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*以下の文書は2002年11月10日付ワシントンポスト紙への寄稿を仮翻訳したものです。

「フセイン政権の正念場」

コリン・L・パウエル国務長官

 ブッシュ大統領は、9月12日、国連で演説し、イラクが国際平和と安全保障にもたらしている脅威に対して、安全保障理事会がその責務を果たすよう訴えた。安保理が決議1441を満場一致で可決したことは、国連が平和的手段でイラクの大量破壊兵器を排除するための歴史的な第一歩である。

 国際社会はサダム・フセインとその政権に最後の機会を与えた。今こそ、フセイン政権はこの機会に応じる時だ。

 国連安保理での7週間にわたる協議や議論そして交渉の結果、イラクは完全かつ最終的な武装解除を実行しなければならない、という国際社会のより踏み込んだ合意とより強い決意が形成されるに至った。今や、この問題はイラクと米国の間だけでなく、イラクと結束した世界との間の問題であることがサダム・フセインにはっきりと分かったはずだ。

 サダム・フセインは、過去11年間にわたり数多くの国連決議や声明を無視し続けており、国際社会を侮辱しているのは明らかである。われわれは皆、国際社会の要求順守を回避するために、再三再四、フセインが取ってきた否定や欺瞞そして引き延ばし策といった戦術を十分に承知している。また、われわれはフセイン政権の残虐さや侵略性を十分認識している。フセインは過去に2度、隣国を侵略した。さらに、フセインは他国ばかりか、自国の男女や子どもに対しても化学兵器を使用したことがある。

 イラクが国連の査察を拒否してからこの4年間、フセインはさらに多くの生物・化学・核兵器といった大量破壊兵器の入手や開発のためにあらゆる手段を講じてきた。さらに、フセインは自分が保有するそうした兵器を使うことや、あるいは自分の利益のためにテロリストにそうした兵器を与えることにも、何のためらいも感じることはない。

 サダム・フセインとその政権との長年にわたる経験からいえることは、サダム・フセインが応じるのは、断固とした決意と軍事的圧力に直面した時だけである。国連安保理のすべての理事国は、フセインが安保理決議1441に応じなければ、深刻な結果を招くことを理解している。

 同決議の内容は明白である。

  • 国連安保理は、イラクが重大な義務違反を続けていることを把握している。 
  • イラクは、1週間以内に、安保理決議1441を受諾するか否かについて返答しなければならない。
  • イラクは、大量破壊兵器の開発計画をすべて申告しなければならない。 
  • イラクは、これまでよりはるかに厳しく徹底的な査察体制に従わなければならない。

 サダム・フセインは、長年にわたり隠し持ってきた大量破壊兵器を開示するため、査察団に対し、即時に、妨害することなく、無条件かつ無制限の立ち入りを認めなければならない。大統領宮殿などの施設への立ち入りだけではなく、住民やその他の情報源に接触することも極めて重要である。なぜなら、隠匿や移動が容易な生物・化学兵器を見つけ出すためには、いつ、どこを探すべきかを知る必要があるからである。重要な人物や情報への接触がなければ、査察団はすべての屋根裏やすべてのトラックの荷台を調べなければならなくなる。

 国連査察団のハンス・ブリクス団長(国連監視検証査察委員会委員長)と国際原子力機関のモハメド・エルバラダイ事務局長は、彼らが必要とする強力な査察体制を与えられている。米国は、他の国連加盟国と同様に、あらゆる面において査察団の支援を行う。

 武装解除のプロセスは今すぐ開始されなければならない。査察団の第一陣(先遣隊)は、明日から1週間後にイラク入りを予定しており、世界中の目が集まるだろう。査察団は査察開始から60日後に、安保理に最新情報の報告をする義務がある。また、査察団は、現地で干渉や妨害に遭遇した場合、安保理に報告する義務もある。ブッシュ大統領が金曜日(11月8日)に述べたように、米国の方針は、一切の情状酌量をしないということである。

 今後の査察において、イラクは国際社会の意志を試してくると思われる。イラクの大量破壊兵器を排除するだけでなく、また同国にすべての国連決議を順守させ、さらにイラクが自国民や近隣諸国および世界にとって脅威とならなくなるというわれわれの究極の目標を達成するためにも、軍事的圧力を伴った安保理決議1441の支持が最善の方策であろう。

 ブッシュ大統領及び連邦議会の上下両院は、武力に訴えることなく、国連主導の下で、イラクが武装解除をすることを、米国が望んでいると強調してきた。われわれはイラクとの戦争を望んでいるわけではなく、イラクの平和的な武装解除を求めている。しかし、イラクの大量破壊兵器を排除するのに戦争が唯一の手段ならば、われわれは戦争を恐れない。国連安保理の決議により、サダム・フセインとその政権は正念場を迎えている。彼らがさらなる嘘をもって対抗してくるなら、その結果から逃れられないであろう。


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