ホワイトハウス 2002年10月26日

　「テロリズムは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が目標とする、自由で開かれたそして繁栄する経済に対する直接的挑戦であり、APEC加盟国が共有する基本的価値に対する侮辱である。われわれは、テロリズムがわれわれの共通の目標に与える脅威を根絶するという決意の下に団結し、昨年上海で定められたテロ対策の目標と計画に向けての進展を加速することを確約する」（テロとの闘いと成長促進に関するAPEC首脳声明：2002年10月26日）

　APEC首脳は本日、ブッシュ大統領に対し、米国が提唱した「テロとの闘いと成長促進に関する声明」への合意を表明した。本声明は、環太平洋圏の交通、金融および通信といった主要インフラを、テロリストが利用または攻撃することを阻止するための具体的な確約を述べたものである。

　米国はまた、輸送コンテナの事前検査により国境管理を大幅に変革する２国間海上コンテナ安全対策（ＣＳＩ）の対象を、APECに加盟するカナダ、香港、日本、シンガポール、そして新たに中国を加えた国々の主要港（メガポート）に拡大した。

　世界のＧＤＰの60％を占め、全世界のイスラム教徒の４分の１を有する経済圏の団結を示すため、APEC首脳は、米国が提唱した、貿易の安全の強化、テロ資金の根絶、サイバーセキュリティの促進により主要な交通・金融・情報システムをテロから守るという計画に合意した。この計画は、ブッシュ大統領がメキシコおよびカナダと合同で開始した「スマート・ボーダー」計画を補完するものである。

APEC域内における貿易の安全性の強化（「STAR」）：APEC諸国は、世界の主要港のうちの21港を、また世界で最も乗降客の多い23の空港を有している。APEC加盟国は本日、人・貨物の事前検査、船舶・航空機の警備増強、ならびに空港・港湾の安全の強化を図る以下の措置を早期に実施することを確約した。

• 乗客に関する事前情報の収集と伝達、ならびにバイオメトリクス（生物測定法）の実施。
• 危険性の高いコンテナの特定と事前検査、ならびに2005年を目途とした共通の電子通関基準の実施。
• コックピットのドア強化および空港の安全審査に関する新たな基準の2003年４月を目途とした早期実施。
• 特定船舶の自動確認システムの2004年12月までの導入、および2004年７月までの港湾ならびに船舶安全計画の策定。

　こうしたAPEC全域にわたる輸送安全保障の強化は、米国による２国間海上コンテナ安全対策（ＣＳＩ）により補完される。ＣＳＩは、輸送コンテナの事前検査により国境管理を大幅に変革するものであり、カナダ、香港、日本、およびシンガポールの主要港（メガポート）を含めるよう拡大された。さらに今週初め、米国は、中国を最も新しいＣＳＩ参加国とすることを発表した。

テロ資金の根絶：APEC首脳は、世界の金融システムへのテロリストのアクセスを阻止し、テロリストの捜査と逮捕を目的として資金経路の追跡を共同で行うことに合意した。その具体的な合意内容は以下の通りである。

• 各地域におけるテロリストの標的をより協力して特定するため、国連その他の主要な国際的手段を最大限に活用する。
• テロリストによる悪用を防ぐため、代替的送金システムや慈善事業に対する監視を強化する。（多国間機構の指導者たちがこの分野で協調して行動を求めるのは初めてのことである）
• 金融情報機関（ＦＩＵ）を持たない加盟国は、その設置に向けた措置を取り、次回首脳会議までに、全加盟国がＦＩＵ間の情報共有を強化する措置を講じる。

サイバーセキュリティの促進：現在、APEC加盟国には世界のインターネット・ユーザーの60％以上が住み、世界のインターネット・サービス・プロバイダーの最大手20社中14社がAPEC加盟国にある。APEC首脳声明は、加盟国に対し、次回首脳会議までに以下の行動を取るよう求める。

• 既存の国際基準、特に「欧州評議会サイバー犯罪条約」と同等のサイバーセキュリティに関する包括的法律の制定。
• 各国のサイバー犯罪取締チームや国際的ハイテク支援担当機関の指定あるいは創設。
• サイバーセキュリティ上の脅威やそれに対する脆弱性に関する評価ならびに情報の交換を行なう、コンピューター緊急対応チームなどの機関の設置。