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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

グローバリゼーションと持続的な開発

アラン・P・ラーソン国務次官(経済・ビジネス・農業問題担当)
2004年10月1日

 世界銀行および国際通貨基金(IMF)の年次総会が10月2日、3日に開催される。今回のテーマはグローバリゼーションと開発である。民間部門がこの2つの課題にとっての原動力であることを明確に認識して議論が行われることを期待する。

 開発に対するわれわれのアプローチは米国の基本的な価値観を反映しており、寛大な心と結果を要求する合理性の両面を兼ね備えている。われわれは、どの国の発展においても、ビジネスや家族など民間イニシアティブがその主導的役割を果たすものと考えており、敬うべき成長の理念の中に起業家精神、自己責任や財産権が正当な位置を占めることを歓迎する。国連の最近の報告書である 「起業家精神の開放」 (Unleashed Entrepreneurship) が明らかにしている通り、民間セクターの資源は開発に大きく貢献することが可能である。
 
 送金を例に取れば、途上国出身の外国人労働者が苦労して得た収入を母国の家族に送金する総額は年間約900億ドルにも達し、食費のみならず、住宅建設、新規ビジネスの立ち上げ、さらには労働者の雇用などその国の人々の生活に大きく寄与している。
 
 また、外国直接投資も例に挙げるなら、国際金融協会(IIF)は今年の投資総額を2250億ドルと予想している。外国直接投資は、知識や技術の移転、雇用創出、生産性向上、競争力向上、起業促進の面から経済成長および発展を促す特に強力な手段である。

 開発途上諸国の国内貯蓄額は年間推定2兆ドルを超え、開発金融としてはかなり大きな財源である。各国が国内投資を促進する政策や機関を設置することで、国内貯蓄は所得、生産性および雇用機会の拡大を後押しすることが可能である。

 それから貿易についても言及したい。貿易は、新興経済圏の発展を促す強力なエンジンとしてこれまでも度々寄与してきた。貿易推進国の多くは、他国よりも速いスピードで成長路線を歩み、先進国に肩を並べる。米国はこれまで度々自由かつ制限を受けない貿易を促進する中心的な役割を果たしてきた。米国は、開発途上国からの商品輸入額が最も多く、昨年は6800億ドルに達した。すべての援助国が、開発途上国に提供する政府開発援助(ODA)の10倍以上の規模である。

 しかし、まだまだ今後なすべきことがある。世界銀行の予測によればドーハラウンドが成功裡に妥結すれば1億4千万以上の人々が貧困から脱し、開発途上国に年間3500億ドルの収入をもたらす。7月にジュネーブで合意された世界貿易機関(WTO)の枠組みは、世界中の市場、特に農業分野を開放する最終的な総合政策への道筋を示す、またとない機会である。このため、すべての関係機関および政府はドーハラウンドの成功に向けた話し合いを推し進めるべきである。

 2002年3月メキシコ・モンテレイで開催された国連開発資金国際会議で、開発途上国の潜在力を引き出すためには、対象国が主体的に責任を持って自国の開発に取り組むことが最も望ましいという認識を各国指導者が確認した。この問題に対し、米国はミレニアム・チャレンジ・アカウント(MCA:Millennium Challenge Account)で取り組んでいる。MCAは、開発途上国の健全な経済および政治政策を採用することをすべての途上国に奨励するために、公正に統治され、自国の人々に投資し、そして経済的自由を促進する国々に無償援助を提供する。

 MCAは常識に基づくアイデアで、過去50年にわたり蓄積された開発に関する知識を参考にしている。MCAは創設から5カ月間で、自国民に働きかけたり、成長や開発を妨げている最大の障壁を克服するために革新的なアイデアを提示している16カ国をパートナーとして選出した。

 強力な超党派的な支持で、米国議会はミレニアム・チャレンジ・コーポレーション(MCC)にMCAの運営を許可し、2004年度の初期資金として10億ドルを提供した。大統領は翌年度のMCA予算として25億ドルを要求、2006年度以降は年間50億ドルの予算を充てるよう要求する予定である。これは、2001年度の水準より50%も高い2003年度の政府開発援助予算額に加算される。MCAおよび大統領が今後5年間で150億ドルを約束するHIV/AIDSイニシアティブ、そして従来からの政府開発援助予算額の増大により、2006年には援助金総額は75%増加する予定である。

 最貧国の債務削減は、米国の開発戦略の中でも重点事項である。重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの強化の下、27カ国が債務の3分の2相当の現在の価値で約320億ドルを債権国に削減してもらうことで、それぞれの国の貧困削減政策の資金を増額することが可能となった。米国はさらに、この多国的プログラムの寛大な条件を超え、これらの国々の対米債務を全額返済免除している。
 
 しかし、こうした進展にもかかわらず、いまだ持続不可能な債務負担に直面している国があることを、われわれは認識している。それ故、今年の夏、G8首脳はシーアイランドで、HIPCイニシアティブのさらに2年間の延長に向けて努力し、最貧国が債務の持続可能性に取り組むための他の方策も検討することで合意した。

貧困の撲滅運動はわが国の深い人道主義的精神の表れであり、ほかの国の人々の幸せが自身の幸せに直接結びつくという認識を反映している。人々がより良い未来に対して期待を抱き、暮らしを向上させ、より安全でより民主的そして豊かな世の中を構築するためには、世界中のすべての貧困国が拡大し続ける機会の輪に参加することが不可欠である。これが実現すれば、貧困問題の解決に向けて重要な礎を築くことになるだろう。

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