ファクトシート : ウサマ・ビンラディン 1998年8月21日、国務省テロ対策調整官発表  1998年8月20日、米軍は、ウサマ・ビンラディン関連のテロリスト・ネットワーク施 設多数を攻撃した。現在、ビンラディンのネットワークは、世界各地でテロ行為を行って いるさまざまなイスラム過激派グループを主導し、資金提供を行ない、テロ活動を煽動し ている。  ビンラディン率いるネットワークは国際テロ組織であり、世界各地に拠点を設けている。 この組織の幹部らは、他のイスラム・テロ・ネットワークの指導者でもある。そうしたグ ループには、国務省が国際テロ組織に指定しているエジプトの「イスラム集団」や、同じ くエジプトの「ジハード団」などがある。ビンラディンと彼の率いるネットワークの狙い は、イスラム諸国と西側諸国との間に戦争を引き起こし、エジプトやサウジアラビア等の 現イスラム政権を倒すことにある。  ウサマ・ビンラディンのネットワークに属する施設の攻撃を米国が決断したのは、ビン ラディンのグループが、他のテロリスト・グループの協力を得て、8月7日に起きたケニ アのナイロビおよびタンザニアのダルエスサラームにおける米国大使館に対する残虐な襲 撃行為を背後で操った、という確かな情報に基づくものである。ビンラディンのネットワ ーク一派は、先週、他の米国大使館を襲撃する計画にも関わっていた。  さらに、8月19日には、ビンラディンのネットワークが結成した「対ユダヤ人・十字 軍聖戦のための国際イスラム戦線」が、米国大使館爆弾テロを称え、さらに「米国を不吉 な運命が待ち受けている・・・今後も各地で攻撃が続き、次々に現れるイスラム集団が米 国の国益に対し闘うだろう」と警告した。  ビンラディンのネットワークのメンバーが米国とその友好国に対してテロ行為を行なっ たのは、最近のアフリカでの残虐行為が初めてではなく、その例は以下の通り無数にある。  ●1992年、ソマリアにおける人道上の作戦「オペレーション・レストアー・ホープ(希 望回復作戦)」に参加する途中の米軍兵士らをイエメンで殺害する陰謀を企てた。  ●飢餓に苦しむイスラム教徒に食糧を供給するためソマリアに赴いた米国人その他の和 平監視要員の殺害を計画した。  ●1995年にエジプトのムバラク大統領暗殺を企てたテロリストや、近年エジプトで数 十人にのぼる外国人観光客を殺害したエジプト人テロリストを支援した。  ●ネットワークの中心的な集団の1つである「ジハード団」が1995年にパキスタンの エジプト大使館で自動車に仕掛けた爆弾により、エジプト人とパキスタン人合わせて20 人以上が死亡した。  ●ビンラディンのネットワークのメンバーが、太平洋上での米国旅客機の爆破を計画し、 また、それとは別にローマ法王の暗殺を企てた。  ●1995年、ビンラディンの部下が、サウジアラビアのリヤドにある米国・サウジ合同 軍事訓練施設を爆破した。  ビンラディンのネットワークは、次のような露骨かつ過激な反米声明を繰り返し公表し ている。  ●1996年8月、ビンラディンは米国に対して「宣戦布告」をした。  ●1998年2月、ビンラディンは、「ほかのことに無駄な時間を費やすより、一人のアメ リカ人兵士を殺した方がよい」と述べた。  ●1998年2月、ビンラディンの「対ユダヤ人・十字軍聖戦のための国際イスラム戦線」 は、世界各地で、民間人も含めた米国とその同盟国の国民を襲撃する意図を明らかにした。  ●1998年5月、ビンラディンは、アフガニスタンで記者会見を行い、自分の脅迫の結 末が「数週間以内に」明らかになるだろう、と述べた。 ビンラディンのネットワーク  ビンラディンは、彼自身の言葉によると「すべてのイスラム教徒を結束させ、カリフの 規則に従う政府を打ち建てる」ことを目標としており、その目標を達成する唯一の方法は、 ほとんどすべてのイスラム諸国の政府を倒し、それらの国々から西側の影響を駆逐し、い ずれは国境を廃止することにある、と信じている。  ビンラディンのネットワークは、アフガニスタン、ボスニア、チェチェン、タジキスタ ン、ソマリア、イエメン、そして最近ではコソボで、テロリストを支援している。また、 フィリピン、アルジェリア、エリトリア等、様々な国々のテロ・ネットワークのメンバー に訓練を施している。 その他の情報  ビンラディンは、サウジアラビアの裕福な事業家の末息子で、1970年代にアフガニス タンでソ連と戦うイスラム・テロリストを集めるために国際組織を結成した。1988年に は、テロと破壊を専門とするネットワークを組織した。1989年に母国サウジアラビアに 戻ったが、テロ集団の支援を続けたため、翌年サウジ政府によって国外に追放された。 国外追放後はスーダンを拠点にテロ支援活動を行った。ビンラディンが関与し、スーダン 政府が共謀した、エジプトのムバラク大統領暗殺未遂事件の後、米国の主張を受けてスー ダン政府は1996年にビンラディンを国外に追放した。しかし、ビンラディンは、依然と してかなりの規模の事業と施設をスーダンに保持している。 ###