天間飛行場に現在配備中のCH53D型ヘリは他の複数の基地に復帰させることになるとの説明だが、海兵隊の岩国基地がその復帰先の一つなのか。また、その時期はいつになるのか。

当局者1:質問はCH53型ヘリ「デルタ」の拠点配備に関するものだが、これらのヘリは海兵隊の「部隊展開計画」(UDP)に基づくもので、日本国内での通常の配備先は海兵隊の岩国航空基地だ。同ヘリの飛行隊群は、第31海兵遠征隊の作戦計画立案とそれに基づく作戦展開を支援する目的で、普天間基地における新たな展開任務についていた。


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