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テロ支援国家概観

 「どの地域のどの国家も、今、決断を下さなければならない。われわれの味方になるか、あるいはテロリストの側につくかのどちらかである」

ジョージ・W・ブッシュ大統領、2001年9月20日

 ブッシュ大統領は、9月20日の連邦上下両院合同会議への演説で、テロ支援国家にこう通告した。「どの地域のどの国家も、今、決断を下さなければならない。われわれの味方になるか、あるいはテロリストの側につくかのどちらかである」。テロ支援国家として指定されているキューバ、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、シリア、スーダンの7カ国は、大統領のメッセージをはっきりと聞いた。一部のテロ支援国家は、現行の方針を再検討しているようであるが、いずれもテロとのつながりを完全に断ち切るために必要な行動を取ってはいない。

 スーダンとリビアは、テロ活動との関係を断つために何をなすべきかについての理解に最も近づいているようであり、いずれも自国を正しい方向に向ける措置を取ってきた。イラン、北朝鮮、およびシリアは、限られた分野で、国際社会のテロとの戦いに協力する限られた動きを見せている。しかしながら、イランとシリアは、二またを掛けようとしている。この両国は、アルカイダなど一部のテロ組織に対する取り締まりを強化する一方で、ハマス、ヒズボラなどその他のテロ組織の活動は、民族解放運動であると主張して、彼らへの支援を続けた。北朝鮮は、当初の前向きな動きを突如停止した。

 テロを支援または許容する国家がすべて、自主的あるいは強制によって、テロ支援を中止しない限り、こうした国家は、テロ組織とその活動にとって極めて重要な基盤を引き続き提供することになる。2001年には、国際的なテロの脅威全体の陰にある推進力としての国家支援が徐々に弱まる傾向は続いたが、テロ支援国家は依然として、国際的なテロとの戦いを妨げる主な要素である。

 イスラエル、ヨルダン川西岸、ガザ地区など、一部の地域では、テロ支援国家が引き続きテロの重要な陰の推進力となっている。イランは現在も、ヒズボラ、ハマス、およびパレスチナのイスラム聖戦に対する強力な支援を続けている。イラクは、サダム・フセイン政権に反対する国内の反体制グループを対象とするテロ行為を行っている。シリアは、引き続きヒズボラを支援するとともに、ハマス、パレスチナのイスラム聖戦、およびその他の対イスラエル強硬派グループがダマスカスに事務所を維持するのを認めた。

 

キューバ

 9月11日の同時多発テロ以降、テロとの戦いに対するフィデル・カストロの態度は揺らいでいる。10月、カストロは、米国主導のテロとの戦いについて、「軍国主義的、ファッショ的であり、原因となった同時テロ攻撃より悪質である」と評した。

 この姿勢が、世界の賞賛どころか排斥をもたらすと、カストロは、国際的なテロとの戦いへのキューバの支持をはっきり示そうと努め、国連のテロ防止関連条約の12すべてに署名し、さらに2001年イベロアメリカ首脳会議のテロに関する宣言に署名した。キューバは、グアンタナモ湾の米国海軍基地にテロ容疑者を拘留することには抗議をしない方針を取ったが、世界的な対テロ措置を引き続き非難し、米国がアフガニスタンの子どもたちや赤十字病院を意図的に攻撃しているとさえ主張した。

 キューバが国連のテロ防止関連条約に署名したにもかかわらず、カストロは依然としてテロを合法的な革命戦術と見なしている。キューバは、引き続き「バスク祖国と自由(ETA)」のメンバーの少なくとも20人を、特別な客人として国内に居住させている。また、コロンビアのコロンビア革命軍(FARC)および民族解放軍(ELN)のメンバーに何らかの隠れ家を提供している。キューバのスポークスマンが8月に明らかにしたところでは、FARCに爆発物訓練を提供した疑いでコロンビアで逮捕されたアイルランド共和国軍(IRA)のメンバー3人のうちの1人、シン・フェイン党のキューバ・中南米公式代表のニアル・コノリーが、過去5年間キューバを本拠地としている。また、最近ブラジルで、チリのテロ集団マヌエル・ロドリゲス愛国戦線(FPMR)のリーダーが逮捕されたことで、1990年代半ばにチリで殺人容疑で手配されていたFPMRテロリストらをキューバ政府がかくまっていた可能性が高いことが明らかになった。この逮捕されたリーダーは、ブラジル当局に、キューバを経由してブラジルに入国したと話している。1996年にFPMRメンバーが脱獄した後、チリの捜査官は、国内のFPMRメンバーの身内がキューバへ電話をかけたことを確認した。しかし、キューバ政府は、手配されている者はキューバ国内にはおらず、電話番号は間違っていると主張し、2度にわたって引き渡し要請を拒否した。

 多くの米国人逃亡者がキューバに居住し続けている。1973年にニュージャージー州の警察官を殺害した容疑で米国で指名手配されているジョアン・チェシマードは、1979年以来、カストロ政権の客人としてキューバに住んでいる。

テロ支援国家に対する措置 

 国際テロの支援を続ける国家をテロ支援国家に指定すること(すなわち国家を「テロリズム・リスト」に載せること)により、そうした国家には米国政府による次の4種の制裁措置が適用される。

1. 武器関連の輸出・販売の禁止 

2. 2重の用途がある品目の輸出の管理。すなわち、テロ支援国家指定国の軍事力またはテロ支援能力を著しく増強する可能性のあるモノやサービスの輸出については、30日前に議会への通知を義務付ける 

3. 経済援助の禁止 

4. 金融やその他のさまざまな規制 

  • 世界銀行やその他の国際金融機関による融資に対して米国が反対する
  • テロ犠牲者の家族が米国の裁判所で民事訴訟を起こせるように、外交特権を剥奪する
  • 企業または個人が支援国家指定国で得た収入については税額控除を認めない
  • 米国へ輸出されるモノの免税措置を認めない
  • 米国人が、財務省の許可なくしてテロ支援国家との金融取引を行うことを禁止する
  • 国防総省がテロ支援国家の管理する企業と10万ドルを超える契約を結ぶことを禁止する

 

イラン

 イランは2001年も引き続き、最も積極的なテロ支援国家であった。イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)および情報省(MOIS)は、依然としてテロ行為の計画と支援に関与するとともに、目標達成の手段としてテロを利用するさまざまな集団を支援している。イラン国内にもこうした支援の停止を求める声はあるが、権力を握る強硬派は、このような政策を緩和しようとする試みをすべて挫折させている。インティファーダの発生以来、イスラエルに対して暴力行為を行うパレスチナグループへの支持が強まっている。しかしながら、この1年間、イランはそれ以外のテロ活動への関与を減少させてきたようである。イランが、米国で起きた9月11日の同時多発テロを支援したり、前もって知っていたことを示す証拠はない。ハタミ大統領は、この同時多発テロを非難し、米国民に哀悼の意を表した。

エイラート港に停泊する「カリンA号」。イスラエルは、この船に反イスラエル活動家が使用するための武器50トンが積まれており、その大半をイランが供給した、と主張している
エイラート港に停泊する「カリンA号」。イスラエルは、この船に反イスラエル活動家が使用するための武器50トンが積まれており、その大半をイランが供給した、と主張している

 2001年に、イランは、反イスラエルのテロ組織への支援を増やすことによって、反イスラエル活動を奨励する明確な立場を示そうとした。最高指導者ハメネイ師は引き続き、イスラエルは、取り除かなければならない「ガン細胞」である、と述べた。こうしたことばを裏打ちするかのように、イランは、レバノンのヒズボラやパレスチナの対イスラエル強硬派、特にハマスやパレスチナのイスラム聖戦、そしてパレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLP-GC)に、それぞれ規模は異なるが、資金、隠れ家、訓練、および武器の提供を続けてきた。また、ヒズボラや対イスラエル強硬派グループに、計画を調整し、活動を段階的拡大するよう促した。

 このほか、イランは、湾岸諸国、アフリカ、トルコ、中央アジアのテロ組織にも、限られた支援を提供した。こうした組織への支援は、反イスラエル組織への支援に比べるとはるかに少なく、近年は減少を続けている。イラン政府は、2001年には、サルマン・ラシュディ氏に対するホメイニ師の「ファトア」を実行する直接的行動は起こしていないが、この命令は撤回されておらず、また同氏の暗殺に対する280万ドルの懸賞金も取り下げられていない。また、2月のこのファトアの記念日に、イランの強硬派の中には、この命令は取り消せないものであり、実行されるべきであると、再び主張する者もいた。

 不朽の自由作戦の期間中、イラン政府は米国に対し、米国の戦闘機がイラン国内で墜落した場合には、国際条約に従ってイラン軍が墜落機の乗員を救助する、と伝えた。またイランは、2001年後半のボン会議で、アフガニスタン暫定行政機構の樹立を支援するため、米国および同盟諸国に協力した。イラン政府は、タリバンやアルカイダの逃亡者の潜入を防ぐため、アフガニスタンおよびパキスタンとの国境を封鎖することを約束した。しかし、アルカイダのメンバーを含むアラブ系アフガニスタン人が、アフガニスタン出入国の経路としてイランを利用していたとの報告もある。

 

イラク 

 イラクは、米国に対する9月11日の同時多発テロを非難しなかった唯一のアラブ・イスラム教国である。イラクの国営放送局は、9月11日の論評で、米国は「人類に対する(自らの)犯罪の報いを受けている・・・」と述べた。アフガニスタンで米国による最初の報復攻撃が行われた後、サダム・フセインの息子の1人が経営する新聞の論評は、ウサマ・ビンラディンへの同情を表明した。さらに、イラク政権は、主として反体制派の在留イラク人の活動に焦点を絞っているが、数多くのテロ組織に訓練と政治的な支援を引き続き提供している。

 イラクは、ムジャヒディン・ハルク(MEK)、クルド労働者党(PKK)、パレスチナ解放戦線(PLF)、アブ・ニダル組織(ANO)などのテロ組織に基地を提供した。2001年に、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)は、イスラエルの標的に対するテロを成功させて、ヨルダン川西岸とガザ地区における存在を誇示した。2001年1月には、イラクの副大統領が、PFLPの拡大しつつある役割を評価し、バグダッドでハバシュ元PFLP議長と会見して、イラクが引き続きインティファーダを支持することを表明した。また、9月半ばには、PFLPの幹部からなる代表団がイラクの副首相と会見した。イラク政府は、アラブ解放戦線(ALF)や「5月15日組織」など、その他の対イスラエル強硬派グループも、国内に受け入れている。

 一方、チェコ警察は、米国政府出資の「ラジオ・フリー・ヨーロッパ、ラジオ・リバティー」(RFE・RL)のプラハ事務所の警備を続けた。RFE・RLは、ラジオ・フリー・イラクの番組を製作し、イラク出身のジャーナリストを雇用している。1999年および2000年に、イラク政権に批判的なRFE・RLの放送に対してイラク情報部が報復を行う可能性があるとの報告を受け、警察による警備が強化された。2000年を通じて、RFE・RLの施設の安全に関する懸念が高まり、2001年4月には、チェコはイラクの情報担当官を国外追放した。

 イラク政権は、2000年にバグダッド行きのサウジアラビア航空機をハイジャックしたサウジアラビア人2人の引き渡しを求める同国政府の要求を拒否した。イラクは、国際法に基づく義務を無視して、ハイジャック犯の政治亡命を認め、政府の支配下にある国内メディアおよび国際メディアで、サウジアラビア政府による虐待があったとし、それを批判する十分な機会を亡命犯に与えた。

CBRNテロ

 2001年9月11日の世界貿易センタービルおよび国防総省に対する同時多発テロは、テロリストが、大量の死傷者を出すための攻撃を計画・組織・実行する意志と能力を持っていることを証明した。この前代未聞の同時テロが起きたことにより、テロリストが、化学・生物・放射性物質・核(CBRN)兵器を使用する可能性が高まっている。こうした兵器の多くは、いずれも、9月11日のテロに匹敵する多数の死傷者をもたらしうる。こうしたCBRN兵器、その製造に必要な技術に関する情報、そしてCBRN兵器の使用法に関する情報は、引き続きさまざまな方法により入手が可能である。

 ウサマ・ビンラディンは、「大量破壊兵器(WMD)」の入手は「宗教的な義務」であると公言し、そして、そうした兵器を使用すると脅かしている。アフガニスタンのアルカイダ施設から回収された文書にCBRN兵器に関する情報が記載されているとの報道は、このビンラディンの言葉を裏付けている。こうした脅威は、ビンラディンとアルカイダだけにとどまらない。CBRN関連兵器の入手と使用に関心を持っている他の組織が少数ながら増加していることを示す情報が存在する。ハマスが、即席の爆破装置の榴散弾に毒薬や殺虫剤を塗っているのは、その一例である。また、最近イタリアで逮捕された集団が、一定の条件下でシアン化水素(HCN)ガスを発生させることのできる化合物とともに、米国大使館付近の地下配管システムの地図を所有していたことも、テロリストがテロ活動にCBRN兵器を使用する意図があることを実証している。

 これまでに発生したCBRNテロは、概して稚拙な即席の手段によるものであり、かろうじて効果を発揮している程度である。致死的効果を持つ物質が使われた事件もいくつかあるが、その場合も(米国で使われた炭疽菌の場合を除いて)製造方法は稚拙である。その他の事件では、合法的または非合法的に入手した物質(有毒の工業用化学薬品・物質、毒薬・殺虫剤、合法的な測定機器に埋め込まれた放射性源など)を、その意図された用途とは異なる目的で使用している。こうした物質および即席の攻撃装置は、致死的な効果を発揮し、かなりの損害と混乱をもたらし得るが、それは、テロリストが軍事用大量破壊兵器(WMD)とその発射装置を入手した場合に発生し得る死傷者と損害の規模に比べれば、小さなものである。

 WMDとその関連物質および関連技術の拡散防止は、長年にわたり国家安全保障の柱となってきたが、9月11日の同時多発テロ以降、これまで以上に世界的な緊急案件となった。ジョージ・ブッシュ大統領は、2002年1月29日の一般教書演説で、「化学、生物、または核兵器を求めるテロリストや政権が米国と世界を脅かすことを防ぐ」ことが、米国の2つの主要目標の1つであることを明言した。世界各国が、米国とともに、テロリストによるWMDおよび関連物質、関連技術の入手を阻止する努力の強化を呼びかけている。

 米国は、適切な多国間の拡散防止フォーラムやその他の国際フォーラムで活動し、世界各国が、テロリストまたはテロ支援国家によるWMD、その関連物質、または関連技術の入手を不可能にするため、より厳しい不拡散政策・計画を採用することを奨励している。

 米国その他の諸国の拡散防止組織による積極的な関与は、国際的な反テロ連合の能力を増強するものとして歓迎されるものである。こうした協力活動は、外交、情報の共有、法執行における協力、技術交流、安全保障と軍隊警備、そして訓練といった分野で、CBRNテロと戦う既存の国際的な対テロ戦略・計画の強化に貢献するはずである。

 

リビア

 9月11日の同時多発テロの後、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィは、この同時テロを残酷な恐ろしい行為であると非難し、リビア国民に米国の犠牲者への献血を促す声明を発表した。そして9月16日には、同時テロに対する米国の報復攻撃は正当化される、と宣言した。9月11日以降、カダフィは、繰り返しテロを非難している。

2001年1月31日、スコットランドのロッカビーでニュース・ポスターを貼り出す女性。1988年、航空機内で、爆発装置を爆発させ、乗客・乗員259人とロッカビーの住民11人を死亡させたとして、アブデル・バセット・アルメグラヒ被告が殺人の有罪判決を言い渡された
 2001年1月31日、スコットランドのロッカビーでニュース・ポスターを貼り出す女性。1988年、航空機内で、爆発装置を爆発させ、乗客・乗員259人とロッカビーの住民11人を死亡させたとして、アブデル・バセット・アルメグラヒ被告が殺人の有罪判決を言い渡された

 リビアは、国際テロに対する支援を縮小していたようであるが、少数のテロ組織と接触を保っている可能性がある。近年リビア政府は、調停者としての新たな役割を確立しようとしており、2001年12月に始まったインドとパキスタンの軍事的対立をはじめ、多くの紛争の調停を申し出ている。リビアは10月に、アブ・サヤフ・グループが誘拐した人質1人を、身代金を払って解放させたが、これは身代金ではなく「人道援助」に使われる資金である、と主張した。

 リビアによる過去のテロ活動の歴史は、「世界ののけ者」とされるリビアの現状から脱却しようとするカダフィの努力を妨げ続けた。1月に、スコットランドの裁判所は、リビアの情報機関員アブデル・バセット・アリ・アルメグラヒが、1988年にパンナム航空103便に爆発装置を仕掛け、これを爆発させて乗客・乗員259人全員およびスコットランドのロッカビーの住民11人を殺害したとして、殺人罪で有罪の判決を下した。判事らは、アルメグラヒ被告が「リビア情報部の・・・目的を推進するために」行動した、と判断した。共同被告人であるリビア・アラブ航空職員、アルアミン・カリファ・ファヒマについては、検察側が同被告の爆破事件への関与を「合理的な疑いを超えて」立証できなかったという理由で、無罪の判決が下された。年末の時点で、リビアは依然として、パンナム航空103便事件に関する国連安保理の要求に完全には従っていない。この要求には、リビア政府関係者の行為について責任を認めること、爆破事件についての情報をすべて公開すること、そして犠牲者の遺族に適切な補償金を支払うことなどがある。リビアがその実行を躊躇(ちゅうちょ)していたのは、アルメグラヒ被告の控訴により有罪判決が覆されることを期待していたからであるとも考えられる。(2002年3月14日、スコットランドの控訴裁判所は、有罪判決を支持した)

 11月には、ドイツの裁判所が、1986年に西ベルリンで起きたディスコ「ラベル」爆破事件の被告4人を有罪とした。判事は、判決を言い渡す際に、このテロ事件は明らかにリビア政府当局者が画策したものである、と述べた。この判決を受けて、ドイツ政府はリビアに対し、事件の責任を認めること、および犠牲者に補償金を支払うことを求めた。この爆破事件では、米軍兵士2人とトルコの民間人1人が死亡し、200人余りが負傷した。

 

北朝鮮

 国際的な反テロ活動への朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮―DPRK)の対応は、期待を裏切るものであった。北朝鮮は、9月11日の同時多発テロ後に発表した声明で、テロおよびテロに対するいかなる支援にも反対するという公式方針を繰り返した。また、国連のテロ資金供与防止条約に署名し、「人質をとる行為に関する国際条約」に加盟するとともに、その他5条約にも署名する意向を示した。しかしながら、北朝鮮は、国際社会の要請にもかかわらず、同国の国連安保理決議の履行状況に関する情報提示要求への対応をはじめ、テロとの戦いに協力する実質的な措置を取らず、またテロ協議を求める米国の提案にも応じなかった。北朝鮮は、国連安保理決議1373号により義務付けられている、資産の調査・凍結の実施状況を全く報告していない。同様に、テロ対策が議題の1つとなっている韓国の対話再開の要請にも、また枠組み合意の実施改善に関する対話を求める米国の要求にも積極的に対応しなかった。大量破壊兵器とテロリズムの危険な関係を認識すべきだというブッシュ大統領の求めに照らしても、北朝鮮が米国による対話の要求に応じなかったことは、核の開発と拡散に関わりがあるため、特に懸念される事態であった。

 また、1970年に日本航空機をハイジャックし北朝鮮に渡った事件に関与した日本赤軍の残るメンバー4人に、北朝鮮政府が隠れ家を提供していることは、引き続きテロリスト支援という点で問題がある。さらに、2001年には北朝鮮がテロ組織に、限られた量の小火器を売却した可能性を示す証拠が存在する。

 

スーダン

 米国とスーダンはテロ対策に関する対話を2000年半ばに開始し、2001年を通じて対話を継続し、強化した。スーダンは、9月11日の同時多発テロを非難し、テロと戦うこと、およびテロとの戦いにおいて米国に全面的に協力することを確約した。スーダン政府は、テロ対策に関して米国の各政府機関との協力を強化しており、スーダン政府当局は、テロ活動への関与が疑われる過激派メンバーを調査し、逮捕した。9月下旬に、国連はスーダンの積極的なテロ対策措置を評価し、同国に対する国連制裁措置を解除した。

しかしながら、スーダンはテロ支援国家に引き続き指定された。アルカイダ、エジプトのイスラム聖戦、エジプトのアルガマア・アルイスラミア、パレスチナのイスラム聖戦やハマスなど、多くの国際テロ組織が、依然としてスーダンを、主に兵たんその他の支援活動を行う隠れ家として利用し続けた。スーダンの米国との協力の程度を推測する報道があったことから、一部のテロリストがスーダンを脱出したと思われる。米国の一方的な制裁措置は継続した。

 

シリア

 シリアのバッシャール・アル・アサド大統領およびシリア政府高官らは、9月11日の同時多発テロを公に非難した。また、シリア政府は、アルカイダなどのテロ組織およびテロリストの調査において、米国やその他の外国政府と協力した。

 シリア政府は、1986年以降、テロ行為に直接は関与していないが、2001年も引き続き、多数のテロ組織に隠れ家と兵たん支援を提供した。アーマド・ジブリルのパレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLP-GC)、パレスチナのイスラム聖戦(PIJ)、アブ・ムーサのファタ・インティファーダ、ジョルジュ・ハバシュのパレスチナ解放人民戦線(PFLP)、およびハマスの各組織が、ダマスカスに事務所を引き続き維持した。シリアは、ヒズボラ、ハマス、PFLP-GC、PIJ、その他のテロ組織に対し、シリアの支配下にある、レバノンのベカー高原に隠れ家を提供し、基地を置く特権を認めた。しかしながら、シリア政府は、2000年9月のトルコとの反テロ協定をおおむね支持し、クルド労働者党(PKK)を支援しないとの1998年の誓約を守った。

 ダマスカスは、イランが供給する武器をヒズボラへ輸送する際の主要な通過点であった。シリアは、シリア領内からイスラエルまたは西側の標的に対して行われる攻撃、またはシリア国内の西側の権益に対する攻撃をすべて阻止するという長年にわたる政策を守り続けた。

 

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