U.S. Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research

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米国食品医薬品局 医薬品評価調査センター 癌治療のための情報集 (Oncology Tools)

 

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FDAと承認システムの紹介

米国食品医薬品局 (U.S. Food and Drug Administration; FDA)とは?

米国食品医薬品局 (U.S. Food and Drug Administration; FDA)はDepartment of Health and Human Service(日本の厚生労働省に相当)に属する政府機関で人間や動物に使用する製品の規制や評価を行います。(薬剤、食品はもちろん化粧品や医療機器も含まれます)

FDAの主な理念と職務は?


FDAは法律により定められた3つの基本理念により発展しました。それは人間や動物に使用する製品は含有成分が明記されること、安全であること、効果があること、というものです。これらの理念は以下のことを行う科学的な組織へと発展していきました。

1.未承認製品に関する試験(臨床試験も含む)を監視するため、安全性の評価を行う。
2.製品の市販化許可を得るために提出された安全性と有効性に関するデータを評価する(承認審査過程)。
3.製品が市販された後も、安全性を継続的に調査する。

FDAについてもっと知りたい方はFDAの歴史医薬品評価調査センター  (CDER)の歴史医薬品評価調査センター (CDER)によく寄せられる質問FDAの一般情報、を訪れてください。

FDAの権限の根拠は?

FDAの権限は立法部門により制定された法律 (law)と、連邦政府の行政部門によって制定された法律の解釈である規約 (regulation)に基づいています。法律はFood, Drug and Cosmetic Actに、規約はCode of Federal Regulations(臨床試験に関する情報や解釈も豊富で臨床試験に携わる方は要注目です)に載っています。FDAのサイトにはより完全なFDAに関する法律と規約のリストが掲載されています。

試験(臨床試験)はどのように施行され、規制されるのか?

医薬品は、まず最初に(動物実験等の後)人間に安全に投与できるかどうかの試験しなくてはなりません。その後に医薬品としての有効性と、ある疾患に対して効果があるかどうかが試験されます(まずは安全性と投与量の決定、次に有効性の確認)。人間での試験を行うためには、Investigational New Drug Application (IND)をFDAに提出しなくてはなりません。FDAと施設の倫理委員会 (Institutional Review Board; IRB)は提出された臨床試験計画が妥当であるか、倫理上問題がないかを審査しなくてはいけません。医薬品のIND提出手順生物学的治療法(遺伝子治療やワクチン、血液製剤など)のIND提出手順倫理委員会 (IRB)に関する一般情報はそれぞれのサイトを参照してください。

INDに提出せれる書類には、通常二種類の動物実験よりなる前臨床試験データ、臨床試験実施計画やプロトコール、試みられる投与量と投与スケジュールの根拠が含まれます。抗がん剤のうち、殺細胞的働きをする抗がん剤の人体に初めて投与する際の用量(Phase I試験の初回投与量)の決定法のフローチャートはこちらをごらんください。

INDはどのように審査されるか?

FDAは法に定めるところにより、INDの受け取りより30日以内に医師、薬学・毒性学者、化学者などより構成されるチームによって臨床試験の計画とプロトコールを審査します。このチームは提出された計画が安全かどうか審査します。すなわち、被験者保護のために安全性に関して適切な策や注意が施されているかどうか審査します。臨床試験の実施計画やプロトコールは安全性の根拠と科学的な問題に答えられる見込み(評価や解析が適切になされるか)が評価されます。INDの審査においては安全性が法的根拠のある制限項目であり、有効性に関しては臨床試験中止など法律によって規定された条件はありません。

臨床試験を施行することを許可したということは、市販を許可したということとは異なります。法律は市販が認可されていない薬に対して、料金を徴収したり宣伝することを禁じています。しかし、試験薬の投与に関する費用や、副作用出現時の医療費に関しては被験者に請求することができます。

Oncology Toolsには実際に臨床試験を行うのに役に立つツール、各腫瘍のステージングのためのマニュアル、パフォーマンスステータス (performance status; P.S.)の判定表、副作用判定表、人間と動物への投与量の計算機、人間の必要輸液量計算機が載っています。さらに情報がほしい場合はFDA審査部門に連絡してください。

治験薬(investigational drugs)で治療を受けるにはどうするか?

治験薬(investigational drugs)は通常、承認された治療(一般に有効性が確立された治療)が施された後もガンの増殖を認める場合に使用されます。有効性の実証された治療法のないガンの場合には、すぐに治験薬(investigational drugs)の臨床試験に患者さんを参加させることは妥当であると考えられます。Oncology Toolsには治験薬(investigational drugs)で治療を受けるための手引き(治験への参加など)も載っています。現在進行中の抗がん剤の臨床試験の詳細はClinical Trial Listingsに載っています。国立がん研究 (National Cancer Institute; NCI)の臨床試験リストは広くカバーしていますが全ての進行中の臨床試験を網羅しているわけではありません。尚、これらにリストアップされた試験をFDAが推奨しているわけではありません。

承認までの手順は?

もし試験された医薬品が、ある疾患に対して安全に投与でき、しかも有効であると考えるに足る十分なデータが得られたならば、その結果はNew Drug Application (NDA、承認審査申請)にまとめられ、FDAに提出されます。生物学的製品や医療機器に関しても同様です。医師、薬学・毒性学者、化学者などより構成されるFDAのチームはNDAの受け取りより六ヶ月以内(priority:他に有効な治療法に乏しい、もしくは重要度の高いガン治療に対して特に認定される)、あるいは十ヶ月以内(standard)に審査することが法律によって定められています。審査チームは危険性(副作用)と有効性に基づき、承認申請された薬剤に市販の承認を与えるかどうか決定します。医薬品のNDAの提出の仕方承認審査過程についてはCDER(医薬品評価調査センター)のサイトを参照してください。新薬の発展に関する総括はCDERハンドブックを参照してください。

FDAは諮問委員会 (advisory committee)として知られる専門家から(患者代表や消費者団体代表も加わりますが)構成される委員会に、薬や製品の承認申請を認めるか否決するかFDAが決定するために必要な助言を求めます。FDAのホームページには諮問委員会の一般的な情報が載っています。Oncology Toolsの別のページにはガイダンス、申請書様式、抗腫瘍薬諮問委員会 (Oncologic Drugs Advisory Committee; ODAC)の予定表や議事録などを含む抗腫瘍療法に関してFDAが関与する様々な事項についての情報が載っています。

FDAによる承認にはどのような意味があるのか?

FDAにより承認された承認されなかったということは、薬や製品自体に対してというよりも、あるガンに対しての治療法として市販したいという申請が承認されたとか承認されなかったということを意味します。承認時にはこの適応疾患や使用用量に対して市販の許可が与えられ、添付書に記載されます。FDAは約90種類の医薬品をがん治療用に認可しています。Oncology Toolsには認可された抗腫瘍薬の適応疾患や添付書、承認審査の要約などが載っています。

FDAがNDAを承認しない、場合下記のような理由によります。

1.有効性や安全性など申請している内容を裏付けるのに十分な証拠が(データ)がない。
2.副作用などのリスクが許容範囲を超えている。
3.FDAとスポンサー(製薬会社などの申請者)が適応疾患や投与量など、もしくはそれらの添付書への記載内容に関して同意に達しない。

最初に申請した事項(適応疾患や投与法など)で承認されなかった抗腫瘍薬の多くが、再申請やデータの追加、申請事項の変更などでその後承認されています。

FDAも連邦政府も医薬品の実際の使用に関しては規制をしておりません。どの認可薬も医師の裁量により、添付書に記載されている内容(適応症や用量)以外の使用が許されます。適応外使用 (Off-label use)は違法ではありません。しかし、その適応外使用に関するデータはFDAによって審査されたものではないことを理解していなくてはなりません(製薬会社も適応外使用に関する広告はできません)。

添付書に記載されていない副作用や、副作用により入院を要したり死亡した場合には届け出る義務があります。有害事象の届出に関してはこちらをご覧ください。

FDA/Center for Drug Evaluation and Research
Last Updated: 
Originator: OTCOM/DLIS
HTML by  SH

Japanese Translation by Fumitaka Nagamura, MD
Reviewed by Ken Kobayashi, MD