International ReVisitor

第5号・平成12年7月

米国国務省人物交流計画について

目次

インターナショナル・ビジター・プログラム60周年 国務省イブリン・S.リーバーマン民間外交・広報担当次官

「民主主義の原点との出会い」日本道路公団名古屋建設局建設第二部建設第二課長代理 川北眞嗣

ピッツバーグとインターナショナル・ビジター・プログラム
  ピッツバーグ・インターナショナル・ビジターズ評議会事務局長 ゲイル・シュロット

名古屋アメリカン・センター館長あいさつ ジェフリー・ジェイムソン

名古屋アメリカンセンターのハイライト: ジャーナリスト在沖縄米軍訪問

オンライン・データベースと名古屋アメリカン・センター資料室の情報提供サービス
  レファレンス・サービス・スペシャリスト 渡辺和代


前号:98年春英語の記事)、 98年秋 英語の記事)、99年春00年冬

History

60th Anniversary of the International Visitors Program

インターナショナル・ビジター・プログラム60周年―参加者とアメリカ人の偉業―
国務省イブリン・S.リーバーマン民間外交・広報担当次官
特別優秀インターナショナル・ビジター賞授賞式あいさつ(抄訳)
2000年2月28日 ワシントンDC

最近、私は元インターナショナル・ビジター(IV)でインドの女性が事業家になるための支援に生涯の大半を捧げたMadhura Chatrapathyさんに賞を授与する機会がございました。彼女はIVとして訪米した時のことについて話し、「皆さんは見知らぬ外国人を歓迎してくださり、家を去る時には友達になっていました。」とおっしゃいました。

IVプログラムが設立されて60年になりますが、このプログラムは他の方法では困難な分野でも成功することを実証し続けてきました。IVプログラムにより、何万人もの外国人が、アメリカの多様な文化と私たちが同じ人間性を共有していることを理解し、賛同するか否かにかかわらずアメリカの外交政策を的確に理解することができました。

同じように、IVプログラムは、何千人ものアメリカ人に対しても、見知らぬ外国人をIVとして歓迎し生涯の友とする豊かな経験を与えてきました。貿易摩擦、民族紛争、反バイオテクノロジー等どのような問題であれ文化理解もしくはその欠落が国際問題の中心であった時、グローバル化により文化的アイデンティティーが失われるかもしれないと多くの人が恐れていた時、IVは重要な外交手段でした。この類稀なプログラムの60周年を記念するにあたり、異文化理解とその共有を推進、支援、拡大する努力を新たに開始したいと思います。

今夜、参加経験者の生涯と業績に敬意を払うことにより、IVプログラムの誇りを表現したいと思います。185以上の現・元国家元首がIVです。彼らは、教師、作家、議員、ジャーナリスト、美術館長、NGO活動家などから成るIVの国際ネットワークの一部です。彼らはアメリカを理解し、今日ご自分の国を形づくる何千人もの才能豊かな男性と女性なのです。

これから、ご自分の国の指導者となる前にIVプログラムに参加された、すばらしい5名の方々をご紹介いたします。皆様の自国、世界、そして自国と米国との関係改善への業績を記念し、特別IV同窓生賞を授与いたします。また、授賞により、このような将来性とアメリカに対するビジョンをもった人々を賢明にも招待した過去のIVプログラム担当者にも敬意を払いたいと思います。

私たちは著名な元参加者に代表されるような例を大変誇りに思っています。私たちが皆様に負うところは多く、優秀な人々が将来和平調停者や国際的指導者になるよう支援するためにこのプログラムに関与する上で、皆様のことが大きな励みになっていることを知っていただきたいと思います。

また、私は特にここにいるこのすばらしいプログラムを今まで成功に導いてきた人々に感謝したいと思います。皆さんが歴史を作る手伝いをしているといっても過言ではありません。皆さんの仕事に感謝します。


      受賞者    海部俊樹(日本 1989-91年首相)
              Abdul Salem Majali (ヨルダン 1993-95年・1997‐98年首相)
              Hanna Suchoska (ポーランド 1992-93年首相、現法務大臣)
              Ketumile Masire (ボツワナ 1980-98年大統領)
              Wi Kim Wi (シンガポール 1985-93年大統領、駐日大使1980-84年)

Recent Returnee

Masatugu Kawakita, Assistant Manager, Construction Engineering Division, Construction Department 2, Nagoya Construction Bureau, Japan Highway Public Corporation

「民主主義の原点との出会い 」
日本道路公団名古屋建設局建設第二部建設第二課長代理 川北眞嗣

『人民の人民による人民のための政治』。これは、リンカーンの有名な就任演説の一部であるが、今回のプログラムで、アメリカにおける種々の社会活動の根底には、この精神が脈々と受け継がれている事を幾度も感じさせられた。

昨年11月から12月にかけての4週間、私はアメリカ大使館の招きでアメリカ各地を訪問し、最近日本においても大きな問題となっている『公共事業と環境保護』をテーマに、行政機関、コンサルタント会社、実際の工事現場、環境保護関係のNGO、市民団体等と意見交換する機会を与えていただいた。様々な訪問先を訪ねて特に印象深かった点は、アメリカの全ての社会活動に、NGOや市民団体が非常に大きな役割を果たしている事であった。

例えば、Audubonという鳥類保護を目的としているNGOは、民間の基金と寄付・会費により運営され、全米各州に支社を持って、鳥類の科学的調査・会誌の発行・学童に対する鳥類保護の教育等を行っており、今回私が訪れたボストン近郊にある研究事務所では、公立の研究所に勝るとも劣らない専門的な調査研究が行われ、国の保護政策の一翼を担っていた。さらに、この活動に賛同し、会費という形で資金協力している会員が、マサチューセッツ州だけで6万人以上もいる事に非常に驚かされた。

また、公共事業計画に反対している市民団体との意見交換では、彼らが様々な分野の専門家をメンバーに擁し、単なるエゴではなく、国と地域社会双方にとって最善な案は何かという視点から、現実的かつ理論的な代替案を作成して、行政と対等に協議を行っている姿に、日本には無い市民活動の習熟を感じた。

公共事業1つとっても、その計画段階から市民参加があり、その門戸も大きく開かれている現状。環境保護のために費やされている、膨大な数のボランティアと莫大な寄付金。これらを自分自身の意志で生き生きと行っている国民性を見るにつけ、単なる選挙権の行使だけにとどまらない、民主主義の原点に出会え、非常に刺激を受けた今回の旅であった。

訪問地はワシントン、ニューヨーク、ボストン、フリーポート/シカゴ、ピッツバーグ、デンバー、ロサンゼルス、シアトル

Today

The City of Pittsburgh and the International Visitor Program
Gail Shrott, Executive Director
Pittsburgh Council for International Visitors

「ピッツバーグとインターナショナル・ビジター・プログラム 」
ピッツバーグ・インターナショナル・ビジターズ評議会事務局長 ゲイル・シュロット

1999年、ピッツバーグ・インターナショナル・ビジターズ評議会(PCIV)は西ペンシルバニアと国際コミュニティへの貢献40周年を祝いました。PCIVは米国務省のインターナショナル・ビジターズ(IV)の地方プログラムを担当する全米97団体のひとつです。この名声あるプログラムを通じて、PCIVは各国の新進指導者と西ペンシルバニアの指導者間の専門分野を中心とした会合を手配します。

PCIVが1950年代後半に設立された当時、ピッツバーグは復興を経験し終えていました。市の政治・経済指導者は、官民パートナーシップを生み出し、環境を改善し町の中心部を公園とオフィス複合体へと変身させました。過去40年の内に、ピッツバーグの経済は重工業依存からより多様でサービス業中心型へと脱皮しました。この地域には、カーネギー・メロン大学とピッツバーグ大学の研究から派生した環境技術、ソフトウェア、バイオテクノロジーなどの産業集団があります。

伝統的に、PCIVは経済発展と高等教育などをテーマとしたIVプログラムを提供してきました。この地域の工場跡地は土地の再開発のモデルとなっています。有機的建築に関心のある多くのIV参加者がアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトの落水荘(Fallingwater)を訪れました。ピッツバーグは外交政策、電子商取引、健康管理、NGO、安全保障その他多くの分野でも豊かな情報源を提供できます。IV参加者は専門分野の意見交流とピッツバーグ滞在中のボランティアによる家庭訪問交流の双方から益を得ています。PCIVは約2000の専門家と450以上の国際交流を希望するホストファミリーと協力しながら業務を行っています。

NACD Message

A Fond Farewell to the Chubu Region
Jeffrey Jamison, Director

この冊子が皆様のお手元に届くのは九州・沖縄サミット関連諸行事が開催されている頃になると思いますので、今回の「ハイライト」は、今年4月沖縄の米軍基地で開催したプログラムを取り上げました。この2日間のプログラムで、中部から参加したジャーナリストはブリーフィングを受け、基地施設を訪問し、在沖縄米軍の職務と任務に関連した訓練を見学しました。今月、世界が沖縄に注目する時に日本の防衛と地域の安全保障における米軍の役割を冷静かつ真剣に考えてみることは意義深く、この地方のジャーナリストがすでにそのような機会を持ったのはよかったと思います。

サミットとクリントン大統領の訪日を区切りとして、私の名古屋アメリカン・センター館長としての日本勤務は終了いたします。私が館長を務めた間に、中部地方の官公庁、報道機関、大学、経済団体から21人の方がIVプログラムに参加され、皆様すばらしい成果を得られました。この地域は勤勉であることで知られていますが、その評判どおり、政府の情報公開からオープンで競争力のある公共事業、また、「ニュー・エコノミー」からアメリカの政治的社会的変化まで数々の複雑な問題点をビジターは視察してこられました。私は最近岐阜で行ったスピーチで申し上げたのですが、日米両国間で真のコミュニケーションを行い、アメリカに関する正確な情報を伝達する最も重要なルートを構成するのはこのような人物交流参加者と彼らに応対するアメリカ人なのです。これらの交流プログラムを準備し、相互コミュニケーションを推進した私の職務を誇りに思っております。

外部のオブザーバーにとって、また、時折しか注意を払わない方にとって、日米関係は過去4年間余り変化がなかったように映るでしょう。貿易や日本市場参入に関する紛争は定期的に起こっており、日米安全保障同盟は修正されつつ大きな中断もなく継続しております。しかし、実際に日本に滞在し、これらの問題に密接に取り組んでいますと、さまざまな貿易経済問題が生じる度に日本人の反応が変化してくることに気づきました。さらに、外部世界が変わったことを認識しなければなりません。つまり、アジア経済危機と回復、台湾の2回の選挙、中国のWTO参加審議などで、それらは私たちの政治経済的関係がどのように執り行われるべきかを示しています。

今後数年、私は米国務省で東欧担当職に就きますので、日米関係の外部オブザーバーの一人となります。今後とも日本・日米関係の行事に極力関わり続けていきたいと思っておりますが、レベルの高い IVプログラムと中部地方からのIV参加者がIVの経験を最大限に活かしておられることから、この地方の日米関係は良好でありつづけることと確信しております。

NAC News

Online Databases: Access and Assistance from Nagoya American Center Reference Service
Kazuyo Watanabe, Reference Service Specialist

オンライン・データベースと名古屋アメリカン・センター資料室の情報提供サービスhttp://usembassy.state.gov/posts/html/wwwh4200.html

アメリカン・センター資料室では充実したオンライン・データベースを備えて皆様に豊富な情報を提供しています。インターネットが普及したといっても、情報の検索には膨大な手間と時間が必要になります。この手間と時間を削減し的確な情報を得るには、パワフルなデータベースを利用するしかありません。検索方法は多彩で、目的の情報へより効率的にアクセスすることができます。皆様の情報収集がより効率的にできる様、アメリカンセンターの資料室が皆様に代わって検索致します。ご質問のある方は、america@gol.com 又は、(FAX)052-561-7215までご連絡下さい。

DOW JONES INTERACTIVE

ダウジョーンズ社がインターネット上で提供する世界の最新情報、速報系ニュース記事の検索が可能なデータベース。The Wall Street Journal, The Los Angeles Times, The New York Times, The Financial Times of London紙の記事、米国内の54紙の経済セクションを毎日更新し、全文提供している。また、265社のアメリカの地方新聞、175の海外の新聞や雑誌、約2800のビジネスや貿易関連の文献も収録されている。

FEDERAL NEWS SERVICE

アメリカの政府要人の主要な演説、講演や談話などを一字一句筆記し、即日掲載したもので、公式な政府声明や見解、大統領声明、ホワイトハウスや国務省、国防総省や司法省でのブリーフィング、主要な政党の党首やスポークスマンのスピーチや記者会見、そして、議会の聴聞会などが記録されている。

FIRST SEARCH (OCLC)

Online Computer Library Center, Inc.社が提供しているデータベース。 世界中の図書館関係者を対象。レファレンス情報源として、書誌情報、抄録、全文が充実している。写真やイメージ情報も豊富。インターネット情報の目録ともいわれているNet FirstFirst Searchに含まれている。65以上のデータベースから構成され、使いやすく整理されている。

GPO ACCESS

議会議事録(Congressional Record), 官報(Federal Register)、法案が発行と同時にインターネット上でアクセス可能な米国政府印刷局提供のデータベースである。199512月以来,GPO Accessとしてホームページを立ち上げ、無料で情報提供をしている。ID Passwordの登録必要なし。

GALENET

ゲイル・グループの出版物を一堂に集めたオンライン・データベース。収録内容は

Encyclopedia of Associations; Contemporary Authors; Research Centers Directories; Directories of Publications & Broadcast Media; Gale Directory of Databases; Gale Guide to Internet Databases; Biography & Genealogy Master Index; Gale Business Resources等。

LEADERSHIP DIRECTORIES (The Yellow Books)

インターネット上の紳士録。収録分野は米国の議会議員、連邦職員、州の職員、地方自治体の職員、司法、金融、報道関係者、法人、協会、法曹界、在外公館、非営利団体等の職員録。略歴、電話、ファックス、e-mailのアドレスも掲載。更新が頻繁にされている。

LEXIS-NEXIS

3,200以上の判例をはじめとする法律情報を全文で収録。世界でも最大級のフルテキスト型法律情報データベース。フリー・キーワード検索、法律専門用語、法条番号、一般名による検索も可能。公表された民事行政法分野の判例とその関連情報が新聞、専門誌におよんで収録されている。

PDQ

Public Diplomacy Query(PDQ)は米国の外交政策、国務省の文書や海外情報、米国の文化や社会といった一般情報まをも含めて収録したデータベースである。米国国務省IIP作成。オンライン上の収録期間:1998 - 現在まで。(アメリカンセンターでは1985 以降CD-ROM版で備えている)。

PROQUEST DIRECT

新聞(The New York Times)、定期刊行物、雑誌の記事検索。約1600種の雑誌のうち約400種をイメージの形で全文提供。どの記事にも要約がつけられている。インターネット上からアクセス可能。(アメリカンセンターではオフラインで検索可能なCD-ROMも備えている。収録期間:1986年−現在まで)。

STAT-USA (Dept. of Commerce)

米国商務省(経済統計局)の発行。米国のビジネス、経済、貿易、マーケット・リサーチに関心のある人達への連邦政府の公式なホームページ。米国政府機関が収集した重要な情報をタイムリーに掲載。貿易に役立つ情報、連邦準備制度理事会のリアルタイムのデータ、州のマーケット情報など豊富。(アメリカンセンターではCD-ROMも備えている)。

NAC Highlights

Journalists' Tour of USFJ Facilities, Okinawa


April 17-19, 2000

中部地方には米軍基地がないため、この地域では日米防衛協力についての関心は国内のほかの地域に比べ低いようです。しかし、新日米防衛ガイドラインでは、軍事訓練の一部の沖縄から本州への移転、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)による在沖縄米軍の規模縮小は日本全国で多く報道されてきており、中部も例外ではありません。また、今月G8サミットのため世界の注目が沖縄に注がれるので、米軍についてもより注目が集まることと思われます。

在沖縄米軍の役割と沖縄住民との関係についての中部地方における関心を高めるため、名古屋アメリカン・センターは4月17-19日4人のジャーナリスト対象にオリエンテーション・プログラムを開催しました。プログラムでは以下の事項を行いました。

* 嘉手納空軍基地の見学と説明会

* 沖縄北部のジャングル戦訓練センターの説明と見学

* キャンプ・フォスターでの在日米軍のコミュニティー活動の説明

* 普天間飛行場の見学と説明

見学ツアーを通して、ジャーナリストは基地の中核軍事機能だけでなく、基地に居住する隊員と家族の日常生活、例えば食堂や娯楽施設などを実際に見ることができました。ジャーナリストは、すべての階級の軍人や女性と話し、仕事、日本での経験、また、日本における任務についての考えなどを尋ねました。

プログラム中、基地司令の説明はいくつかの重要なテーマを強調しており、以下はその一部です。

* 基地の任務と機能において、日本の防衛が最優先であること。

* 日米文官当局による基地削減および訓練日程調整に米軍が最大限協力すること

* この地域における在沖縄基地の中枢的役割とこの地域における日米合同演習は沖縄の米軍の前方展開により可能になったこと。

* 地元からの物資調達を増やしたり地域の催し物に参加する米軍の貢献により沖縄住民と日米相互理解に利益を与えていること

このような見学ツアーが恒例の企画となるかどうかはわかりませんが、この重要な時期に中部地方のジャーナリストと読者・視聴者が在沖縄米軍に関して理解を深めていただくことができたことをうれしく思います。


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