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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

ファクトシート

国務省人身売買監視対策室
ワシントンDC
2004年7月28日


人身売買の被害者の見分け方

 通常、人身売買は密かに行われる犯罪であるため、法執行関係者、一般市民、あるいは福祉関係者が、人身売買の被害者や犯罪計画に直ちに気付くことが難しい場合もある。被害者が逃げ出して警察に訴え出た例もあるが、多くの場合、被害者は同行者なしで職場を離れることができず、家族、友人、あるいは一般市民との接触を禁じられている。

 一般市民、法執行関係者、または福祉機関が、地元で人身売買計画が進行していることに気付く要因は多数ある。

性的搾取のための人身売買

 性的搾取のための人身売買の被害者は、街頭、あるいは売春宿、ストリップ劇場、ポルノ撮影所など性風俗業施設で見つかることが多い。そうした施設は、次のような事業を装っていることがある。

* マッサージ・パーラー
* エスコート・サービス
* 成人向け書店
* モデル・スタジオ
* バー、ストリップ劇場

強制労働のための人身売買

強制労働の被害者は、次のような職場にいることが多い。

* 労働搾取工場(虐待的条件で労働をさせる工場)
* 商業的農業労働(農場、加工工場、缶詰工場など)
* 家事労働(メイド、乳母など)
* 工事現場(特に一般の立ち入りが禁止されている場所)
* レストラン、清掃業

性的搾取や強制労働のための人身売買被害者を待つわな

 自ら進んで奴隷になろうとする者はいない。人身売買業者は、ホステス、家政婦、または農業労働者などの合法的な職の求人を装って、被害者を誘うことが多い。人身売買被害者には、地方、郊外、および都市部出身のあらゆる種類の人々がいる。

 商業施設が、人を強制的に働かせていることを示す徴候がいくつかある。

目に見える徴候の例

* 商業施設の窓に鉄格子がはまっている、ドアに鍵がかけられている、孤立した場所に建っている、電子監視装置がある、など厳しい警備が行われている。同行者なしで施設を出る女性がいない。

* 被害者が、売春宿など職場に居住しているか、または住居と「職場」の間を監視人の運転する車で移動している。強制労働の場合、被害者は職場を離れることを禁じられ、その職場は厳重に警備された施設のような外観であることが多い。

* 被害者が医者、病院、クリニックなどへ治療に行くときは監視下に置かれ、人身売買業者が通訳をすることもある。

* 人の出入りが激しい。特に、多くの男性が絶えず出入りしている施設は、人身売買された女性のいる売春宿であることが考えられる。

 人身売買の被害者は、恐怖、威嚇、虐待、および心理操作によって、隷属的な状況にしばられている。被害者の体験は個人によって異なるが、いずれも強制労働の生活を物語る共通の要素がある。

 人身売買被害者の生活は、虐待、基本的人権の侵害、そして人身売買業者による支配を特徴としている。以下に挙げる徴候は、それ自体では人身売買を法的に定義する条件とはならないかもしれないが、被害者が他者に支配されていること、従って状況をさらに調査すべきであることを示すものである。

人身売買被害者のプロフィール

 人身売買の被害者の多くは、人身売買業者に対する恐怖や、彼らから受けた虐待のため、自らの状況に関する情報を進んで提供することはない。また、絶望感や落胆、そして現状から脱出する可能性はないという考えから、進んで情報を提供しないこともある。たとえ問いつめられても、自らや家族に対する報復を恐れて、強制労働をさせられていることを認めない場合がある。しかしながら、以下に挙げるように、被害者が奴隷的な状況に置かれていることを示す徴候がいくつかある。

 人身売買被害者の健康状態。人身売買の被害者は、使い捨ての所有物として扱われ、精神的または身体的な健康状態を考慮されないことがある。その結果、被害者には、次のような健康上の問題が見られることが考えられる。

* 栄養失調、脱水症状、あるいは不衛生
* 性感染症
* 性的暴行または性的虐待の痕跡
* あざ、骨折、その他治療されずに放置されている疾病
* 糖尿病、がん、心臓病などの重病
* 心的外傷後ストレス障害または心理的障害

 奴隷として拘束されている被害者に見られる徴候。人身売買の被害者に見られる明らかな身体的、精神的徴候のほかにも、個人が他者に支配されていることを示す徴候がある。警察や救援活動関係者は、受け入れの際に以下のような場合は、注意を払うべきである。

* 身分証明書あるいは渡航関連書類を本人が所持していない。
* 脅威、侮辱、恐怖を与えることを目的とする、言葉による虐待または精神的虐待の被害を受けている。
* 人身売買業者または売春あっせん業者が被害者の金銭をすべて管理し、被害者本人は現金をほとんど、または全く持っていない。
* 受け入れの際に、特に(人身売買業者である可能性のある)「通訳」が同席していると、被害者が非常に緊張している。

 上記に加えて、その人が外国人であり、滞在国の言葉を話せない場合は、本人の意志に反して拘束されている可能性がある。

 人身売買の被害者であるかどうかを見分ける一定の基準はないが、以下の質問は、人身売買の要素が存在するかどうかを判断するガイドラインとなり得る。

人身売買を見分けるための質問

1. 本人が職場から自由に外出できるか。
2. 身体的、性的、または精神的な虐待を受けているか。
3. 本人のパスポートまたは有効な身分証明書があるか。また本人がそれらを所持しているか。
4. どのような報酬および雇用条件で雇われているか。
5. 自宅に住んでいるか、それとも職場の中または近くに住んでいるか。
6. 外国人の場合、どのようにして現在の居住地に到着したか。
7. 本人またはその家族が脅迫されたことがあるか。
8. 本人がその仕事をやめた場合、本人または家族に害が及ぶことを恐れているか。

 誰でも、人身売買の疑いのあるケースを通報することができる。被害者が18歳未満の場合、米国の警察、医療、社会福祉、精神医療、および教育の専門家には、そうしたケースを通報する義務がある。

 地域社会全体に及ぶ草の根の活動と、国民意識を高めるキャンペーンによって、最前線にいる専門家のより多くが、人身売買の被害者を直ちに認識し、適切な処置をとることができる。

人身売買の疑いのあるケースの通報

 人身売買の被害者と思われる人物の存在に気付いた場合、被害者が適切なケアおよびカウンセリングを受けられるように、疑わしいケースを通報する方法がいくつかある。

米国内の場合

* 米国保健・福祉省の資金援助による24時間フリーダイヤル・ホットライン(888-373-7888)。このホットラインは、当該の個人が人身売買の被害者であるかどうか通報者が判断する手助けし、被害者を助けるための地元機関を探し、また通報者と地元の社会福祉団体との協力を支援してくれる。
* 州検事総長直属の被害者・証人援助調整官
* 地元のFBI事務所
* http://www.usdoj.gov/trafficking.htmで、米国内における人身売買の疑いのあるケースの通報に関する情報を得ることができる。

米国外の場合

* 国または各地の人身売買ホットライン
* 被害者と思われる個人が外国人である場合は、その国の大使館に連絡する。
* 地元の法執行機関が信頼できる場合は、警察に連絡する。

回復への道

 人身売買の被害者は、家族から隔離されたり、故郷の地域社会とのつながりを断たれるなど、極めて過酷な体験をしているとともに、何カ月間あるいは何年間にも及ぶ強制労働生活で身体的虐待を受け、健康上の問題を抱えている可能性がある。概して彼らの回復への道は険しく、さまざまな段階でかなりのアフターケアが必要である。

 人身売買の被害者と特定された人は、以下のサービスの一部あるいはすべてを必要とする可能性がある。

* 通訳
* 衣食住
* 医療
* 法的援助
* 語学訓練
* 職業訓練または教育
* カウンセリング
 
 現代の奴隷制とも言える人身売買が続く中、この凶悪な行為と戦う最善の手段は、警察、社会福祉提供者、医療専門家、立法者、そして一般市民から、最良の人的資源を終結することである。

(資料:Donna Hughes, ECPAT USA & IOFA 2003, Vital Voices and the Florida
Coalition Against Domestic Violence)



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